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高齢者に比べ子育て世代が「生活が苦しい」 国民生活基礎調査

 厚生労働省は「2013年国民生活基礎調査」の結果を発表した。高齢者に比べ子育て世代が経済的な苦境に立たされる「世代間格差」が浮き彫りになった。

 国民生活基礎調査は1986年から、世帯数や所得などの推移を調べる目的で毎年実施されている。2013年は3年ごとの大規模調査の年に当たる。

 全国の29万5,367世帯を対象に、2013年6月に実施。23万4,383世帯から有効回答を得た。その結果にもとづき、世帯数や世帯構造などの状況を推計した。

子育て世代の年間所得は減少
 年間所得は全世帯平均で537万2,000円。65歳以上の高齢者の世帯は309万1,000円、18歳未満の子供がいる世帯は673万2,000円だった。

 高齢者世帯の所得が5年前に比べ約10万円増えているのに対し、子供がいる世帯は子育て世代では約18万円も減り、右肩下がりの傾向が示された。

 また、母子世帯(子供が20歳未満)では243万4,000円と少ないことが判明。平均貯蓄額は、母子世帯が263万8,000円と、全世帯の1,047万円の25%だった。

 子供がいる世帯の貯蓄額は706万7000円。母子世帯は「貯蓄がない」との回答が36.5%に上る一方で、高齢者世帯では11.6%が「貯蓄は3,000万円以上ある」と答えた。

独居高齢者は3年で14%増、573万世帯に
 2010年調査の結果と比べると、夫婦のみの世帯は12.7%、親と未婚の子のみの世帯は15.8%、それぞれ増加した。一方、三世代世帯は11.8%減っていた。

 1人暮らしの単身世帯は1,328万5,000世帯で、このうち573万世帯は65歳以上の人が構成している。

 65歳以上の人がいる世帯に限ってみると、単独世帯が573万世帯(高齢者世帯の25.6%)で、夫婦のみの世帯が697万4,000世帯(同31.1%)、このうち551万3,000世帯は、夫婦とも65歳以上だった。

 児童のいる世帯は1208万5,000世帯で、夫婦と未婚の子のみの世帯が870万7,000世帯、三世代世帯は196万5,000世帯だった。

通院している病気は高血圧が1位
 病気やケガで通院している人の割合(通院者率)は、人口1,000人当たり378.3。通院者率は年齢階級が高くなるにしたがって上昇し、「60歳代」で576.6、「70歳代」で707.5、「80歳以上」で734.1となっている。

 男性では「高血圧症」(通院者率114.0)での通院者率がもっとも高く、次いで「糖尿病」(54.1)、「歯の病気」(43.9)。女性では「高血圧症」(同114.6)がもっとも高く、次いで「腰痛症」(58.4)、「眼の病気」(56.7)となっている。

「老老介護」がはじめて5割超
 国民生活基礎調査では、介護については、介護保険制度が始まった2000年以降、3年ごとに集計している。今回は心身の症状が重い要介護やより軽い要支援の認定を受け自宅で暮らす7,270人を対象に実施し、6,463人から回答を得た。

 要介護者の年齢を性別にみると、男性は「80~84歳」の25.4%、女は「85~89歳」の26.8%がもっとも多くなっている。

 在宅で介護を必要としている65歳以上の高齢者のうち、65歳以上の家族が主に介護を担っている「老老介護」の割合が2013年時点で51.2%と、01年の調査開始以来、初めて5割を超えた。

 65歳以上同士の老老介護の割合は前回10年調査より5.3ポイント増えた。75歳以上同士の老老介護も29%と前回より3.5ポイント増え、過去最高になった。

 老老介護で、介護をする側の68.1%は女性だった。厚労省は「高齢の妻に負担がかかっている可能性が高い」と分析している。

相対的貧困率が16.1%に悪化
 2012年の所得をもとに所得が少ない人の割合を調べた「相対的貧困率」は16.1%で、前回調査に比べて0.1ポイント悪化した。

 18歳未満の「子供の貧困率」は、前回比0.6ポイント増の16.3%で、初めて全体の貧困率を上回った。データがある1985年以降、いずれも過去最悪。

 相対的貧困率は、全国民の所得を順番に並べ、真ん中に位置する人のさらに半分の額を「貧困線」と定め、それに満たない人の割合を指す。今回の調査で貧困線は122万円だった。

 暮らしの状況を総合的にどう感じるかの「生活意識」として、全世帯で「苦しい」と回答した世帯は59.9%に上った。2001年の51.4%から8.5ポイント上昇している。中でも児童のいる世帯では65.9%、母子世帯では84.8%が「苦しい」と答えている。

平成25年国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

[Terahata]
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