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「過労死等の防止のための対策に関する大綱」改定を閣議決定
働く人の命と健康を守るために実効性のある対策を


ウェブサイト「しごとより、いのち。」

 厚生労働省は8月2日、昨年11月から開催してきた「過労死等防止対策推進協議会」でまとめた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直し案が、閣議決定されたことを発表した。

 大綱は「過労死等防止対策推進法」に基づき2015年に策定。3年ごとに見直されており、今回で3回目の改定だ。

10年前、初めて「過労死」を法律名に使用

 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」は、10年前に「過労死」という言葉を初めて法律に使用し、国に対策を講じる義務があると明記した「過労死等防止対策推進法(以下、推進法)」に基づいて2015年に策定された。国が取り組むべき重点対策や過労死防止の数値目標を掲げ、3年に1度見直している。

 策定及び見直しにあたっては「過労死等の当事者代表者、労働者代表者、使用者代表者、専門的知識を有する者を委員とする過労死等防止対策推進協議会の意見を聴く」としており、昨年11月から今年6月まで4回にわたって協議会を開催して取りまとめた。

過労死と自殺者の現状

 過重労働や仕事のストレスを原因とする過労死は、依然として大深刻な社会問題となっている。1980年代後半から「過労死」という言葉が広まり、国際的にも「Karoshi」として知られるようになった。特に長時間労働や職場のハラスメント、メンタルヘルスの問題が原因で過労死が発生することが多く、その防止対策は急務となっている。

 厚生労働省によると、2023年度中に過重労働が原因の脳・心臓疾患で亡くなった人は58人、うつ病などを患って自殺や自殺未遂に至った人は79人に上る。
 さらに昨年の自殺者数約2.2万人のうち、勤務問題が原因・動機と推定される自殺者は13.2%(2,875人)を占める。また原因・動機別にみると、最も多いのは「職場の人間関係(27.0%)」だが、長時間労働などを含む「仕事疲れ(24.7%)」も少なくない。

働き方改革で過労死防止の機運は高まってきた

 今回発表した大綱では、2014年に推進法が成立して以降、働き方改革等の取り組みが進められ、長時間労働の雇用者割合が減少し、有給休暇の取得率が増加するなど、一定の成果がみられているとした。
 また、2024年4月からは時間外労働の上限規制が、建設や自動車運転、医師などの業界にも適用となり、過労死防止の機運は高まってきているという認識も示されている。

長時間労働が疑われる事業場の監督指導状況は

 だがその一方で、厚労省が昨年度、長時間労働の疑われる約2.6万事業場に行った監督指導結果では、違法な時間外労働を確認した割合は44.5%に及んだ。監督指導の対象事業場数は22年度に比べて約7,000件減ったものの、違反率は1.9ポイント伸びている。

 個々の事業場内で時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数でみると、80時間を超える事業場の割合は全体の21.7%、100時間超は13.1%を占めている。

出展:長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します(2024.7)P.2 より

 大綱では、過労死等事案による労災請求・支給決定件数は増加傾向にあるとして、長時間労働対策だけでなく、メンタルヘルス対策やハラスメント防止対策の重要性が増していると指摘。さらに、働き方の多様化が進む中で、フリーランス等の就労実態や健康の確保などにも目を向けるべきという考えを示している。

[保健指導リソースガイド編集部]