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医療・介護分野に改革を 厚生労働省が「近未来健康活躍社会戦略」を公表-「女性活躍推進」の取組も強化

 厚生労働省はこのほど、「近未来健康活躍社会戦略」を公表した。

 少子高齢化に伴う人口減少が進む中、デジタル化やグローバル化といった時代の変革期にあり、厚生労働省として今後どのような方向性で政策を進めていくか、その方針をまとめたもの。

「女性の健康」ナショナルセンターが開設

 今回の戦略の中では、国民一人ひとりが可能な限り長く健康で、有意義な生活を送りながら活躍できる社会を「健康活躍社会」とし、これを実現させていくことを目標の一つとして掲げた。

 関連し、「女性・高齢者・外国人の活躍促進」について言及し、「多様性の尊重は社会の持続的な発展の基盤」「国民一人ひとりが安心して活躍できる環境の整備に取り組む」とした。

 たとえば女性に関することでは、「女性の健康」ナショナルセンターを国立成育医療研究センターに10月1日に開設。同センターは「女性の健康」に関する司令塔機能を担う。

 これは女性が思春期や青年期、更年期などライフコースによって健康課題が変わること、妊娠や出産という女性特有のライフイベントがあること、同じ疾患でも男性と女性で症状や経過が異なる場合があることを踏まえ、女性の健康課題に関する専門機関が必要とされているため。

 さらに近年は、働く女性の増加に伴うライフスタイルの変化、高齢出産とハイリスク妊産婦の増加、ジェンダーによる格差といった社会課題も生まれている。そのため、心身における性差も加味しながらライフステージごとに多面的・包括的な分析をし、病態の解明、予防・治療に向けた研究を同センターで推進。女性が健康に働き続けられるよう支援をする。

医療・介護現場ではウェアラブルデバイスのデータ活用を推進

 また高齢者については、諸外国に比べて高齢化が進んでいる知見を生かし、高齢者が長く活躍できる社会の実現を目指す。

 たとえば認知症についての理解促進、認知症患者の社会参加の機会確保のほか、認知症・軽度認知障害の早期発見・早期対応のための支援モデルの確立に向けた実証プロジェクトを推進する。

 一方、イノベーションや最先端の技術の活用についても盛り込んだ。具体的にはウェアラブルデバイスで記録される睡眠や歩数などのライフログデータや医療データを、医療・介護現場で活用する。また認知症患者などについてもウェアラブル端末を活用できるよう、実証的な研究を進めていく。

 感染症危機管理体制については、2025年4月に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを再編し、感染症対応を中心に据えた組織「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」を創設する。これにより感染症の情報収集・分析体制を強化し、世界トップレベルの「感染症総合サイエンスセンター」を目指す。

 ほかにも創薬力の強化による革新的新薬の開発、アジア圏などにおける医療・介護の好循環の実現といった国際戦略、また医師偏在対策の推進や、後発医薬品の安定供給体制の構築などの国内戦略を両輪で展開。

 今後も国民皆保険の持続可能性を確保しつつ、医療・介護分野に改革を起こし、人生100年時代を健康で有意義な生活を送りながら活躍できる社会の実現をはかっていく考え。

報道発表「近未来健康活躍社会戦略」を公表します(厚生労働省/2024年8月30日)
[yoshioka]
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