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たばこがメンタルヘルスの面でも悪影響 禁煙は抗うつ薬よりも効果的

 たばこを吸う人が禁煙すると、メンタルヘルスの面でも便益が大きいことが、米英で行われた2件の研究で明らかになった。
禁煙した人のメンタルヘルスは改善
 1件目の研究は、ワシントン大学医学部によるもの。喫煙がうつ病や不安障害などにもたらす影響を調べた9件の研究をメタ解析した。

 対象となった4,800人を禁煙した人と喫煙を続けた人に分け、平均3年間追跡して調査した。その結果、禁煙した人では、うつ病、統合失調症、パニック障害、気分障害などの精神疾患の罹病率が低いことが判明した。

 気分障害の罹病率は、たばこを毎日吸い続けていた人で42%だったのに対し、禁煙した人では29%に低下していた。アルコールの乱用については、喫煙者で28%が該当したのに対し、禁煙した人では18%に低下していた。

 「禁煙することがメンタルヘルスに明らかに良い影響をもたらすことが分かりました」と、ワシントン大学医学部のパトリシア カヴァゾス-レッグ氏(公衆衛生学)は話す。

 医師をはじめとする医療従事者は、喫煙については患者の自己判断に任せがちで、「たばこの問題は、患者のセルフメディケーションで解決するべき」という考えが多いという。

 「うつ病や気分障害に対しては、多くの医師は注意を払います。今後は喫煙がそうした疾患の治療を妨げている可能性があることを考えてみるべきです。患者の喫煙習慣に対しても十分に注意し、禁煙を勧める必要があります」と、カヴァゾス-レッグ氏は述べている。
"禁煙するとストレスが増す"は事実誤認
 もう1件の研究は、英バーミンガム大学によるもの。禁煙することで、がんや心臓病などの発症リスクを下げられるが、メンタルヘルスの改善にもつながることが示唆された。

 研究チームは、喫煙者のメンタルヘルスについて調査した26件の研究をメタ解析した。研究に参加した4,500人は、平均して1日に20本のたばこを吸っていた。

 参加者に禁煙に取り組んでもらい、禁煙の前後で不安障害、ストレス、生活の質などの変化について質問した。

 その結果、禁煙に成功した人たちは失敗した人たちに比べて、不安障害が37%、うつが25%、ストレスが27%それぞれ低下し、生活の質が向上し積極的になったと感じる人が22%増えるという結果になった。

 「禁煙することは、メンタルヘルスの観点でも便益が大きいことが判明しました。禁煙の効果は、抗うつ薬による治療と同等かそれ以上であることが示されました」と、バーミンガム大学のジェンマ テイラー氏は話す。
医療者による禁煙サポートが求められる
 喫煙者が禁煙に成功すると、メンタルヘルスの面でも改善できることを知り、さらに自信を深めることができる。喫煙者がたばこをやめられるように、医療者はサポートする必要があるという。

 英国人の喫煙率はこの40年で半減したが、まだ20%の人がたばこを吸っている。「喫煙者を増やす原因になっているのは、"禁煙するとストレスが増す"という神話が信じられていることです。今回の研究でそうした神話に根拠がないことが明らかになりました」と、テイラー氏は強調する。

 「"ストレスがたまっているから、たばこをやめるのは無理です"と訴える患者が少なくありませんが、実はたばこがストレスの原因になっているのです。"禁煙すればストレスを減らせる"と考えるべきです」(テイラー氏)。

Smoking cessation may improve mental health(ワシントン大学 2014年2月11日)
Stubbing out smoking can light up your mental health(バーミンガム大学 2014年2月14日)
[Terahata]

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