ニュース
緑茶やコーヒーを飲んで健康管理 糖尿病や脳卒中のリスクを低減
2014年05月01日
緑茶やコーヒーを身近な嗜好品として楽しんでいる人は多い。その緑茶やコーヒーに、健康を増進する効果があるという研究が相次いで発表されている。糖尿病や脳卒中の予防効果があるという。
緑茶やコーヒーに糖尿病や脳卒中のリスクを低減する効果がみられる理由は、はっきりと分かっていないが、研究者は、緑茶にはカテキン、コーヒーにはポリフェノールであるクロロゲン酸が含まれることを指摘している。 緑茶に含まれるカテキンには、抗酸化作用、抗炎症作用、抗血栓作用などの、血管を保護する効果がある。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸にも抗酸化作用があり、動脈硬化などの予防に有効であると考えられている。
緑茶を飲み続けると血糖値が低下
ペンシルヴァニア州立大学農学部の研究チームは、マウスを使った実験で、緑茶の成分を摂取すると糖尿病と関連のある検査値が低下することを確かめた。
糖尿病のマウスに緑茶の抽出物を摂取させ、運動をさせたところ、16週間後に、体重は27.1%、腹部脂肪は36.6%減少した。空腹時血糖値は17%低下し、インスリン値も65%低下し、インスリン抵抗性は65%減少したことが明らかになった。
緑茶成分を摂取しなかったり、運動をしなかったマウスでは、体重や糖尿病の検査値の改善はみられなかった。マウスが摂取した緑茶の量は、人間では1日8~10杯に相当するという。緑茶を多めに飲む人の摂取量に近い量だ。
緑茶にはカテキンや天然の抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれる。マウス以外の動物実験でも、緑茶のポリフェノールに肥満を予防する効果があることが確かめられている。
「緑茶には糖尿病を改善する効果があることが明らかになりました。ただし、運動をしなければ、緑茶の成分をいかすことはできません。運動と緑茶の摂取の両方を行うことが重要です」と、同大学のジョシュア ランベルト准教授(食料科学)は言う。
今回の実験では、カフェイン抜きの緑茶を使用したが、緑茶にはカフェインも含まれる。このカフェインの作用も無視できない。カフェインには身体のエネルギー消費を促す作用があるからだ。マウスにカフェインのみを摂取させた実験では、基礎代謝が向上し、エネルギー消費が増えることが確かめられた。
コーヒーの糖尿病の発症を予防する効果
緑茶やコーヒーを飲む習慣があると脳卒中リスクが低下
国立循環器病研究センターなどの研究チームは、緑茶やコーヒーに脳卒中リスクを低減する効果があることを、8万人以上の研究調査であきらかにしている。
脳卒中のリスクは、毎日2~3杯の緑茶を飲んでいる人では14%、4杯以上の緑茶を飲む人では20%、ほとんど飲まない人に比べて減少した。また、毎日1杯以上のコーヒーを飲んでいる人は、ほとんど飲まない人に比べて、脳卒中のリスクが20%減少した。
毎日1杯以上のコーヒーや2杯以上の緑茶を飲む人は、どちらの飲料もほとんど飲まない人に比べて大脳内出血のリスクが32%減少した。大脳内出血は血管が破裂して脳内で出血することで起こる。
「毎日の食事に緑茶やコーヒーを加えることで、脳卒中のリスクは減少します。ささやかでも前向きな生活スタイルの変化といえます」と研究者は述べている。
Research suggests that green tea, exercise boost weight loss, health(ペンシルヴァニア州立大学 2014年4月2日)Increasing daily coffee consumption may reduce type 2 diabetes risk(ハーバード公衆衛生大学院 2014年4月24日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「栄養」に関するニュース
- 2023年08月28日
- 極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
- 2023年08月28日
- カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
- 2023年08月21日
- ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
- 2023年08月15日
- スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
- 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年08月07日
- 【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
- 2023年08月01日
- 肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要