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フレイルのある高齢者はインフルエンザに1.4倍かかりやすい 重症化リスクも3.2倍 高齢男性でとくに深刻
2023年10月16日
フレイルのある高齢者では、健康な高齢者に比べ、インフルエンザに1.4倍かかりやすく、3.2倍重症化しやすいことが、日本の高齢者7.7万人を対象とした調査で明らかになった。
フレイルのある高齢者は、肺炎に2倍かかりやすく、重症化もしやすいことも分かった。
高齢者のインフルエンザや肺炎の予防・対策では、フレイルの予防・改善も重要であることが示された。
フレイルのある高齢者はインフルエンザにかかりやすく重症化しやすい
日本で、2023年からインフルエンザがふたたび流行し、集団感染も起こっている。インフルエンザは高齢者で重症化しやすく、世界中の多くの高齢者がインフルエンザで亡くなっている。 これまでの研究で、インフルエンザで入院した高齢者は、心身および社会機能が衰えやすく、とくにフレイルの状態にある高齢者は、長期入院や死亡のリスクが高いことが明らかになっている。 フレイルは、加齢にともない運動機能や認知機能の低下が進み、健康障害を起こしやすくなり、介護の必要な状態におちいるリスクも高まっている状態。 新潟大学などの研究グループは、日本の高齢者7万7,103人を対象とした調査により、フレイルのある高齢者では、健康な高齢者に比べ、インフルエンザに1.4倍かかりやすく、3.2倍重症化しやすいことを明らかにした。 また、とくに高齢の男性は女性に比べて、インフルエンザが1.7倍重症化しやすいことも分かった。 研究は、新潟大学大学院医歯学総合研究科の齋藤孔良氏らが、65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者を対象としたJAGES(日本老年学的評価研究)の一環として実施したもの。 「研究によりフレイルは、インフルエンザによる入院からの回復を妨げるだけではなく、インフルエンザにかかりやすくし、インフルエンザを重症化しやすくする可能性が明らかになりました」と、研究者は述べている。
フレイルのある高齢者はインフルエンザに1.4倍かかりやすく、3.2倍重症化しやすい
とくに高齢の男性は女性に比べて、インフルエンザが1.7倍重症化しやすい
とくに高齢の男性は女性に比べて、インフルエンザが1.7倍重症化しやすい
出典:新潟大学、2023年
フレイルのある高齢者は肺炎にもご注意
2倍かかりやすく重症化もしやすい
齋藤氏らによる別の研究では、フレイルのある高齢者は、肺炎に2倍かかりやすく、重症化もしやすいことも明らかになっている。
肺炎は、日本を含む世界中で高齢者の死因の上位を占める。これまでの研究で、寝たきりなど要介護状態にある高齢者では、誤嚥性肺炎が起こりやすいことが分かっている。
研究グループは、JAGES研究に参加した約18万人の高齢者データを用いて、フレイルのある高齢者では、フレイルのない高齢者と比べて、肺炎に2倍かかりやすく、また肺炎による入院のリスクも2倍に上ることを明らかにした。
また、前フレイルの状態にある高齢者でも、肺炎のリスクは1.3倍に上昇することも分かった。
さらに、基本チェックリストにより、口腔機能が低下している、あるいはうつ状態に該当する高齢者も、肺炎にかかりやすく、日常生活動作が低下したり、閉じこもっている高齢者は、肺炎により入院しやすいことも分かった。
運動機能の低下あるいは低栄養の状態に該当する高齢者も、肺炎になりやすく、かつ肺炎で入院しやすいことも判明。
「フレイルを予防することが、肺炎予防にもつながる可能性があります。フレイルを調べることで、高齢者が肺炎にかかりやすいのか、また肺炎による入院のリスクがあるのかが分かる可能性があります」と、研究者は述べている。
2倍かかりやすく重症化もしやすい
全国の高齢者20万人を対象とした大規模研究。超高齢社会を迎えた日本で、介護予防や健康の社会的決定要因などを、ソーシャル キャピタル(社会の信頼関係や結びつき)をキーワードに研究している。
Association of frailty with influenza and hospitalization due to influenza among independent older adults: a longitudinal study of Japan Gerontological Evaluation Study (JAGES) (BMC Geriatrics 2023年4月26日)Frailty is associated with susceptibility and severity of pneumonia in older adults (A JAGES multilevel cross-sectional study) (scientific reports 2021年4月12日)
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