ニュース
【中年クライシス】 ストレスが肥満やメタボを悪化 ストレスでメンタルヘルス不調に 対策は?
2024年01月29日
ストレスによるうつの状態が続くと、体重が増加し、過体重や肥満になりやすいことが明らかになった。
ストレスと炎症と関連が深く、メタボとも関連していることも分かった。ストレスを管理することが、メタボに対策するために重要であることが示された。
ストレスにより体重が増加 メンタルヘルスが影響
ストレスの多い現代社会では、うつは「心の風邪」と言えるほど、誰もがおちいりやすい状態だ。ストレスによるうつの状態が続くと、体重が増加し、過体重や肥満になりやすいことが、英国のケンブリッジ大学の新しい研究で明らかになった。 メンタルヘルスと体重のあいだに関連があり、相互に潜在的に影響をおよぼしあっている。とくに新型コロナのパンデミックは多くの人にストレスをもたらし、その影響も今も続いているとしている。 「すでに過体重や肥満のある人では、うつなどのメンタルヘルスの悪化が、長期的により大きな体重変化をもたらす可能性が示されました」と、ケンブリッジ医学研究評議会(MRC)疫学部門のジュリア ミューラー氏は言う。 「過体重や肥満のある人のうつ症状に注意を向け、必要に応じて適切に対処し、ストレスを管理すると、心も体も健康になり、体重増加と健康状態の悪化を抑制できる可能性があります」としている。うつ症状のスコアが悪化すると体重が増加
研究グループは今回、フェンランドの新型コロナウイルス感染症研究に登録された2,000人以上の成人のデータを調査した。 モバイルアプリを利用し、新型コロナのパンデミック中の2020年8月~2021年4月に収集した、メンタルヘルスと体重に関する最長9ヵ月のデータを解析し、個々のうつ・不安・知覚されたストレスなどの症状を評価した。 その結果、個人のうつ症状のスコアが悪化するごとに、1ヵ月後に体重が45g増加することが明らかになった。うつ病の症状スコアが5(軽度)から10(中等度)に上昇すると、体重が平均して225g増加するとしている。 とくに、過体重や肥満のある人でこの傾向は強まり、うつ症状スコアのポイントが上昇するごとに、過体重(BMI 25~29.9)の人では52g、肥満(BMI 30以上)の人では71g、それぞれ体重が増加した。 「過体重または肥満の人は、より憂鬱な気分に反応して体重が増加しやすいことが示唆されました。体重増加は1ヵ月間では、比較的小さいものでしたが、長期間にわたって発生していることに注意する必要があります」と、ミューラー氏は指摘している。 「スマートフォンのアプリを利用した調査により、より長期間にわたり、多くの人を対象に調査を行えるようになっています。このテクノロジーを利用した研究により、メンタルヘルスの変化が過体重や肥満にどのように影響するか、より詳しく解明できると期待しています」としている。中年期のストレスが肥満・メタボに悪影響 ストレス管理が必要
慢性的なストレスは肥満やメタボを悪化させる
ストレスを管理して肥満やメタボに対策
研究グループは今回、米国で実施されている全国調査である「米国人の中年期の生活」に参加した平均年齢52歳の男女648人のサンプルデータを解析し、ストレスと炎症が、肥満やメタボにどのように影響するかを調べた。 参加者の知覚ストレス、炎症反応を調べるための血液バイオマーカー(IL-6、C反応性タンパク、E-セレクチン、ICAM-1、フィブリノーゲン)、メタボの危険因子が反映される健診結果などを分析した。 その結果、ストレスは肥満やメタボに影響しており、その関連の多く(61.5%)は、炎症によって説明できることが明らかになった。 内臓脂肪が過剰にたまったメタボの人で、慢性炎症が起こりやすいと考えられる。内臓にたまった異常な脂肪細胞から、炎症性物質が多く放出され、これが慢性炎症の引き金となっている。 慢性炎症は体内でじわじわと持続的に起こり、心血管疾患、2型糖尿病、がんなどの疾患のリスクも上昇させる。ストレスが体に及ぼす影響は大きい
「ストレスと炎症と関連が深く、メタボとも関連していることが、3つの要素を一度に調べることで明らかになりました」と、ヘイズ氏は言う。 「米国の成人の3人に1人がメタボと推定されています。メタボを予防・改善し、健康リスクを下げる介入が必要です」。 「ストレスを管理することも、メタボに対策する手段として重要です。多くの人は、ストレスはメンタルヘルスに関連するものと考えていますが、実際には身体的な影響も大きいのです」としている。 研究グループは今後、ストレスを管理しながら、炎症の軽減につなげる、簡易的に行えて費用対効果も高い、最適な方法を開発する研究に取り組むとしている。The relationship of within-individual and between-individual variation in mental health with bodyweight: An exploratory longitudinal study (PLOS ONE 2024年1月10日)
Stress, via inflammation, is linked to metabolic syndrome (オハイオ州立大学 2024年1月12日)
Inflammatory biomarkers link perceived stress with metabolic dysregulation (Brain, Behavior, & Immunity - Health 2023年12月)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要