ニュース

働く女性の健康管理に役立つIoTおよびアプリの利用に課題-東大ら研究グループが指摘

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の齋藤英子准教授と、聖路加国際大学大学院看護学研究科の大田えりか教授らによる研究グループはこのほど、日本人女性1万人を対象にアンケート調査を実施した。

 調査結果から、働く女性の健康管理を目的としたIoTおよびアプリの利用実態が明らかになった。

女性特有の健康問題の認識とアプリの利用目的には乖離が

 全国の20歳から64歳の女性1万人を対象にしたインターネット調査の結果をまとめたもの。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のヘルスケア社会実装基盤整備事業の支援を受けて実施した。

 結果によると、健康管理のためにIoTやアプリを積極的に利用している人は1455人(14.6%)、過去に利用していた人は695人(7.0%)だったが、7850人(78.5%)は利用経験がないと回答した。

 IoTやアプリを積極的に利用している1455人のうち、やせ・肥満・むくみ・ダイエットや栄養障害の症状を抱えているのは249人(17.1%)。実際にこれらの症状を改善するIoTやアプリを利用している、と答えた人は405人(27.8%)だった。

 一方、同様に積極的に利用している人の中で、月経関連の症状や疾患を抱えている人は401人(27.6%)、PMS(月経前症候群)は356人(24.5%)。

 しかし月経関連の症状や疾病を改善するためにIoTやアプリを利用している、と答えた人は249人(17.1%)、PMSは173人(11.9%)にとどまった。

 これらのことから、女性特有の健康問題の認識と、IoT やアプリの利用目的には乖離があることが分かる。

 同グループは、IoTやアプリの利用が進んでいない理由として「日本の女性に向け特化した適切なIoT/アプリが開発されていない」「あったとしても広く知られていない」などと指摘。

 さらに「女性の健康をサポートするフェムテック機器(女性特有の健康課題をテクノロジーで解決することを試みる商品やサービス)が開発されたとしても、その機能を表示するためには、医療機器として承認を受ける必要がある」点も課題としてあげた。

 一方、女性特有のデリケートな問題も含むため「データ利用においてはIoTやアプリにおけるプライバシー保護の枠組みを整備していくことが求められる」としている。

働く女性の健康管理を目的としたIoTおよびアプリの利用実態が明らかに-日本人女性1万人にアンケート調査を実施-(東京大学大学院新領域創成科学研究科/2024年8月1日)
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「女性の健康」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月09日
ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月27日
スマホアプリを活用し社会人のメンタルヘルスを改善 スマホで学ぶ認知行動スキルがうつ状態を改善 睡眠改善を支援するアプリも
2025年05月27日
女性の月経にともなう困難症状は運動習慣によって異なる 生活習慣に応じた対策・支援が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶