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健康的な食事で膵臓がんを予防 食事ガイドライン
2013年08月22日
「米国人のための食事ガイドライン」にもとづく食事スタイルを続けている男性の膵臓がんリスクは、そうでない男性に比べて17%低いことが、53万人以上を対象とした米国の調査であきらかになった。
膵臓がんは日本でも増えており、毎年2万8,000人以上が膵臓がんで亡くなっている。部位別にみると、膵臓がんによる死亡数は、肺がん、胃がん、結腸がん、肝がんに次ぐ第4位だ。 この研究は、米国立衛生研究所(NIH)が高齢者を対象に行っている調査の一環として行われた。 研究チームは、米農務省(USDA)と米保健福祉省(HHS)が2005年に作成した「米国人のための食事ガイドライン」にもとづき、食事の内容が同ガイドラインにどれだけ適合しているかを示す食事指数スコアを算出し、「完全に適合している」から「全く適合していない」までの五分位に分けた。 調査は53万7,218人を対象に、平均10.5年追跡して行われた。期間中に2,383人が膵臓がんを発症した。 「完全に適合している」群と「全く適合していない」群を比較したところ、膵臓がんの発症リスクは、完全に適合していると15%減少した。性別にみると、男性では17%減少し、女性では13%減少した。 「食事ガイドライン」にもとづき膵がん発症への影響を検討したのは今回がはじめてで、がんを予防するために食事が重要であることがあらためて示された。 「米国人のための食事ガイドライン」では、がんを含めた生活習慣病を予防するために、次の食生活を勧めている。 ・カロリーは必要なだけ、栄養は十分に
飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、糖質、塩分、アルコールのとりすぎに注意しましょう。 ・適正体重の維持
健康的な体重を維持するために、カロリー消費量と食事のカロリー摂取量のバランスが大切です。 ・運動
高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、がんなど予防するために、運動を習慣的に行い、適正体重を維持しましょう。適度な運動を毎日30分以上行いましょう。 ・全粒粉、野菜、果物を多くとりましょう
1日に必要なカロリー量の範囲内で果物と野菜を多く食べましょう。緑黄色野菜、豆類、炭水化物の多い野菜などを週に数回ずつとることが勧められます。 ・脂肪
カロリーの過剰摂取は過体重や肥満の原因になります。脂肪を総カロリーの20~35%に、飽和脂肪酸を総カロリーの10%未満に抑えましょう。肉、牛乳、乳製品などには飽和脂肪が多く含まれ、魚類、ナッツ類、植物性脂肪などは不飽和脂肪酸が多く含まれます。 ・肉類を食べ過ぎない
牛・豚・羊などの赤身肉や、ベーコン・ソーセージ・ホットドッグなどの加工肉を食べ過ぎないようにしましょう。 ・食塩、ナトリウム
高血圧のある人や中高年、高齢者にとって、ナトリウム(食塩)のとりすぎは勧められません。ナトリウム摂取量を1日を2300mg未満(食塩に換算すると小さじ1杯)に抑えましょう。果物と野菜は低ナトリウムで、多くとるとカリウムの摂取が増加し、血圧低下につながります。 ・アルコール飲料
過剰なアルコールの摂取は高血圧、糖尿病、脳卒中、心臓病、がんの発症リスクを高めます。 Healthy Diet Linked to Lower Risk of Pancreatic Cancer(米国がん学会 2013年8月16日)
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