ニュース

最優秀賞は山形市 市民の健康寿命延伸に注力 「第12回 健康寿命をのばそう!アワード」生活習慣病予防分野

 厚生労働省とスポーツ庁が健康増進・生活習慣病予防、介護予防推進で優れた取り組みをしている企業や団体、自治体を表彰する「健康寿命をのばそう!アワード」の第12回表彰式がこのほど、東京都内で開かれた。

 今回は「生活習慣病予防分野」で20件、「介護予防・高齢者生活支援分野」で16件の企業、団体、自治体が表彰された。「生活習慣病予防分野」では、山形市の取り組みが厚生労働大臣 最優秀賞に輝いた。

最優秀賞は山形市 市民の健康寿命延伸に注力

 「スマート・ライフ・プロジェクト」は「健康寿命をのばそう!」をスローガンに、国民全体が人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標とした国民運動。プロジェクトに参画する企業・団体・自治体と協力・連携しながら、運動、食生活、禁煙、健診・検診の受診について、具体的なアクションの呼びかけを行う。

 参画企業・団体・自治体数は令和5年10月31日現在で9,324団体。

 12回目となる今回、「介護予防・高齢者生活支援分野」では、熊本県高森町の『健康寿命の延伸に向けた「通いの場」活性化支援』の取り組みが厚生労働大臣 最優秀賞を受賞した。

 「生活習慣病予防分野」では、厚生労働大臣賞候補の6者が表彰式会場でそれぞれプレゼンテーションを実施。最終審査を経て、山形市の取組『山形から全国モデルへ!進化を続けるSUKSK(スクスク)プロジェクト」が厚生労働大臣 最優秀賞に輝いた。

 山形市の人口は約24万8000人。総合計画「山形市発展計画2025長期ビジョンで健康医療先進都市を掲げ、医療と健康の強みを活かしたまちづくりを推進している。特に市民の健康寿命延伸に注力。中心的役割を担うのが、健康ポイント事業「SUKSKプロジェクト」だ。

 これは健診・検診の受診、市認定SUKSKメニューの飲食、禁煙講座、地域の清掃活動や運動会などに参加した際、QRコードを読み取るとポイントが貯まり、ポイント数に応じて市特産品が当たる抽選会に応募できるもの。幅広い年代に合わせた多様な活動をポイント対象とし、令和5年の対象事業は64。地域活動も積極的に認証しているという。

 参加者は令和5年4月に1万人を突破し、多くが30代から50代の現役世代。健康を個人の問題としないようパンフレットを作成し、市内事業所に直接働きかけたり、専門家や企業との連携でイベントやキャンペーンを展開したりするなど工夫を重ねている。

 結果、参加者に行動変容が見られたほか、同プロジェクト開始前年の平成30年度と令和2年度を比較すると、健康寿命は男性で80.64歳から81.36歳、女性は84.24歳から84.36歳と延伸した。

優秀賞では産学官協働で健康まちづくりを推進 プレフレイルが減少

 一方、各部門では、厚生労働大臣優秀賞・企業部門で株式会社マルト、同賞・団体部門で神奈川県住宅供給公社、同賞・自治体部門で佐賀県基山町がそれぞれ受賞。

 特にスポーツ・運動を通じて優れた取組を行うスポーツ庁長官優秀賞には、企業部門でココネ株式会社、団体部門で社会医療法人ペガサス 馬場記念病院、自治体部門で西東京市が受賞した。

 このうち厚生労働大臣優秀賞・団体部門の神奈川県住宅供給公社は、「ステップアッププロジェクト ~産学官協働による健康まちづくり~」で評価を受けた。

 神奈川県住宅供給公社は神奈川県内約13,000戸の賃貸住宅を中心に、介護付き有料老人ホーム、店舗・駐車場等を所有し、事業経営をするとともに、団地を中心とした資産を持続可能な社会の再構築のため利活用している。

 ステップアッププロジェクトは高齢化率が50.7%という相模原市南区・相武台団地で展開。階段住宅で外出をためらう高齢者の増加や、住民自治会での担い手不足といった課題があった。

 そこで産官学が連携して課題を共有し、フレイルチェック会や生活支援型デイサービス、住民主体の介護予防教室、自費の体操教室を実施。フレイルチェック会はこれまで57回実施し、参加者総数は延べ461名にのぼる。

 事業開始時と1年後でアンケート調査を実施した結果、包括的なフレイルの割合は29.2%から29.5%と不変だったものの、プレフレイルは34.8%から28.5%に減少。さらに、身体的なフレイルは8%から5.3%に減少、プレフレイルは36.6%から33.4%に減少した。

 また参加者同士で新しいコミュニティが生まれ、多世代が触れ合える契機や将来の地域の担い手育成にもつながるなど、総合的な観点で健康寿命延伸に有意義な事業となっている。

 表彰式の様子はYouTubeで公開されており、令和5年度「スマート・ライフ・プロジェクト」オフィシャルアンバサダーの栗山英樹さん(WBC 2023日本代表監督)と、スポーツ庁長官の室伏 広治さんによるスペシャルトークショーの様子なども視聴できる。

▼動画「第12回 健康寿命をのばそう!アワード」

「第12回 健康寿命をのばそう!アワード」~受賞企業・団体・自治体を決定し、表彰式を開催しました~(厚生労働省/令和5年11月29日(水))

[yoshioka]
side_メルマガバナー

「産業保健」に関するニュース

2025年08月21日
令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年08月20日
育休を「取りたい」若者は7割超 仕事と育児との両立で不安も 共に育てる社会の実現を目指す(厚生労働省)
2025年08月13日
小規模事業場と地域を支える保健師の役割―地域と職域のはざまをつなぐ支援活動の最前線―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈後編〉
2025年08月07日
世代別・性別ごとの「総患者数」を比較-「令和5年(2023)の患者調査」の結果より(日本生活習慣病予防協会)
2025年08月06日
産業保健師の実態と課題が明らかに―メンタルヘルス対応の最前線で奮闘も、非正規・単独配置など構造的課題も―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈前編〉
2025年08月05日
【インタビュー】2週間のデトックスで生産性が変わる?
製薬の『アルコールチャレンジ』に学ぶ健康経営
2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶