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運動習慣が脳を健康に マインドフルネスを組み合わせるとメンタルヘルスも改善 運動継続にも有用

 運動を行う習慣が脳の健康を改善するのにつながることが、1万人超を対象とした大規模な研究で明らかになった。

 「簡単な方法が、私たちの脳を健康に保つのに役立ちます。それは、体を毎日活発に動かし、アクティブに過ごすことです」と、研究者は述べている。

 運動に「マインドフルネス」を組み合わせることで、精神的な健康と幸福度が大きく高められることも示された。

 「新しい年をスタートするときに、"今年はもっと運動に取り組もう"と考えることは、身体的にも精神的にも、健康に大きなプラスの効果をもたらす可能性があります」としている。

運動をしている人は脳の大きさを維持できている

 運動を行う習慣が脳の健康を改善するのにつながることが、1万人超を対象とした大規模な研究で明らかになった。研究は、米国のパシフィック神経科学研究所の脳健康センターなどによるもの。

 「ウォーキングやランニング、水泳などの運動や身体活動を習慣として行っている人は、灰白質や白質、海馬などの、脳の主要な領域の容積が大きい傾向があることが示されました」と、同センターで神経放射線学を専門としているサイラス ラジ氏は言う。

 「運動を行う習慣は、脳の健康にも良いことが、あらためて裏付けられました。運動は、認知症のリスクを下げ、脳の大きさを維持するのにも役立っています。このことは、私たちが年齢を重ねるにつれて、非常に重要になります」としている。

 灰白質は中枢神経系組織のなかでニューロン(神経細胞)が集まっている領域で、白質は神経線維が集積しており脳のさまざまな領域をつないでいる。海馬は脳の皮質部位で、記憶の形成で重要な役割をはたしている。

運動は脳の健康に永続的なメリットをもたらす

 研究グループは、ニュージャージー州などで磁気共鳴画像診断(MRI)などによる検査を提供しているプレヌーボ画像センターを受診した、1万125人の米国人の脳MRI検査の画像を解析した。

 「簡単な方法が、私たちの脳を健康に保つのに役立ちます。それは、体を毎日活発に動かし、アクティブに過ごすことです」と、同センターのデイビッド メリル所長は言う。

 「散歩を毎日したり、好きなスポーツに取り組んだり、運動を習慣として行うことは、脳の健康に永続的なメリットをもたらします」。

 「1日に4,000歩未満を歩くといった、中程度の身体活動であっても、脳の健康に良い影響をもたらす可能性があります」としている。

 研究は、脳のイメージングに対する運動の影響を示したもので、運動に加えて、食事・ストレスの軽減・社会的なつながりの活性化など、他の因子と組み合わせことで、薬剤に頼らなくても、アルツハイマー病などの認知症のリスクを大幅に軽減できる可能性があるとしている。

運動に「マインドフルネス」を組み合わせるとメンタルヘルスが向上

運動とマインドフルネスの組合せは効果がある

 英国のバース大学が発表した別の研究では、運動に「マインドフルネス」を組み合わせることで、精神的な健康と幸福度が大きく高められることが示された。

 マインドフルネスの実践は、運動をはじめるときの動機付けにもなり、軽い痛みや不快感などがあり運動を続けるのが難しくなったときの助けにもなるという。

 マインドフルネスを日本語に訳すと、「気付くこと」「意識すること」という意味。

 ストレス緩和やリラックスに役立つウォーキング、ヨガやストレッチ、瞑想などを実践することが、メンタルヘルスの改善に役立つという研究は多く発表されている。

 たとえば、1日のなかで数分間、深く呼吸をしながら集中力を高め、自分に注意を向けるための時間を確保することなどが、マインドフルネスの実践になる。

マインドフルネスによりストレス・不安・心配を軽減

 研究グループは今回、運動や身体活動とマインドフルネスの関連を調べた35件の試験の結果を解析した。

 その結果、マインドフルネスを実践することは、ストレスや不安、心配を軽減し、より健康で幸せな生活をおくるのに効果的であることが示された。

 「マインドフルネスを活用すれば、運動がもたらすプラスの効果をさらに引き出せる可能性があります」と、同大学で運動療法を専門としている心理学者であるマーシャ レムスカー氏は言う。

 「新しい年をスタートするときに、"今年はもっと運動に取り組もう"と考えることは、身体的にも精神的にも、健康に大きなプラスの効果をもたらす可能性があります」。

 「しかし多くの人にとって、運動をずっと続けるのは、最初は大変なことと感じられます。そういう方々をサポートするツールが必要です」。

 「マインドフルネスにより、自分の生活スタイルについて、異なる見方をできるようになると、自分の欠点をより受け入れやすくなり、批判的になることがなくなり、健康的な習慣を続けるのに役立つと考えられます」としている。

 研究を支援した非営利団体であるメディト財団は、「マインドフルネス瞑想アプリ」も開発し、無料で提供しているという。心身の緊張をときほぐし、リラックスするためのアプリは世界的に増えている。

Providence Saint John's Pacific Neuroscience Institute brain health experts 
among research team (IOS Press 2023年12月11日)
Exercise-Related Physical Activity Relates to Brain Volumes in 10,125 Individuals (Journal of Alzheimer's Disease 2023年12月7日)
Combine mindfulness with exercise for mental health boost in 2024 - study (バース大学 2024年1月2日)
Effects of combining physical activity with mindfulness on mental health and wellbeing: Systematic review of complex interventions (Mental Health and Physical Activity 2024年3月)
[Terahata]
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