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ソーシャルメディアの上手な使い方 食事の改善や指導に活用 メンタルヘルス不調の改善効果も

 FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、LINEなどのソーシャルメディアは、上手に活用すると健康増進に役立てられる可能性がある。

 ソーシャルメディアを活用し、野菜の摂取量を増やすのに成功したという研究が発表された。

 ソーシャルメディアを利用し、若い人のメンタルヘルス不調の改善に役立てる試みもはじめられている。

ソーシャルメディアを活用して野菜の摂取量を増やす

 FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、LINEなどのソーシャルメディアは、上手に活用すると健康増進に役立てられる可能性がある。ソーシャルメディアの活用は、とくに若者の野菜の摂取量を増やすのに効果的という研究が発表された。

 食事などの生活スタイルを健康的に変えていくことを提案する投稿の多いアカウントに2週間アクセスした人は、野菜や果物をより多く食べるようになり、ジャンクフードをより少なく食べるようになったという。

 「英国のNHS(国民保健サービス)の調査によると、1日に推奨されている5皿の果物と野菜を食べている英国人はわずか28%です」と、英国のアストン大学心理学部のリリー ホーキンス氏は言う。

 「野菜などの摂取量が少ないと、2型糖尿病、肥満、心臓病、がん、脳卒中などのリスクが上昇します。食事ガイドラインで推奨されている量を食べてもらう効果的な方法をみつけるのは重要です」としている。

 研究グループは、平均年齢22歳のボランティアを2つのグループに分け、1つのグループには健康的な食事スタイルを紹介するアカウントをフォローするよう依頼し、もう1つの対照グループにはインテリアデザインを紹介するアカウントをフォローしてもらった。

 その結果、健康的な食事を勧めるアカウントを利用した参加者は、果物や野菜を1日に1.4皿多く食べるようになり、高カロリーのスナックや糖質が多く含まれる清涼飲料などを1日に0.8皿少なく摂取するようになった。これまでの食生活の改善を促すメディアベースの教育教材による介入に比べて、大幅に改善度が高い結果になった。

 「人々に健康的な生活スタイルを身につけてもらうために、職場や学校、食堂などに、野菜の摂取を奨励するポスターなどを提示したり、酒場などで危険なレベルの飲酒を控えることを促す表示をすることは、一定の効果があることが分かっています」と、ホーキンス氏は指摘している。

 「急速に普及しているソーシャルメディアを上手に活用するのは、さらに効果を期待できるという結果になりました。とくに若い世代の人々にポジティブな社会規範を広める効果的な方法になる可能性があります」としている。

ソーシャルメディアを活用しメンタルヘルスを改善

 ソーシャルメディアを効果的に利用すると、とくに若い人のメンタルヘルスを改善できる可能性があるという研究を、米オハイオ州立大学が発表した

 実験には、うつ病や不安障害のリスクが高いと判定された322人の学生が参加した。参加者は、ソーシャルメディアを1日に1~3時間利用していた。

 その結果、互いに励ましあったり、メンタル状態の改善に取り組むことを促すような投稿を交換した後では、参加者はメンタルヘルスの問題解決に対して楽観的になりやすいことが示された。

 メンタルヘルス不調から回復し、それをコントロールする能力を高めることを紹介した投稿を読んだ後では、「心が軽くなった」「やる気が沸いてきた」といった感想が聞かれ、うつ病や不安の症状を緩和する自己効力感が高まる傾向がみられた。

 ただし、他人に対する不当な誹謗中傷や、固定観念のみで書かれており柔軟性が欠けるような投稿は、避けた方が良いとしている。そうした投稿に近付かないようにするマナーも必要としている。

 「いまの若者はソーシャルメディアに多くの時間を費やしています」と、同大学心理学部のホイットニー ウィッテッド氏は述べている。

 「ソーシャルメディアを上手に利用することは、健康を改善するのに有用である可能性があり、どのような使い方が効果があるかを解明する必要があります」としている。

Aston University research finds that social media can be used to increase fruit and vegetable intake in young people (アストン大学 4月24日)
Can social media be used to increase fruit and vegetable consumption? A pilot intervention study (DIGITAL HEALTH 4月24日)
Social media affects people's views on mental illness (オハイオ州立大学 2024年4月23日)
Seeing is believing: The effect of subtle communication in social media on viewers' beliefs about depression and anxiety symptom trajectories (Journal of Clinical Psychology 2024年1月29日)
[Terahata]
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