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わずか4分間の運動が女性の健康リスクを半分に減少 日本の女性は運動不足 9割以上が運動不足を実感

 わずか4分間という短時間の運動であっても、毎日の生活で積み重ねると、中年女性の心血管疾患のリスクを半分に減らせることが明らかになった。

 日本人を対象とした調査で、8割を超える人は「運動不足」を感じていて、とくに女性は94%が運動不足を実感していることも分かった。

 「運動のためにまとまった時間をとれなかったり、なんらかの理由で運動ができないという女性にとって、生活に短時間の活発な運動や身体活動を取り入れ、その頻度を増やすことは、魅力的な選択肢となります」と、研究者は述べている。

わずか4分間の短時間の運動が女性の心血管疾患リスクを半分に減少

 わずか4分間という短時間の運動であっても、毎日の生活で積み重ねると、中年女性の心血管疾患のリスクを半分に減らせることが、オーストラリアのシドニー大学で明らかになった。

 「運動をする習慣がないという人でも、1日に1.5分から4分の短時間の活発な身体活動を行い、その頻度を増やすことで、心臓血管の健康を改善しやすいことが示されました」と、同大学チャールズ パーキンス センターおよび医療・健康学部のエマニュエル スタマタキス教授は言う。同センターは、糖尿病、肥満、心血管疾患などに焦点をあてて研究している研究機関だ。

 日常生活での強度の高めの断続的な身体活動は、「VILPA(ヴィルパ)」として知られている。具体的には、▼通勤や通学ではなるべく早歩きをする、▼エレベータやエスカレーターではなく階段を使う、▼車を使わず徒歩で用事を済ます、▼電車やバスの1駅分を多く歩く、▼子供と屋外で体を使った遊びをする――といったことがVILPAに相当する。

 研究グループは、大規模研究である英国バイオバンクに参加した、まとまった時間をとり運動を行う習慣がないと回答した40~79歳の成人2万2,368人(女性1万3,018人、男性9,350人)を対象に調査した。参加者に2013~2015年に7日間、活動量計を1日24時間装着してもらった。

 医療記録などから、心臓発作、脳卒中、心不全などの主要な心血管イベント(MACE)について、2022年11月まで追跡して調査した。

体を活発に動かす習慣を生活に取り入れることが大切

 その結果、中高年の成人のうち、体系的な運動を行う習慣のある人は20%未満だったが、VILPAの頻度が高い女性は、心血管疾患のリスクは大幅に低下した。

 1日に平均して3.4分間のVILPAを行っている女性は、行っていない女性に比べて、主要な心血管イベントが45%少なく、心臓発作が51%少なく、心不全が67%少なくなった。

 1日に最低1.2~1.6分のVILPAを行っている女性も、主要な心血管イベントのリスクが30%低下し、心臓発作のリスクが33%低下し、心不全のリスクは40%低下した。

 なお、男性では効果は少なく、1日平均5.6分のVILPAを行っている男性は、心血管疾患を発症するリスクが16%しか低下しなかった。

 「今回の研究結果は、強度の高めの運動をわずか4分間行うだけでも、それを習慣化すると健康効果を期待できることを示しています。定期的に運動を行う習慣の定着につながる可能性もあります」と、スタマタキス教授は言う。

 「運動のためにまとまった時間をとれなかったり、なんらかの理由で運動ができないという女性にとって、生活に短時間の活発な運動や身体活動を取り入れ、その頻度を増やすことは、魅力的な選択肢となります」。

 「手軽に取り組めるVILPAとして、1日のうちに数分で良いので、階段の昇降、買い物袋を運ぶ、坂道を歩く、子供やペットと鬼ごっこをする、坂道を上ったりパワーウォーキングをするなど、体を活発に動かすことを積極的に取り入れることが勧められます」としている。

日本の女性は運動不足
9割以上が運動不足を実感

 笹川スポーツ財団と明治安田厚生事業団が共同実施した「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査」によると、厚生労働省が推奨している身体活動量を達成している人は全体でおよそ半分だが、成人女性は44%ととくに少なかった。

 1日に8,000歩以上、高齢者は6,000歩以上を歩くことが勧められているが、この歩数を達成している人は、全体では36%で、成人女性では26%だった。

 8割を超える人は「運動不足」を感じていて、とくに女性は94%が運動不足を実感している。運動やスポーツが「好き」という人は、男性では70%、女性では49%、高齢者では81%。

 調査は、2023年10月~11月に成人650人を対象に、首都圏・中京圏・近畿圏の13都府県で実施したもの。調査では、三軸加速度センサーが入った活動量計を使用し、参加者の身体活動を客観的に測定した。

 「余暇時間の多寡と推奨身体活動量の達成との関連はみえなかったことから、仕事や移動などの時間で身体活動の多い人や、余暇時間の中で運動・スポーツを実施している人が、推奨身体活動量を達成している可能性が示唆されます」と、研究員は述べている。

 「身体的な健康づくりのためには推奨身体活動量の達成が不可欠ですが、さらなるQOLの向上を目指すには、余暇時間に運動・スポーツを実施することが重要とされており、そのための施策を講じる必要があります」としている。

Tiny, daily bursts of vigorous incidental physical activity could almost halve cardiovascular risk in middle-aged women (シドニー大学 2024年12月4日)
Device-measured vigorous intermittent lifestyle physical activity (VILPA) and major adverse cardiovascular events: evidence of sex differences (British Journal of Sports Medicine 2024年10月28日)
国内初!"国民の身体活動量の実態"を把握する大規模調査の報告書を発刊-厚労省が推奨する身体活動量の達成率は運動・スポーツ実施者が69.1%で非実施者を上回る- (笹川スポーツ財団)
[Terahata]
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