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保健師の役割に大きな期待/人材の後進育成に課題 日本保健師連絡協議会

 保健師関連5団体で構成される「日本保健連絡協議会」は3月2日、平成24年度の活動報告・集会を開催した。活動報告・集会では、「こんな保健師を育てたい!~現場と教育機関が目指す社会ニーズに答えられる保健師像~」をテーマとし、現場・教育機関それぞれの立場からの報告や、意見・情報交換を行うグループワークを実施した。

 参加者は、同協議会を構成する全国保健師長会、一般社団法人全国保健師教育機関協議会、日本公衆衛生看護研究会、公益社団法人日本看護協会、日本産業保健師会の5団体の会員で、108名の保健師が集まった。

保健師の役割が今後さらに重要に
 会に先立ち厚生労働省の尾田進氏(健康局がん対策・健康増進課保健指導室長)が挨拶し、今後の社会保障制度や医療・健康分野において「保健師」の役割がますます重要になるとの見解を示した。厚労省では、今後、生活保護受給者の健康管理に力を入れていくこともあり、保健師がケースワーカーと一緒に取り組むことを期待しており、自治体の保健師増員などの体制整備の必要性に言及した。また、社会保障制度改革においては、第2次健康日本21に明記されている健康寿命の延伸や健康格差の是正、1次予防、疾病の重症化予防などに力を入れていく方針から、自治体・産業分野の保健師の役割が重要となるとした。

実習の現場と教育機関の連携に期待
 保健師学生の実習に関し、現場からの報告として全国保健師長会が実施した「保健師学生の臨時実習に関する調査」によると、実習を受け入れる自治体の体制が不十分なことや、教育機関との連携が取れていない点が明らかになった。現場として、「保健師学生を育てたい!」といった希望はあるものの、実際には保健師の分散配置や人員不足、業務過大のため、現状は厳しい状況との報告があった。また、現場が求める保健師像には、課題解決のための活動の質の向上や、専門職としての自覚を持つことなどの点をあげている。そのためには、実習を実施する現場と教育機関が一体となって保健師教育を展開することが必要としている。

 一方、教育機関からの報告として、全国保健師教育機関協議会が実施した「教育・実習・国家試験の事態調査」で、同会に所属する会員大学(153校)に対し平成23年度以降の教育課程について聞いたところ、85校において学部選択制をとっている、または今後予定しており、そのうち65校が平成24年に学部選択制に変更したことがわかった。その他では、大学院修士課程が6校、看護師課程のみ1校、変更なし8校(保看統合カリキュラム:大学4年間で全員が看護師と保健師)だった。

 保健師国家試験の現状も報告された。近年の問題について、難易度が易しすぎる現状が指摘された。ここ数年、合格率が85~90%に達する中、実際に保健師の免許を活かして就職する人は1割という。また、保健師国家試験が、受験生にとって、例年その2日後に行われる看護師国家試験の模試として扱われていることも問題とした。このような背景から、全国保健師教育機関協議会は、保健師国家試験の適切性・妥当性を厚労省に提言するとともに、出題問題のレベルを上げるための方法として、現場からの素材提供などを受けるなど保健師らしい問題の作成を求めていくとしている。

保健師の人材育成により力を入れる
 上記の報告等を受け行われたグループワークでは、参加者が11グループに分かれ「現在の保健師教育・実習や、新人保健師」をテーマに、その問題点や工夫・改善すべき課題などについて意見交換を行った。

 各グループからの発表で多くあがったのが、「実習の現場と教育機関との連携が取れていない」ことだった。実習の内容・要望の確認や、現場の特徴、教育機関のカリキュラムの把握など、基本的なことが行われていないことが指摘され、相互に協力して実習を行う環境が整っていないことがわかった。

 グループの一部からは、実習の現場から「現場で何が出来るか」「いま力を入れている活動内容」といったことを、また教育機関から「これまでのカリキュラムの内容」「行ってほしい実習内容」など、それぞれの要望を出し実習内容を検討していくこと必要ではないかといった意見が出された。

 また、教育機関への要望として「保健師としての勉学はもちろんだが、人としての教育も是非行ってほしい」という意見も出た。最近では、コミュニケーション能力や問題解決力の不足、モラル・プライバシーの認識の低い人材も目立つことから、教育機関における卒業後のフォローアップ制度が、今後必要になってくるのではないかといった声もあがった。

日本保健師連絡協議会 構成団体
 ・一般社団法人全国保健師教育機関協議会
 ・公益社団法人日本看護協会
 ・全国保健師長会
 ・日本公衆衛生看護研究会
 ・日本産業保健師会

[保健指導リソースガイド編集部]
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