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仕事のストレスで心臓病リスクが上昇 生活習慣改善が効果的
2013年05月15日
狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患はストレスと深い関係にある。仕事のストレスと不健康な生活習慣がある人は、そうでない人に比べ冠動脈疾患のリスクが2倍に上昇するとの調査結果を、英国ロンドン大学ユニバーシティカレッジが発表した。一方で、仕事のストレスはあっても、健康的な生活習慣のある人では、冠動脈疾患リスクは低下することが示された。
冠動脈疾患は、心臓をとりまく冠動脈の内壁に、コレステロール(脂肪)などが徐々に沈着し血管の内腔を狭め、血管に流れる血液量が減少して、十分な酸素や栄養素を心筋に供給できなくなる病気。冠動脈疾患の危険因子は、不健康な食事や運動不足などの生活習慣だ。喫煙や飲酒量の増加なども、冠動脈疾患の一因となる。 冠動脈疾患の発症を予測する上で、仕事のストレスは大きな要因となる。研究は、仕事上のストレスが冠動脈疾患に及ぼす影響を、健康的な生活習慣で軽減することができるかどうかを検討したもの。研究チームは、イギリス、フランス、ベルギー、スウェーデン、フィンランドなど7地域で行われたコホート研究を解析した。冠動脈疾患の既往歴のない17~70歳(平均44.3歳)の男女10万2,128人を、1985年から2000年までの15年間追跡して調査した。 ストレスがかかると、自律神経である交感神経の働きが高まり、ホルモンがより多く分泌されるようになる。緊張したり、怒りを感じたりするときなどに交感神経が活性化され、脈が速くなり、血圧が上昇する。また、血液の粘りが強くなり血栓ができやすくなり、冠動脈の硬化や閉塞が起こりやすくなる。 参加者のうち1万5,986名(16%)が仕事上のストレスがあると報告した。研究者は、喫煙・アルコール消費量・運動不足と肥満度(BMI)に基づいて、生活習慣カテゴリを次のように設定した。▽生活習慣危険因子のない「健康的な生活習慣」、▽危険因子が1つある「中程度に健康的な生活習慣」、▽生活習慣危険因子が2~4つある「不健康な生活習慣」。 期間中に計1,086名が、冠動脈疾患の症状を発症した。冠動脈疾患の10年間罹患率は、仕事による精神的ストレスがある人では1,000人につき18.4人だったが、精神的ストレスが無い人では14.7人だった。不健康な生活習慣がある人の10年罹患率(1,000人あたり30.6人)は、健康的な生活習慣がある人(1,000人あたり12.0人)の2倍以上に上昇した。 仕事による精神的ストレスも冠動脈疾患の危険要因になる。精神的ストレスと不健康な生活習慣の両方がある人の罹患率は1,000人あたり31.2人だったのに比べ、仕事の精神的ストレスはあるが健康的な生活習慣を送っている人の罹患率は14.7人に抑えられていた。 「冠動脈疾患のリスクは、仕事による精神的ストレスと不健康な生活習慣がある参加者でもっとも高いという結果になりました。仕事による精神的ストレスはあるが、健康的な生活習慣をおくる人がこの病気にかかる率は、そのほぼ半分に抑えられました。仕事で精神的ストレスを抱えていても、食事や運動などの生活習慣を健康的に変えていけば、冠動脈疾患リスクを減らすことができることが示されています」と、ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのミカ キヴィマキ氏(疫学・公衆衛生学)は述べている。 「ストレス対処法は人によりさまざまですが、ふだんからストレスを感じやすい人は対処法を身につけておくと良いでしょう。また、生活習慣の危険因子を減らす対策をすると良いかもしれません。仕事上で精神的ストレスを抱えている人は、医師に相談してストレスカウンセリングを受けることも有用です」と研究チームは結論づけている。 Associations of job strain and lifestyle risk factors with risk of coronary artery disease: a meta-analysis of individual participant data(カナダ医師会 2013年5月13日)
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