ニュース

子宮頸がん予防のためにできること HPVワクチンのキャッチアップ接種の副反応を調査 90%が「不安はない」と回答

 岡山大学は、ヒトパピローマウイルス感染の予防のためのHPVワクチンについて、学生・教職員を対象に2023年8月から接種を実施しており、このほど接種後の副反応の調査結果を発表した。

 その結果、HPVワクチン接種後アンケートでは、接種後の局所の痛みは60%程度、腫脹は30%程度、発熱は4%程度でみられた。症状は、接種当日~翌日には消失する人が多かった。継続した診療の必要な重篤な副反応が認められた人はいなかった。

 HPVワクチンのキャッチアップ接種事業は、2025年3月で終了する予定であり、公費負担で接種を完遂するためには、2024年9月までに接種を開始する必要がある。

 「子宮頸がん予防には、HPVワクチンとがん検診が重要です。HPVワクチンの接種費用が公費で負担されるキャッチアップ接種は、あと1年で終了する予定です」と、研究者はコメントしている。

 「接種対象者やその周囲の方が、今回の調査結果を知ることで、接種やがん検診受診などの子宮頸がんの予防行動について考え、行動する機会につながることが期待されます」としている。

公費で接種を受けられるキャッチアップ接種はあと1年で終了

 多くの若い働き盛りの女性や子育て世代の女性が、子宮頸がんに罹患して妊娠ができなくなったり、後遺症を抱えたり、命を失っており、深刻な状況になっている。

 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こり、発症ピークは30~40代で、「マザーキラー」とも呼ばれている。日本では、年間約1万人が子宮頸がんを発症し、約2,900人の女性が毎年、子宮頸がんで亡くなっている。

 HPVワクチンは、HPV感染の予防だけでなく、子宮頸がん発症の予防の効果もあることも明らかになっている。日本では、2022年4月~2025年3月末までの3年間、公費での接種が受けられるキャッチアップ接種が行われている。

出典:岡山大学、2024年

接種後に「不安はない」と答えた女性が90% 「知人にも勧めたい」

 そこで岡山大学は、2023年6月に実施した学内アンケート調査の結果をふまえ、キャッチアップ接種の対象者が多く所属している大学の責務として、接種の機会を設けることが必要と考え、学生・教職員へのHPVワクチン接種を実施し、接種後の副反応の調査を行った。

 その結果、HPVワクチン接種後アンケートでは、接種後の局所の痛みは60%程度、腫脹は30%程度、発熱は4%程度でみられた。症状は、接種当日~翌日には消失する人が多かった。継続した診療の必要な重篤な副反応が認められた人はいなかった。

 接種者の半数以上は、接種前に不安感を感じており、その多くは副反応に対しての不安だったが、接種1週間後には「不安はない」と答えた人が、1回目接種後に90%、2回目接種後に82.9%、3回目接種後に90.7%に上り、気持ちが変化したことが示された。

 HPVワクチン接種について、「友人・知人にどのくらい勧めたいか」という質問に対して、「強く勧める」「勧める」と答えた人は、1回目接種後に71.2%、2回目接種後に66.3%、3回目接種後に70.9%に上った。

出典:岡山大学、2024年

HPVワクチン接種やがん検診受診について考え行動する機会に

 同大学は、2023年8月から岡山大学病院総合内科・総合診療科、感染症内科および産科婦人科の医師の協力のもと、岡山大学病院総合トリアージステーションで、同学学生・教職員を対象とするHPVワクチン接種を実施している。

 今回の報告は、2024年1月22日~24日で3回目の接種を無事終了した人を対象に実施した、1~3回目接種までの接種後の副反応についての調査の結果をまとめたもの。1,333人(女性:1,029人)が回答し、うちキャッチアップ接種対象者は606人(45.5%)だった。

 研究は、岡山大学学術研究院医歯薬学域 周産期・小児救急医療学講座の小川千加子准教授、保健管理センターの樋口千草准教授らによるもの。

 「子宮頸がん予防には、HPVワクチンとがん検診が重要です。HPVワクチンの接種費用が公費で負担されるキャッチアップ接種は、あと1年で終了する予定なので、対象の方は早めにご検討ください」と、小川准教授はコメントしている。

 「接種対象者やその周囲の方が、今回の調査結果を知ることで、接種やがん検診受診などの子宮頸がんの予防行動について考え、行動する機会につながることが期待されます」としている。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学教室
岡山大学 保健管理センター
HPVワクチンについて (岡山大学 保健管理センター)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
2025年07月28日
【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
2025年07月22日
高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
2025年07月18日
日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
2025年07月18日
「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
2025年07月14日
適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
2025年07月14日
暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶