高血圧の薬の飲み忘れ 心臓病など深刻な病気の原因になることも

英レスター大学のマチェイ トマシェフスキー氏(高血圧学)の研究チームは、通院して治療を受けている高血圧患者208人を対象に、服薬状況などのアンケート調査を行い、尿検査も行った。参加者の半数は高血圧を発症して間もない患者で、3分の1近くは血圧コントロールが十分に改善されていない患者だった。
参加者の4人に1は降圧薬を飲み忘れることがあり、10人に1人は「血圧が下がった」などと自己判断をして服薬しなかったことがあると判明した。薬を飲み忘れる頻度の高い患者ほど、血圧値が高い傾向が示された。
高血圧や2型糖尿病などの生活習慣病を発症すると完治することはない。罹病期間が長くなり、薬を一生飲み続けなければならなくなる。英国では医療機関で受診する間隔が3ヵ月以上空くことが珍しくないが、受診間隔が長くなると服薬のアドヒアランスが悪くなるという調査結果もある。
高血圧の治療がうまくいかない要因のひとつに、アドヒアランス不良がある。病気について十分な知識を持った患者が疾病管理にパートナーとして参加し、医師と患者が合意した治療を共同作業として行う医療が、高血圧の治療を改善する根本的な対策となるという。
処方された降圧薬を服用しないと、血圧をコントロールできなくなる。その結果、心臓病や脳卒中の発症リスクが上昇する。
「血圧が下がったと安心する患者さんがいますが、薬の効果で血圧が下がっているだけで、薬をやめれば血圧は元の高い状態に戻ってしまいます。また、薬を服用したりしなかったりすると、血圧の変動が大きくなり、むしろ動脈硬化を早めたりしますので、継続して服用することが大切です」と、トマシェフスキー氏は話す。
服薬錠剤数の増加にともないアドヒアランスは低下する傾向がみられる。錠剤数を少なくしてアドヒアランスを改善する工夫も必要だという。降圧の程度によっては、薬の量や種類を少なくすることも可能で、最近は2つの薬を1つに合わせた合剤も増えてきた。
「薬を飲み忘れたり、自己判断で服用を注しする前に、主治医によく相談してほしい。日頃から血圧計などで血圧をはかるようにし、得られた測定値を医師に伝え話すことが重要です」と、研究者は指摘している。
この調査では、退職前の3年間と退職後の4年間の、薬の飲み忘れなどについて調べた。その結果、退職後の男性では、降圧薬の飲み忘れが30%増えることが判明した。
「高血圧などの慢性疾患は増えており、薬を飲み続けている患者も増えています。処方された薬を飲まないと、治療の効果は十分に得られず、適切な治療を行えなくなります。患者がきちんと薬を飲んでいるか、尿検査を行うなどして定期的に検査する対策も必要となるでしょう」と、研究者は述べている。
Simple urine test can distinguish between treatment failure and failure to take drugs(レスター大学 2014年4月3日)
Influence of retirement on nonadherence to medication for hypertension and diabetes(カナダ医師会 2013年9月30日)


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