ニュース

日本救急医学会『熱中症診療ガイドライン』を改訂
残暑厳しいなか、職場での熱中症予防対策の確認を

職場でもあらためて熱中症予防対策を

 一般的に熱中症になりやすいとされているのは、体温調整の機能が十分に備わっていない子どもや高齢者が思い浮かぶ。だが、働き盛りでも糖尿病、高血圧、心疾患、腎臓疾患などの基礎疾患がある場合は、体温調整の機能が低下しており、熱中症リスクが高いといわれている。

 厚生労働省によると、令和5年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、1,106人(前年比279人・34%増)で、全体の約4割が建設業と製造業で発生している。また、熱中症による死亡者数は31人(前年比3.3%増)で、建設業(12人)や警備業(6人)で多く発生している。
 死亡災害となった多くの事例で、暑さ指数(WBGT)を把握せず、熱中症予防のための労働衛生教育をほとんど行っていなかったという。さらに、糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼす病気を有していた事例も多くみられた。

出展:令和5年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)(2024.5)より

厚労省の「職場における熱中症予防情報」サイトなどを参考に

 ひと口に「熱中症予防対策」といっても、具体的にどんなことに取り組めばよいのかわからず、結果的に何も対策ができないケースも少なくない。そんな時に活用したいのが、厚生労働省が公開している「職場における熱中症予防情報」サイトだ。

 職場で取り組むべき熱中症予防情報が項目ごとに挙げられているので、各現場で取り組み状況を自主点検し、できていないことを抽出することができる。また「自分でできる熱中症予防」として、7つの対策が動画で紹介されている。
 そのほかにも、専門家による検討委員会で作成された「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、基礎知識から具体的な予防法などについて総合的にまとまっている。

 気象庁が注意喚起しているように今年は残暑が厳しい予報で、実際、毎日のように熱中症警戒アラートが出されている。今回の熱中症診療ガイドライン改訂を機に、厚労省などの資料を参考にして、自らの職場での熱中症予防対策についてあらためて確認してみてはいかがだろうか。

参考資料

熱中症診療ガイドライン2024 公表のお知らせ(日本救急医学会)
熱中症関連情報(厚生労働省)
職場における熱中症予防情報(厚生労働省)
熱中症予防情報サイト(環境省)
熱中症を防ごう(日本スポーツ協会)

[保健指導リソースガイド編集部]
side_メルマガバナー

「おすすめニュース」に関するニュース

2025年06月05日
【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月01日
職場の熱中症対策が義務化へ 罰則付きで6月1日施行
2025年04月17日
【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
2025年04月15日
【連載完結】産業保健領域での災害対策を考える
―産業保健職に求められる"平時からの備え"
2025年04月10日
【オピニオン公開中】職域で本当に必要な「運動推進」~労働災害防止のための「身体活動」推進の実践~
2025年03月26日
中小企業のがん対策、経営者の関心が鍵?
「がん対策推進企業アクション」最新調査が示す実態
2025年02月27日
「今後の労働安全衛生対策」建議、安衛法等一部改正案を「妥当」と答申
ーすべての事業場へのストレスチェック義務化などを盛り込む
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶