一般施設や飲食店などの第二種施設で「屋内全面禁煙」の割合が増加 令和4年度「喫煙環境に関する実態調査」より
厚生労働省はこのほど令和4年度「喫煙環境に関する実態調査」の結果を公表した。
受動喫煙を防ぐため、多くの人が集まる施設では敷地内禁煙や原則屋内禁煙とすることが法律で定められており、その実施状況を確認するもの。
今回の調査では、多数の人が利用する一般施設や飲食店などの第二種施設で屋内全面禁煙の割合が増加していることが明らかになった。
肺がんだと新たに診断される人の数は年々増加しており、2018年には12万3000人に上った。罹患数の増加に伴い、死亡率も上昇。現在、肺がんはがん死因の1位で、2020年には約7万6000人が亡くなっている。
肺がんの原因として、たばこを吸う本人以外が周囲に流れる煙を吸う「受動喫煙」も問題視されている。そのため平成30年に成立、令和2年4月に全面施行された「健康増進法の一部を改正する法律(改正健康増進法)」では、多数の人が利用する施設などで受動喫煙防止の措置義務を課した。
一方、施行後5年を経過した時点で、更なる対策が必要かどうかを検討するため、厚生労働省では定期的に喫煙環境に関する実態調査を続けている。今回は4回目の調査となった。
改正健康増進法では、第一種施設は「敷地内禁煙」、第二種施設は「原則屋内禁煙(喫煙専用室内でのみ喫煙可)」とすることとしている。ただし第一種施設では受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に「特定屋外喫煙場所」を設置することができる。第二種施設では、「喫煙専用室」または「加熱式たばこ専用喫煙室」のいずれかが設置できる。
令和4年度の調査結果を見ると、第一種施設では、火をつけて喫煙するたばこと加熱式たばこを「敷地内全面禁煙」にしている施設の割合は全体の86.3%。施設の種類別に見ると、病院は100%、幼稚園から高校までの学校施設は91%と高かった。一方、全面禁煙にしている割合が最も低かったのは行政機関で61.3%。
敷地内全面禁煙にしていない第一種施設のうち、特定屋外喫煙場所を設置している割合は61.7%。施設の種類別では専修学校や職業・教育支援施設などが100%、行政機関が94.5%など高い。
第二種施設で火をつけて喫煙するたばこを屋内全面禁煙にしている割合は、2021年度から22年度にかけて2.5ポイント増加し74.1%。施設種別では、司法機関(国)が100%。次いで、公民館や図書館、美術館や植物園などの施設が95.9%、都道府県や市町村の立法機関が92.5%などと続く。一方、パチンコホール(16.1%)やバー・キャバレー・ナイトクラブ・スナック(22.3%)が低かった。
第二種施設で火をつけて喫煙するたばこの喫煙専用室を設置している割合は9.7%。施設種別では、パチンコホールの83.3%が最も高かった。
第二種施設で加熱式たばこを屋内全面禁煙にしている割合は72.2%で、前年比1.9ポイント増加。加熱式たばこ専用の喫煙室や飲食できる部屋の設置割合は1.2%。経年比較は以下のとおりとなった。
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