ニュース
若い頃の運動不足は中年になってから健康・労働力の低下に影響 若いうちにこそ身につけたい運動習慣
2024年05月14日
若年期に運動不足で心肺機能が低下していた人は、成人してから労働力が低下しやすく、病気による欠勤も増えやすいことが45年間の調査で示された。
運動ガイドラインで推奨されている運動量を満たしていない若者は、満たしている若者に比べ、全身の健康状態が悪化する可能性が2倍以上高く、メンタルヘルスも良好でない傾向があることも分かった。
「若い頃に運動不足であったり体力が低下していた人は、年齢を重ねてからも影響が続きます。意識して、日常生活で運動や身体活動を増やすことが必要です」と、研究者は指摘している。
心肺機能が低下した若者は成人になってから労働力が低下しやすい
若年期に運動不足で心肺機能が低下していた人は、成人してから労働力が低下しやすく、病気による欠勤も増えやすいことが、フィンランドのユヴァスキュラ大学による45年間の調査で示された。 「年齢を重ねてからの労働力の低下や、体調不良による欠勤、早期退職などは、個人にとって生活の質の低下につながるだけでなく、社会レベルでの経済的負担の増大にもつながります」と、同大学スポーツ健康科学部のペルトゥ ラークソ氏は言う。 「心肺機能を向上させるために、小児期や若年期から日常生活で運動や身体活動を増やすことを心がける必要があります」としている。 研究グループは今回、フィンランドの若年者を対象としたコホート研究に参加した1,207人を対象に、平均して45年間追跡して調査した。 参加者が12~19歳だったときに心肺機能を含む体力測定を行い、その後に2回(37~44歳、37~44歳)、労働力について自己評価してもらった。 その結果、若年期の心肺機能の低下は、その後の就業生活での労働能力の低下と、体調不良による欠勤率の増加、および職業人生での労働力の低下と関連することが分かった。若い頃の体力の低下は、高齢期まで影響する可能性があるという。小児期や若年期にも保健指導が必要 予防戦略を実行
「小児期や若年期に、運動や身体活動に取り組むことを奨励し、体力をモニタリングすることが必要です。リスクの高い人には早期に保健指導を提供し、予防戦略を実行することが望まれます」と、ラークソ氏は指摘する。 なお、今回の研究の参加者の多くは1960年代生まれで、それ以降に生まれた若年者に比べて心肺機能の平均は高かったことを考えられ、現在の若者の運動不足の影響はさらに深刻だとしている。 「若い頃に運動不足であったり体力が低下していた人は、年齢を重ねてからも影響が続きます。意識して、日常生活で運動や身体活動を増やすことが必要です」と、研究者は指摘している。 関連情報若い頃に運動に参加するとその後の人生で体と心に有益な影響が
若年期のレクリエーション運動への参加は、その後の人生に、身体と精神の健康に有益な影響をもたらすことが、オーストラリアのアデレード大学による別の研究でも示された。 研究グループは、オーストラリア若年者縦断調査(LSAY)に参加した9,353人の若者を対象に、16歳から24歳まで追跡して調査した。 その結果、運動ガイドラインで推奨されている運動量を満たしていない若者は、満たしている若者に比べ、全身の健康状態が悪化する可能性が2.24倍高く、メンタルヘルスも良好でない傾向があることなどが示された。成人してから肥満や糖尿病などのリスク軽減に役立つ
とくに自己効力感の低い人、運動に対して消極的な人、学校の成績が高い人、社会経済的に不利な立場にある人、さらに女性は、思春期から青年期への移行期に、運動を習慣として行う生活パターンを確立できていない傾向がみられたという。 「多くの若者は、学校や自宅での学業の成績が生活の中心になっていますが、運動や身体活動を奨励する教育にも重要な役割があります。若い頃から運動習慣を身につけてもらう必要があります」と、同大学保健医療学部のオリバー シューベルト氏は言う。 「若者が継続的かつ習慣的に運動に取り組むことが、体力と身体的健康の向上、自尊心の改善、苦痛の軽減、さらには成人になってからの肥満や2型糖尿病などの慢性疾患のリスクの軽減などに長期的に役立つことが知られています」としている。 Low cardiorespiratory fitness in youth is associated with decreased work ability throughout adulthood (ユヴァスキュラ大学 2024年4月8日)Adolescent Cardiorespiratory Fitness and Future Work Ability (JAMA Network Open 2024年3月27日)
Exercise habits in youth create better health outcomes for some (アデレード大学 2024年4月4日)
Long-term recreational exercise patterns in adolescents and young adults: Trajectory predictors and associations with health, mental-health, and educational outcomes (PLOS ONE 2024年3月21日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年06月17日
- どんな食事スタイルの人が肥満・メタボのリスクが高い? 食事を改善する簡単な方法「食べることに意識を集中」
- 2024年06月17日
- メンタルヘルスを改善する効果的な方法 手軽に取り組める3つのストレス解消法 心と体をケア
- 2024年06月17日
- ソーシャルメディアの上手な使い方 食事の改善や指導に活用 メンタルヘルス不調の改善効果も
- 2024年06月17日
- 肥満やメタボは女性にとっても深刻 若い頃に肥満だった女性は心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇 野菜を食べるとリスクは減少
- 2024年06月10日
- 「和食」が認知症リスクを低下 日本型の食事スタイルが脳を健康に 健康的な食事はメンタルヘルスにも良い
- 2024年06月10日
- 労働者の問題飲酒を調査 「週3回以上」「1回2合以上」の飲酒は危険信号 男女でどんな違いが?
- 2024年06月10日
- スマホで写真を撮ると食事改善が上手くいく 食事の振り返りができる 保健指導にも活用
- 2024年06月10日
- 【フレイル予防】やせの人は脳卒中リスクが高い 肥満だけでなく低体重も健康リスクに 日本人5.6万人のデータを解析
- 2024年06月04日
- 掃除や買い物などの家事も立派な運動? 4時間以上体を動かすと死亡リスクは大幅減少 座位時間を中断して体を動かす習慣を
- 2024年06月03日
- 暑い夏の水分補給 食事改善にも役立つ「上手な水の飲み方」 水を十分に飲むと腸内環境も健康に