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生活保護受給者にジェネリック医薬品を 「医療扶助費」圧縮へ
2014年10月24日

財務省は年末にかけての2015年度予算編成で、生活保護の受給者に安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を徹底するよう厚生労働省に求める方針を決めた。これにより医薬品にかかる費用を約500億円減らせる見込みだ。
後発医薬品に切り替え 医療費を500億円削減
生活が困窮している人に支給する生活保護費は2012年度で約3.6兆円に上り、受給者は最多の約216万人(昨年10月末時点)に達している。
生活保護のうち、医療費の全額を国と地方で負担する「医療扶助」は12年度に1兆6759億円で全体の半分近くを占める。うち、受給者の薬剤費は約900億円で、8割ほどが先発薬の経費だ。
開発費用が安く抑えられる後発医薬品は、先発医薬品に比べて薬価が低くなっており、患者の負担軽減や医療財政の改善につながる。そのため行政や医療保険者は、後発医薬品の普及促進に取り組んでいる。
一方で、生活保護における後発医薬品の普及は進んでいない。医療保険の後発医薬品の金額シェア8.5%に対して、生活保護分は7.5%にとどまっている(2011年医療扶助実態調査)。
このような状況をふまえて、厚生労働省はこれまでに、各自治体に対して後発医薬品の普及促進を図るよう通知を行った。
生活保護制度における後発医薬品の使用促進の具体的な取組みは以下の通りです。
(1)生活保護を受けている方が医療機関を受診し、処方医がお薬を処方する際、一般名処方を行っている場合又は銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合には、後発医薬品を原則として使用することとします。
(2)上記(1)の処方の場合において、先発医薬品の使用を希望する方については、薬局において、後発医薬品の原則使用について説明を行ったうえで、先発医薬品を希望する理由を確認し、一旦先発医薬品を処方し、その理由について、薬局から所管福祉事務所に情報提供をしてもらいます。
(3)上記(2)の情報提供により福祉事務所は先発医薬品を希望する理由に妥当性がないと判断される場合は、服薬指導を含む健康管理指導の対象とします。
財務省は全てを後発医薬品に切り替えることで、医薬品にかかる費用を920億円から420億円程度に圧縮できると試算している。
(1)生活保護を受けている方が医療機関を受診し、処方医がお薬を処方する際、一般名処方を行っている場合又は銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合には、後発医薬品を原則として使用することとします。
(2)上記(1)の処方の場合において、先発医薬品の使用を希望する方については、薬局において、後発医薬品の原則使用について説明を行ったうえで、先発医薬品を希望する理由を確認し、一旦先発医薬品を処方し、その理由について、薬局から所管福祉事務所に情報提供をしてもらいます。
(3)上記(2)の情報提供により福祉事務所は先発医薬品を希望する理由に妥当性がないと判断される場合は、服薬指導を含む健康管理指導の対象とします。
生活保護の「住宅扶助」の見直し議論も本格化
生活保護費のうち家賃にあたる「住宅扶助」について支給水準が高いという指摘があり、厚生労働省の「生活保護基準部会」で検討が始まっている。
「住宅扶助」は、生活保護の受給者に家賃や敷金などの実費を支給する制度で、上限額は地域によって異なり、単身世帯にはおよそ2万1000円から5万3000円余りが支給されている。
支給総額は年々増え続け、2012年度には過去最多となる5600億円を超えた。7月時点で生活保護を受けている世帯は約160万9千世帯で、2009年度より26%増加している。
財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」は、ことし5月「低所得者の家賃より2割ほど水準が高い」という試算をまとめ引き下げを求めた。
安倍政権はすでに、物価下落などを理由に生活保護費の生活費部分(生活扶助)の大幅な切り下げを決定。昨年8月から来年4月までの3段階で計6.5%分の減額を進めている。
社会保障予算(生活保護、年金等)(財務省主計局 2014年10月)第19回社会保障審議会生活保護基準部会(厚生労働省 2014年10月)
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