「安衛法に基づく一般健診」厚生労働省の検討会が初会合
ー女性の健康に関連する項目追加など検討へ
女性の健康課題への対応の重要性
このような状況のもと、特に女性の健康課題への対応の重要性が、いっそう高まってきた。
政府の「規制改革実施計画」(令和5年6月16日閣議決定)では、定期健康診断について「最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、医学的知見等に基づく検討の場を設け、検査項目(検査頻度を含む)及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得る」とされた。
また「経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日閣議決定)」では、「女性版骨太の方針2023」(令和5年6月)に基づき、事業主健診の充実等によって、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現することが期待されている。
その「女性版骨太の方針2023」では、「事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加する」と掲げられた。
これら政府の方針を受け、厚労省は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等についての検討会を設置し、令和6(2024)年度中にとりまとめを行うこととなった。
事後措置の対応や問診結果の取り扱いについて議論
初回となった昨年12月の検討会では、主に女性の健康に関する検査項目についてフォーカスを当てて意見が交わされた。
労働安全衛生法に基づく一般健康診断は、いうまでもなく"労働者の健康確保措置のために事業者責任によって実施するもの"で「労働と(健診に)どう関係があるかを明確にする必要がある」という意見。さらに「健診結果は事業者が把握する必要があり、問診項目とした場合、例示されている月経困難症や更年期症状といった女性にとって機微な内容と感じる健康情報が、事業者側に知られることになる。女性の活躍ということに直結するか」といった、個人情報の取り扱いについて問う意見も出された。
その点に関して「海外の女性の健康管理の例をみると、日本の『治療と仕事の両立支援』に似た枠組みで進めており、それらを参考にできるのでないか」という見解や「ストレスチェック制度と同じような扱いにし、フォローアップ体制が必要ではないか」といった意見が出されるなど、さまざまな角度から議論が交わされた。
今後、検討会では、女性の健康に関する検査項目のほか、高齢者の健康に関連する検査項目や現行の一般健康診断の検査項目が最新のエビデンスに基づいているかなどを検討していく。
厚労省は今回の意見を取りまとめ、今後の方向性を示し、次回(1月25日予定)以降、ヒアリングや個別の健診項目などについて議論を進めるとしている。
参考資料
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(厚生労働省)
令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会-(厚生労働省)
令和4年版働く女性の実情(厚生労働省)


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