ニュース

エレベーターは寿命を短くする 階段の上り下りが心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下 細切れ時間に運動を

 なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないようにして、歩いて階段を上り下りしている人は、心筋梗塞や脳卒中などで死亡するリスクが低いことが、大規模な調査で明らかになった。

 数分間の短い時間でも、階段を上るのを習慣にすると、心肺機能を高められ、健康改善につながることも示されている。

 短い時間に行う運動は、日常生活に簡単に取り入れることができる。

 「職場でも、自宅でも、それ以外の場所でも、エレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を使うようにしましょう」と、研究者はアドバイスしている。

日常で簡単に取り入れられる運動 迷ったら階段を選択

 なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないようにして、歩いて階段を上り下りしている人は、心筋梗塞や脳卒中などで死亡するリスクが39%低いことが、48万人超を対象とした研究で明らかになった。

 詳細は、4月にギリシャのアテネで開催された、欧州心臓病学会(ESC)の学術集会で発表された。

 「階段を使うか、エレベーターを使うかと迷ったら、なるべく階段の方を選んでください。そのことが心臓の健康を高めます」と、イースト アングリア大学で循環器疾患の研究をしているソフィー パドック氏は言う。

 「短時間の階段の昇降であっても、3階分を上るだけで、健康に有益な効果があらわれます。なるべく階段を使うようにすることが、日常生活に組み込みやすい達成可能な目標になります」としている。

階段を使っている人は心血管疾患の死亡リスクが39%減少

 研究グループは、身体活動と心血管疾患のリスクの関連を調べた、35歳~84歳の48万0,479人を対象とした9件の研究を解析した。

 その結果、階段を使うようにしている人は、使っていない人に比べ、なんらかの原因で死亡するリスクが24%低く、心血管疾患で死亡するリスクは39%低いことが明らかになった。

 1日に3階分の階段を使うだけでも効果があるが、5階以上の上り下りを毎日している人は、心臓発作、心不全、脳卒中などの心血管疾患のリスクも低下することが示された。

 「職場でも、自宅でも、それ以外の場所でも、エレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を使うようにしましょう」と、パドック氏は述べている。

短い時間に行う運動が健康増進につながる

 数分間の短い時間でも、階段を上るのを習慣にすると、心臓血管の健康を改善できることは、カナダのマクマスター大学などによる別の研究でも示されている。

 短い時間に行う運動は、日常生活に簡単に取り入れることができる。誰でも・いつでも・どこであっても、フィットネスを向上させることは可能としている。

 「高層オフィスで働いている人や、集合住宅に住んでいる人が多く、多くの人にとって階段は身近なものです。朝、昼、夕方と、数階の階段を、元気よく上ることは、効果的な身体トレーニングになります」と、マクマスター大学運動学部のマーティン ギバラ教授は言う。

 これまでの研究でも、「スプリント インターバル トレーニング(SIT)」と呼ばれる短時間の活発な運動は、効果的であることが示されている。所要時間は10分程度であり、多くの人が簡単に生活に取り入れることができる。

短い時間に行う運動は心肺機能の向上に効果的

 研究グループは、座ったまま過ごす時間の長い生活をしている24人の健常者を対象に、1~4時間の回復時間を挟んで3階分の階段(60段)を1日3回、活発に上る運動を週3日、6週間行う群と、こうしたトレーニングを行わない対照群に分け、心肺機能にどのような影響があらわれるかを調べた。

 その結果、1時間~4時間の回復時間をはさんで行う階段の昇降が、心肺機能の向上に効果的であることが明らかになった。

 「これまでの研究で、スプリント インターバル トレーニングが効果的であることは分かっていますが、階段の昇降という、身近でできるアプローチも効果があることが分かりました」と、ギバラ教授は言う。

 「昼間のコーヒー休憩や、トイレ休憩のついでに、数回分の階段を元気良く上るだけで、とくに座りがちな生活をしている人々の体力を高める効果を期待できます」としている。

 研究グループは今後、短い時間に行う運動を回復時間を変えて行ったり、血圧や血糖管理などの健康指標への影響を調査したいとしている。

Climb stairs to live longer (欧州心臓病学会 2024年4月26日)
Exercise 'snacks' make fitness easier: Researchers find short bouts of stairclimbing throughout the day can boost health (マクマスター大学 2019年1月18日)
Do stair climbing exercise "snacks" improve cardiorespiratory fitness? (Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism 2019年1月16日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶