ニュース
エレベーターは寿命を短くする 階段の上り下りが心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下 細切れ時間に運動を
2024年05月14日
なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないようにして、歩いて階段を上り下りしている人は、心筋梗塞や脳卒中などで死亡するリスクが低いことが、大規模な調査で明らかになった。
数分間の短い時間でも、階段を上るのを習慣にすると、心肺機能を高められ、健康改善につながることも示されている。
短い時間に行う運動は、日常生活に簡単に取り入れることができる。
「職場でも、自宅でも、それ以外の場所でも、エレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を使うようにしましょう」と、研究者はアドバイスしている。
日常で簡単に取り入れられる運動 迷ったら階段を選択
なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないようにして、歩いて階段を上り下りしている人は、心筋梗塞や脳卒中などで死亡するリスクが39%低いことが、48万人超を対象とした研究で明らかになった。 詳細は、4月にギリシャのアテネで開催された、欧州心臓病学会(ESC)の学術集会で発表された。 「階段を使うか、エレベーターを使うかと迷ったら、なるべく階段の方を選んでください。そのことが心臓の健康を高めます」と、イースト アングリア大学で循環器疾患の研究をしているソフィー パドック氏は言う。 「短時間の階段の昇降であっても、3階分を上るだけで、健康に有益な効果があらわれます。なるべく階段を使うようにすることが、日常生活に組み込みやすい達成可能な目標になります」としている。階段を使っている人は心血管疾患の死亡リスクが39%減少
研究グループは、身体活動と心血管疾患のリスクの関連を調べた、35歳~84歳の48万0,479人を対象とした9件の研究を解析した。 その結果、階段を使うようにしている人は、使っていない人に比べ、なんらかの原因で死亡するリスクが24%低く、心血管疾患で死亡するリスクは39%低いことが明らかになった。 1日に3階分の階段を使うだけでも効果があるが、5階以上の上り下りを毎日している人は、心臓発作、心不全、脳卒中などの心血管疾患のリスクも低下することが示された。 「職場でも、自宅でも、それ以外の場所でも、エレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を使うようにしましょう」と、パドック氏は述べている。短い時間に行う運動が健康増進につながる
数分間の短い時間でも、階段を上るのを習慣にすると、心臓血管の健康を改善できることは、カナダのマクマスター大学などによる別の研究でも示されている。 短い時間に行う運動は、日常生活に簡単に取り入れることができる。誰でも・いつでも・どこであっても、フィットネスを向上させることは可能としている。 「高層オフィスで働いている人や、集合住宅に住んでいる人が多く、多くの人にとって階段は身近なものです。朝、昼、夕方と、数階の階段を、元気よく上ることは、効果的な身体トレーニングになります」と、マクマスター大学運動学部のマーティン ギバラ教授は言う。 これまでの研究でも、「スプリント インターバル トレーニング(SIT)」と呼ばれる短時間の活発な運動は、効果的であることが示されている。所要時間は10分程度であり、多くの人が簡単に生活に取り入れることができる。短い時間に行う運動は心肺機能の向上に効果的
研究グループは、座ったまま過ごす時間の長い生活をしている24人の健常者を対象に、1~4時間の回復時間を挟んで3階分の階段(60段)を1日3回、活発に上る運動を週3日、6週間行う群と、こうしたトレーニングを行わない対照群に分け、心肺機能にどのような影響があらわれるかを調べた。 その結果、1時間~4時間の回復時間をはさんで行う階段の昇降が、心肺機能の向上に効果的であることが明らかになった。 「これまでの研究で、スプリント インターバル トレーニングが効果的であることは分かっていますが、階段の昇降という、身近でできるアプローチも効果があることが分かりました」と、ギバラ教授は言う。 「昼間のコーヒー休憩や、トイレ休憩のついでに、数回分の階段を元気良く上るだけで、とくに座りがちな生活をしている人々の体力を高める効果を期待できます」としている。 研究グループは今後、短い時間に行う運動を回復時間を変えて行ったり、血圧や血糖管理などの健康指標への影響を調査したいとしている。 Climb stairs to live longer (欧州心臓病学会 2024年4月26日)Exercise 'snacks' make fitness easier: Researchers find short bouts of stairclimbing throughout the day can boost health (マクマスター大学 2019年1月18日)
Do stair climbing exercise "snacks" improve cardiorespiratory fitness? (Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism 2019年1月16日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年06月17日
- どんな食事スタイルの人が肥満・メタボのリスクが高い? 食事を改善する簡単な方法「食べることに意識を集中」
- 2024年06月17日
- メンタルヘルスを改善する効果的な方法 手軽に取り組める3つのストレス解消法 心と体をケア
- 2024年06月17日
- ソーシャルメディアの上手な使い方 食事の改善や指導に活用 メンタルヘルス不調の改善効果も
- 2024年06月17日
- 肥満やメタボは女性にとっても深刻 若い頃に肥満だった女性は心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇 野菜を食べるとリスクは減少
- 2024年06月10日
- 「和食」が認知症リスクを低下 日本型の食事スタイルが脳を健康に 健康的な食事はメンタルヘルスにも良い
- 2024年06月10日
- 労働者の問題飲酒を調査 「週3回以上」「1回2合以上」の飲酒は危険信号 男女でどんな違いが?
- 2024年06月10日
- スマホで写真を撮ると食事改善が上手くいく 食事の振り返りができる 保健指導にも活用
- 2024年06月10日
- 【フレイル予防】やせの人は脳卒中リスクが高い 肥満だけでなく低体重も健康リスクに 日本人5.6万人のデータを解析
- 2024年06月04日
- 掃除や買い物などの家事も立派な運動? 4時間以上体を動かすと死亡リスクは大幅減少 座位時間を中断して体を動かす習慣を
- 2024年06月03日
- 暑い夏の水分補給 食事改善にも役立つ「上手な水の飲み方」 水を十分に飲むと腸内環境も健康に