ニュース
外食メニューの多くは高カロリー 利用者はカロリーを過小評価しがち
2013年05月30日

レストランで提供されるメニューの多くは高カロリーで、利用客の多くはカロリーを正しく把握できておらず、食べすぎてしまうおそれがある――外食でカロリーを管理するのは難しいことを裏付ける研究が発表された。
レストランの食事の多くは高カロリー、高塩分、高脂肪
カナダのトロント大学のスーザン ロバーツ氏らの研究チームは、北米の着座形式のレストランチェーン19店舗でメニューを調査した。その結果、1回の食事(朝食、昼食、夕食)の平均カロリーは、米国成人の1日の推奨量2,000kcalの56%に相当する1,128kcalであることが判明した。
また塩分も多く、多くの成人にとっての1日の摂取推奨量1,500mgの151%にあたる2,269mgが含まれていた。脂肪分は1日の摂取推奨量の89%が含まれ、そのうち飽和脂肪は1日の摂取推奨量の平均83%に上り、コレステロールは同60%だった。
「最近は低カロリーのメニューを提供するレストランも増えていますが、実際にはレストランで提供される1回分の食事の多くは、平均的な成人が1日に必要とするカロリー量の半分以上が含まれているという結果になりました。利用するときは、カロリーの過剰摂取につながりやすいことに注意すべきです。外食には塩分、脂肪分、コレステロールも多く含まれることを知っておくべきです」と、ロバーツ氏は強調する。
研究チームは、ボストン周辺にある小規模チェーン店など33店舗の食事メニューも調査した。サンプルをとったのは、メキシコ料理、米国料理、中華料理、イタリア料理、日本料理、タイ料理、インド料理、ギリシャ料理、ベトナム料理のレストラン。これらの店舗で提供される食事の平均カロリー量は、平均で1,327kcalだった。
「調査対象となった食事メニューの平均カロリーは、成人の1日の推奨量の3分の2に上っていました。どのタイプのレストランの食事も、標準体重を維持するための必要量を大幅に上回るカロリーを提供していました。メニューにカロリー表示がなければ、簡単にカロリーをとりすぎてしまいます」と、ロバーツ氏は述べている。
1食あたりの平均カロリー量がもっとも多かったのはイタリア料理の1,775kcalだった。次いで、米国料理(1,494kcal)、中華料理(1,474kcal)と続いた。一方、もっとも低かったのはベトナム料理の922kcalで、日本料理は1,027kcalで2番目に低かった。
外食ではカロリーを4分の1少なめに予測
米国では肥満が爆発的に増えており、レストラン・チェーンにもしわ寄せが及び、メニューにカロリー表示を義務付けている州や都市が多い。カロリー表示がないと、消費者の多くは容易に食べ過ぎてしまうおそれがあるという研究も発表された。ハーバード大学ピルグリム・ヘルスケア研究所などによる研究だ。
研究チームは、アメリカ北東部にあるファストフード・チェーン店(マクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズ、ケンタッキー、サブウェイ、ダンキンドーナツ)89店舗で、3,400人を対象とした大規模な断面調査を行った。
調査時には、メニューのカロリー表示を行わず、食事をした人が1回の食事でどれだけのカロリーを摂取したかを予測してもらった。研究参加者は、成人(18歳以上)、青年(11-20歳)、学齢児(3-15歳)に分類された。
参加者にファストフード店で実際に食事をしてもらい、メニューのカロリーを計算してもらい提出してもらった。さらにアンケートを実施し、自分で選んだメニューの総カロリーはどれくらいだったと思うかを訊ねた。学齢児のアンケートは親が答えてもらった。
選択したメニューの合計の平均カロリーは、成人で836kcal、青年756kcal、学齢児733kcalだった。また、アンケートで聞いたカロリーの推測値の平均は、実際のカロリーより低く、その差は成人でマイナス175kcal、青年でマイナス259kcal、学齢児(の親)でマイナス175kcalだった。
参加者の3分の2は、実際のメニューのカロリーは500kcal以上だったが、約4分の1ほど少なめに予測していた。また、メニューの合計カロリーが多い人ほど、よりカロリーを過小に見積る傾向がみられた。
「ファストフードを利用する人は、自分が選んだメニューのカロリーを控えめに認識している傾向があります。特に10代の若者や学齢時でこの傾向は顕著にみられました」と、ハーバード大学ピルグリム・ヘルスケア研究所のジェイソン ブロック氏は述べている。
「外食メニューにカロリーがどれだけ含まれるかをはっきりと表示するインフォームドチョイスの考え方を推し進める必要があります。あらかじめ情報を知っていれば、より健康的なメニューを選びやすくなります」と、ブロック氏は強調している。
カロリー表示を行うだけでなく、社会的なマーケティングキャンペーンを行い、メニュー表示の仕方の改善をすることも必要だと研究者は述べている。
Study Evaluates Calories, Fat, and Sodium Content in Restaurant Meals(米国医師会 2013年5月13日)With Fast Food, Consumers Get More than They Expect(ハーバード大学 2013年5月24日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「栄養」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる
- 2025年07月08日
- 「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
- 2025年07月07日
- 日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市