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悲観的な人の方が長生き ネガティブ思考にもメリットはある
2013年03月07日

悲観的であるよりも、楽観的である方が、望ましい結果を生みやすいという話をよく聞くが、健康管理の点では「悲観的であることにもメリットはある」という調査結果が発表された。
「高齢者に多い糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの病気は、自己管理が重要となります。生活や治療においても、自分で生活習慣を改善する意思をもつことが大切です」と、ドイツのエアランゲン-ニュルンベルク大学のフリーデル ラング氏は言う。 「調査では、将来について否定的に考え心配している傾向の強い人々が、結果的には健康で長生きする可能性が高いという結果になりました」(ラング氏)。 研究チームは、1993~2003年に収集したデータにもとづき、対象者を18~39歳、40~64歳、65歳以上の3つの年齢層に分け、現在の生活の満足度と、5年後の生活がどうなっているかという予測について質問した。初回調査の5年後にも同様の質問を行い、健康診断の結果と突きあわせた。 自分の健康状態や生活の充足度についての予測は、年齢の高い人ほど否定的で、65歳以上では43%が悲観的な見解をもっていた。一方、楽観的な見解をもっていた人は32%に上った。 10年間の虚血性心疾患や脳卒中などの発症について追跡して調査したところ、悲観的な人の方が楽観的な人に比べ、発症数は9.5%低いことがわかった。 未来について過度に楽観的で期待をしている人は、そうでない人に比べ、むしろ10年以内に死亡する危険性が高いという結果になった。 「悲観的であることで、健康管理をより慎重に行うようになるためとみられます。心疾患など命に関わる病気では、適切な治療と管理に合わせて、健康的な生活スタイルを維持することが必要となります」と、研究者は述べている。 「未来についての悲観的であると、健康維持に関心をもつようになり、生活習慣病の治療も積極的に行い、堅実に生きるようになります。悲観的であることにもメリットはあるといえます」と、ラング氏は強調している。 Pessimism About the Future May Lead to Longer, Healthier Life, Research Finds(米国心理学会 2013年2月27日)
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