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肥満やメタボの人の腸内細菌は不健康? 食事や運動が腸内フローラの健康に役立つ 改善するための2つの方法
2024年07月29日
ヒトの腸には、多くの腸内細菌が棲みついていて、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれている。腸内細菌が、肥満や糖尿病などとも関係があることが分かってきた。
腸内フローラはその人の生活スタイルの影響を受け変わっていく。野菜をよく食べている人は、腸内フローラが健康であることが明らかになった。
食事などの生活リズムや運動を行う習慣は腸内環境にも影響し、肥満や糖尿病などとも関連していることが研究で示された。
腸内細菌は糖尿病や肥満にも関連
ヒトの腸には、約100兆個の腸内細菌が棲みついていて、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれている。腸内細菌が、肥満や糖尿病などのさまざまな疾患と関係があることが明らかになりつつある。 多様な腸内細菌が、適度なバランスをとりながら、ヒトの健康に影響を与えていることが分かっており、「マイクロバイオーム(多様な微生物の集まり)」として注目されている。 なかでも善玉菌は、悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促すことで、お腹の調子を整えている。代表的な善玉菌として、ビフィズス菌や乳酸菌などが知られている。 ビフィズス菌などの腸内細菌は、食物繊維などをエサとして食べて、酢酸や乳酸などの代謝産物を産生している。代謝産物のひとつに「短鎖脂肪酸」がある。 短鎖脂肪酸は、腸内環境を整える働きをするだけでなく、大腸のぜん動運動をするときのエネルギー源になったり、病原菌やウイルスなどの外敵の侵入を防ぐ免疫作用もあり、体全体の健康に役立っていることが分かってきた。 一方、体に悪い働きをする悪玉菌は、脂質や動物性タンパク質を好み、腸内で有害物質を作りだす。 関連情報野菜や果物を食べると腸内細菌の多様性が良好に
腸内フローラはその人の生活スタイルの影響を受け、組成が変わっていく。食事で野菜や果物をよく食べている人は、腸内細菌の多様性が良好であることが、オーストリアのグラーツ工科大学の研究で明らかになった。 「腸内細菌の多様性は、健康と体の回復力を高めるのに有用です。とくに幼少期に野菜や果物を食べると、細菌が定着する絶好の機会となり、免疫システムの発達に良い影響をもたらす可能性があります」と、同大学環境バイオテクノロジー研究所のガブリエーレ ベルグ氏は言う。 研究グループは、欧州などで乳児の生育や発達を長期間調査している「TEDDY プロジェクト」と「HEDIMED プロジェクト」で収集された生物学的サンプルを解析した。 その結果、果物や野菜を食べる頻度や種類が、ヒトの腸内の細菌に影響を与えていることが示された。食事などの生活リズムも腸内環境に影響する
ウォーキングなどの運動も腸内フローラを健康にする
カナダのカルガリー大学による別の研究では、腸内フローラを健康にするために、ウォーキングなどの適度な強度の運動を習慣として行うのも効果的であることが示された。 運動には、筋肉や骨を強くしたり、2型糖尿病や肥満などの予防・改善に役立ち、寿命の延長にもつながるなど、多くのメリットがある。それらに加えて、腸内環境にも良い影響をもたらすことが示された。 研究グループは、年齢が40~65歳で、体格指数(BMI)が25未満の標準体重の人と、BMIが25以上30未満の肥満の人の計350人を対象に調査した。 その結果、運動をしている標準体重の人は、マイクロバイオームが健康である傾向が示された。一方、肥満の人では運動習慣と関係なく、腸内環境は良好ではないことも分かった。 「ウォーキングなどの活発な運動を1日30分くらい行っている人は、あまり運動をしていない人に比べ、腸内フローラが豊かで多様性がみられることが分かりました」と、同大学キネシオロジー学部のジェーン シアラー教授は言う。 「腸内環境を改善するために、運動を習慣として行うことと、肥満のある人はそれを解消し、健康的な体重を維持することも大切です」としている。腸内フローラを健康にする2つの方法
ペンシルベニア州立大学の研究によると、腸内フローラを改善にするために、毎日の食事で以下の2つのことを行うと効果的だ。
■ 善玉菌のエサとなる食物繊維などを積極的にとる
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野菜・穀類・大豆・海藻・イモ類・ナッツ・果物などに含まれる食物繊維は、消化されずに腸まで届き、善玉菌の栄養になる。また、オリゴ糖も、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養となり、それらを増やす効果がある。 食物繊維やオリゴ糖を含む食品を積極的に取り入れることで、腸内の善玉菌を増やし、その働きを活発にし、腸内環境を改善することを期待できる。 食物繊維には、糖質の吸収をゆるやかにして食後血糖値の急な上昇を抑えたり、コレステロールなどの吸収を遅らせる働きがあるのに加え、腸内の善玉菌を増やしたり、短鎖脂肪酸の産生にも役立つとみられている。 |
■ ヨーグルトや納豆などの発酵食品を食べる
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ヨーグルトやチーズなどの発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く含まれている。これらの食品を摂取することで、腸内の善玉菌を増やせる。 発酵食品に含まれる善玉菌の効果として、整腸作用(有害菌の排除、便秘・下痢の改善)、血圧降下作用、免疫調節によるアレルギー抑制作用なども報告されている。 日本型の食事スタイルは、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品に加えて、納豆・漬物・ぬか漬け・味噌・醤油・お酢など、発酵食品が豊富に含まれるのが特長のひとつだ。ぜひ日本食のスタイルを活用したい。 |
The edible plant microbiome: evidence for the occurrence of fruit and vegetable bacteria in the human gut (Gut Microbes 2023年9月23日)
A Rhythmic Small Intestinal Microbiome Prevents Obesity and Type 2 Diabetes (カリフォルニア大学サンディエゴ校 2022年7月5日)
Diet and feeding pattern modulate diurnal dynamics of the ileal microbiome and transcriptome (Cell Reports 2022年7月5日)
How fit is your gut microbiome?: New research shows duration and not intensity of exercise is most important (カルガリー大学 2023年3月22日)
Physical activity-induced alterations of the gut microbiota are BMI dependent (FASEB Journal 2023年3月21日)
Peanuts and herbs and spices may positively impact gut microbiome (ペンシルベニア州立大学 2022年12月2日)
Peanuts as a nighttime snack enrich butyrate-producing bacteria compared to an isocaloric lower-fat higher-carbohydrate snack in adults with elevated fasting glucose: A randomized crossover trial (Clinical Nutrition 2022年10月)
Walnuts may be good for the gut and help promote heart health (ペンシルベニア州立大学 2020年1月16日)
Walnuts and Vegetable Oils Containing Oleic Acid Differentially Affect the Gut Microbiota and Associations with Cardiovascular Risk Factors: Follow-up of a Randomized, Controlled, Feeding Trial in Adults at Risk for Cardiovascular Disease (Journal of Nutrition 2019年12月18日)
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