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1日7時間以上座っている女性は乳がんリスクが上昇 座りすぎにご注意 こまめに運動をすると効果的
2024年01月09日

座っている時間が1日に7時間以上ある女性は、乳がんを発症するリスクが高いことが、日本人を対象とした大規模調査により明らかになった。
京都府立医科大学などが、35歳~69歳の日本人女性3.6万人超を10年近く追跡して調査したところ、1日の座位時間が7時間以上の女性は、乳がんの発症リスクが36%高かった。
「座っている時間を1日に7時間未満に抑えると、乳がん予防につながります。また、運動をまとめて行うよりも、こまめに行うことが乳がん予防では効果的と考えられます」と、研究者は述べている。
1日7時間以上座っていると乳がんリスクが上昇
座っている時間が1日に7時間以上ある女性は、乳がんを発症するリスクが上昇することが、日本人を対象とした大規模調査により明らかになった。 日本人を対象とした過去のコホート研究では、余暇に運動していたり、1日に1時間以上歩いている女性は、乳がんの発症リスクが低い傾向があることが示されている。 しかし、今回の研究では、1日に7時間以上座って過ごしている女性では、余暇の運動の量や頻度、1日の歩行時間が多い場合でも、乳がんの予防効果はみられなかった。日本人は座位時間が世界でもっとも長い 運動不足はがんの原因に
乳がんは、日本人女性で発症率がもっとも高いがん。がんは生活スタイル・環境要因・遺伝子など、さまざまな原因が組み合わさることで発症するが、35%ほどは生活スタイルを改善することで予防できると考えられている。 運動には、乳がん発症のリスクを下げる効果がある。日本の女性の乳がん発症のうち、およそ5%は運動不足が影響しているとみられている。 一方で、「国際標準化 身体活動質問票」の日本人約5,000人を対象とした2011年のデータによると、日本人の座位時間は、世界で一番長く、中央値は1日に7時間という結果が出ている。 長時間の座位行動(座ったり、横たわったり)近年は、健康に悪影響を与えることが分かってきて、2020年に改定された世界保健機関(WHO)の「身体活動・座位行動ガイドライン」でも、座位行動は「健康を害する行動」として位置づけられ、減らすことが推奨されている。35歳~69歳の日本人女性3.6万人超を10年近く調査
座位時間とがん発症の関連について指摘した報告は増えているが、日本人の1日の座位時間と乳がん発症との関係はよく分かってない。 そこで京都府立医科大学などは、座位時間と乳がん発症の関連を明らかにし、さらに運動することががんリスクの解消になるかについて調査した。 研究グループは、35歳~69歳の日本人女性3.6万人超を10年近く(中央値 9.4年間)追跡して調査した。期間中に554人の女性が乳がんを発症した。 その結果、1日の座位時間が7時間以上の集団は、7時間未満の集団に比べ、乳がんの発症リスクが36%高かった。 さらに余暇の運動量として、代謝当量であるMETs(メッツ)、余暇の運動頻度、1日の歩行時間と座位時間の影響についても分析した。 その結果、1日の座位時間が7時間以上の集団では、7時間未満の集団に比べ、1週間の余暇の1時間のジョギングに相当する運動、余暇に週3回以上の運動、1日1時間以上の歩行など、いずれの身体活動を行っていても、やはり乳がん発症リスクが高いことが分かった。座位時間の長い女性は運動を増やしてもリスクは低下しない
今回の研究は、日本多施設共同コホート研究「J-MICC STUDY」の一環として実施したもの。 研究は、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・乳腺外科学(同大学大学院医学研究科 地域保健医療疫学 併任)フューチャーステップ研究員の富田仁美氏らの研究グループが、「J-MICC STUDY」の一環として実施したもの。研究成果は、科学誌「Cancer Science」に掲載された。 「今回の研究は、日本人女性での1日の座位時間と乳がん発症との関連を評価した、はじめての大規模研究です」と、研究者は述べている。 「1日に7時間以上座って過ごしている女性は、乳がんのリスクが36%上昇することが分かりました。この結果は、世界でもっとも長い時間を座ったまま過ごしていると言われる日本人にとって重要です」と、研究グループでは述べている。 「また、1日7時間以上の座位時間では、余暇の運動や1日の歩行時間が増えても、乳がん発症リスクは低下しませんでした。研究結果は、乳がん発症で座位時間が運動よりも強い影響を与える要因である可能性を示しています」。長すぎる座位時間を短縮し、こまめに体を動かすことを提案
「乳がん予防として、1日の座位時間を7時間未満に減らすことが有用であり、女性のみならず男性でも、長すぎる座位時間を短縮することが勧められます」と、研究者は述べている。 コロナ禍からのテレワーク普及により、今後も在宅業務による家庭内デスクワークの継続導入が予測される。在宅業務は、通勤時間が削減されるため、運動不足に加え、座っている時間の延長につながる可能性があるとしている。 また、ふだんの座りっぱなしによる運動不足を解消するために、余暇の時間にまとめて運動するよりも、ふだんから座位時間を短縮し、こまめに運動を取り入れることが効果的であると考えられる。 「座りっぱなしに気がついたら立ち上がってストレッチをしてみる、普段の移動にエスカレーターではなく階段を使ってみる、隙間時間に体操をしてみるなど、日々の小さな心がけで健康を維持していきましょう」としている。 「J-MICC STUDY」は、10万人以上の日本人の健康状況を20年にわたり追跡し、どのような人がどのような環境のもとでどのような病気になりやすいかを調べている日本多施設共同コホート研究[主任研究者:愛知県がんセンター研究所 がん予防研究分野・松尾恵太郎分野長]。 がん発症や死因などの追跡調査も行っており、乳がんのみならず他のがんと座位時間の関連も今後解明していく可能性があるとしている。 京都府立医科大学 内分泌・乳腺外科学Seven-plus hours of daily sedentary time and the subsequent risk of breast cancer: Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study (Cancer Science 2023年12月2日)
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