ニュース

野菜と果物のどちらを食べれば良いのか? 英米の研究で判明

 「野菜と果物を毎日食べると健康に良い」と理解していても、「1日にどれだけ食べれば十分なのか」と感じる人は少なくない。また、「野菜と果物を比べると、どちらが良いのか?」という疑問を抱く人もいるだろう。最近の研究では、野菜と果物をとりまぜて「1日5皿以上」を食べると良いことが分かっている。
野菜と果物を食べると死亡リスクは最大で40%減少
 ロンドン大学公衆衛生・疫学部のオイノーラ オイボード氏らは、2001~2008年までの英国健康・栄養調査の結果をもとに、6万5,226人の食習慣を調べた。

 その結果、野菜や果物を多く食べている人は、全ての年齢層で、死亡率が低いことが判明した。

 全死因による死亡率は、野菜と果物を1皿(ポーション)以下しか食べていない人に比べ、1~3皿食べている人では14%、3~5皿の人では29%、5~7皿の人では42%低下した。

野菜と果物のどちらが効果的か?
 一方で、「果物は甘く、糖分が多く含まれており、血糖値を上げるので糖尿病にはよくない」というイメージがある。

 ロンドン大学の調査でも、1日に摂取する野菜の皿の数が増えるごとに、死亡率は16%減少するが、それに比べ果物の効果は低いという結果が出た。新鮮な果物を摂取した場合の死亡率の減少は4%にとどまっていた。

 「野菜の方が、より健康増進の効果は高いことが判明しました。だからといって、果物を食べても意味がないというわけではありません。いろいろ取り混ぜて食べるのが理想です」と、オイボード氏は述べている。

 果物にはビタミンや食物繊維などの栄養素が多く含まれている。1日1~2皿(80~160kcal)を目安に食生活に上手に取り入れると良いという。

1日5皿食べれば死亡リスクを減らせる
 ハーバード公衆衛生大学院も同様の研究を行っている。フランク フー教授ら研究チームは、米国、アジア、欧州で行われた16件の調査研究から、全83万3,234人のデータを解析した。このうち5万6,423人が心疾患やがんなどで死亡した。

 野菜や果物の摂取量と死亡リスクの関係を調べたところ、野菜や果物を食べる量が1皿増えるごとに、死亡リスクは平均で5%ずつ減っていった。

 フー教授らの研究では、野菜や果物を「1日5皿食べれば、効果を期待できる」という結果を導き出した。

 現状では、英国では野菜と果物を十分に食べている人は4人に1人に過ぎないという。米国でも、成人では平均して野菜の推奨量の6割、果物の5割しか摂取できていないという。

野菜を多く食べるための工夫
 ハーバード公衆衛生大学院は、野菜を多く食べる方法として、次のことを勧めている。

野菜をすぐに手に取れる場所に置いておき、いつでも食べられるようにする

野菜を使ったサラダや炒め物などのレシピをいくつか知っておき、いつでも料理できるようにする。

近所の野菜や果物を売っている売場を知り、野菜を入手しやすくしておく。スーパーだけでなく、八百屋などの小さな店も買い物リストに入れておくと、野菜や果物を安く手に入れやすい。

ジャガイモなどのイモ類や、そら豆などの豆類は炭水化物が多く、血糖値を上げやすいので、野菜とは区別する。サラダなどの加工食品にもジャガイモは入っている。

野菜ジュースは野菜1皿に換算できる。ただし、野菜ジュースは野菜に比べ、不溶性食物繊維が少なく、栄養成分の一部が取り除かれており、野菜を摂取したときと同等の効果が得られないので注意が必要。

果物は糖分が多いので注意が必要
 果物は特に朝に食べると良い。朝はエネルギーが枯渇しており、糖分が早くエネルギー源になり、一緒にビタミンもとれるという利点がある。

 ただし、夜遅い時間に食べると、エネルギーが過剰となり、中性脂肪が増えすぎてしまう。また、缶詰やドライフルーツは、生に比べビタミンが少なく、糖分も多いので注意が必要だ。

 種類や熟成の程度によっても異なるが、果物の主な糖質はブドウ糖、果糖、ショ糖などだ。果糖は主に肝臓で代謝され、インスリンを必要とせず速く代謝される。余剰のエネルギーは中性脂肪になり、悪玉のLDLコレステロールなどを増加させるおそれがある。

 一方で、果物には、ビタミンA・C・Eが含まれていたり、ポリフェノールやカロテンなどが含まれており、抗酸化作用が期待できる。また、果物に含まれるカリウムには、ナトリウム(塩分)の排泄を促す作用がある。果物がんを予防するという研究報告も多い。

UCL study finds new evidence linking fruit and vegetable consumption with lower mortality(ユニヴァーシティ カレッジ ロンドン 2014年4月1日)
Five daily servings of fruits and veggies enough for health benefit(ハーバード公衆衛生大学院 2014年7月30日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月15日
スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年08月07日
【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
2023年08月01日
肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶