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週数回のウォーキングが脳卒中を防ぐ 更年期の女性は運動を
2014年02月20日
ウォーキングなどの適度な運動を続けることで、女性が脳卒中を発症する危険性は20%低下するという調査結果が発表された。ホルモン置換療法を受けている女性でも、脳卒中の予防効果を得られるという。
ウォーキングを3年間続けた女性で脳卒中リスクが20%低下
この研究は、米国の13万3,500人の女性が参加して行われている大規模前向き研究「カリフォルニア教師研究」(California Teachers Study)の成果。
1996~2010年の5年間、50歳以上の閉経後の女性の脳卒中の発症について調査した。結果は、サンディエゴで開催された米国脳卒中学会会議で発表された。
その結果、ウォーキングやテニスなど中強度の運動を3年間続けていた女性では、脳卒中を発症するリスクが20%低下したことが判明した。
「運動をすることで脳卒中の発症を抑えられることは以前より知られていましたが、どのような運動をすれば良いのかは分かっていませんでした」と、イリノイ大学ベックマン研究所のソフィア ワング氏は話す。
脳卒中の発症がもっとも少なかったのは、ウォーキングなどの中強度の運動を行っていた女性だった。より活発なランニングなど運動を行った女性よりも、脳卒中の発症は少なかった。
「運動ジムに通いはじめて、テレビで放送されているブートキャンプのような激しい運動を行う必要はありません。健康のための運動は、余暇のウォーキングやテニスでも十分に効果を得られます。それらは特別に料金を必要とするわけではなく、手軽に取り組めます」と、ワング氏は指摘する。
ホルモン補充療法を行っている女性でも運動の恩恵は大きい
女性では、閉経期前後の約5年間に卵巣ホルモンである「エストロゲン」の分泌が減少し、更年期障害が起こる。
更年期には、体調がすぐれなかったり、さまざまな症状が引き起こされるが、適度な運動を行うことで、更年期症状を緩和しストレスを解消できる。
減少したエストロゲンを薬で補う「ホルモン補充療法」も、治療効果が高く、欧米では一般的な治療法だ。
しかし、ホルモン補充療法を長期続けている女性では、そうでない女性に比べ、脳卒中のリスクが30%高まることが報告されている。
研究では、ホルモン補充療法を行っていて、運動を続けていた女性では、脳卒中の発症リスクは上昇しないことも明らかになった。
エストロゲンは骨からカルシウムの消失を防ぎ、腸管からのカルシウムの吸収を助けている。更年期以降の女性は、骨粗鬆症の発症率も高まる。
エストロゲンには、脂肪の燃焼に関わりエネルギーを消費を促す作用をする。脂質代謝異常による動脈硬化、心筋梗塞、認知症などにも関連がある。
「更年期に伴い発症が増える病気を予防するためにも、運動はとても大切です。ウォーキングは誰でも取り組める運動です。40歳を過ぎた女性には、運動を習慣として行うことをお勧めします」と、ワング氏はアドバイスしている。
Moderate exercise cuts women's stroke risk, helps offset increase risk from hormone therapy(米国心臓学会 2014年2月13日)
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