ニュース
世界糖尿病デーは11月14日 ブルーサークルで世界につながろう
2014年11月04日
世界糖尿病デーが、国際糖尿病連合(IDF)とIDFに加盟する組織が中心となり、11月14日に開催される。この日を中心に、世界のさまざまな場所でイベントやキャンペーンが開催される。
糖尿病の脅威は世界的に拡大
世界糖尿病デーは、糖尿病の脅威が世界的に拡大しているのを受け、世界規模で糖尿病に対する注意を喚起しようと、IDFと世界保健機関(WHO)によって1991年に開始され、2006年には国連の公式の日になった。
2014年の世界糖尿病デーのテーマは「糖尿病とともに健康に生きる(Healthy Living and Diabetes)」。2014年から3年間続けられる共通テーマで、今年は最初の年にあたる。
11月14日は、1921年にチャールズ ベストとともにインスリンを発見したフレデリック バンティングの誕生日にあたる。インスリンの発見により、糖尿病治療は飛躍的な進歩をとげた。
糖尿病合併症は、健康的な生活スタイルと適切な治療を続けることで、ほとんどの場合で予防が可能だ。そのことを世界規模で呼びかけるため、「糖尿病:私たちの未来を守ろう(Diabetes: protect our future)」というスローガンが掲げられている。
世界の糖尿病有病者の数は、2013年現在で3億8,200万人で、2035年までに5億9,200万人に増加するとみられている。うち1億7,500万人は糖尿病と診断されておらず、自分が糖尿病であることに気付いていない。糖尿病が原因で死亡した人の数は2013年には510万人に上り、6秒に1人が亡くなっている計算になる。
IDF理事長のマイケル ハースト氏は「糖尿病がもたらす脅威は世界中で拡大しています。いますぐ糖尿病に対し行動をはじめてください。世界糖尿病デーには、160以上の国や地域の200を超える団体が参加し、糖尿病患者、その家族、医療従事者、指導者が中心となり、糖尿病への認知を高める行動を世界規模で拡げています。あなたが新たな行動に踏み出すことが、世界中の糖尿病に関わる人々に勇気を与えます」と述べている。
ブルーサークルを世界中で共有
世界糖尿病デーのシンボルとなっているのは「ブルーサークル」だ。2006年に国連で「糖尿病は世界的な脅威であり、実効的な対策が必要だ」と採択されたのがきっかけに、ブルーサークルは糖尿病のシンボルに掲げられた。ブルーは国連の旗の色、サークルは「団結」「生命」「健康」を意味する。
IDFは、ブルーサークルの認知を拡げるために、「セルフィー」(selfie)というアプリケーションソフトを配信している。スマートフォンなどでセルフィーを起動し、カメラで自分や家族、グループを撮影すると、ブルーサークルが画像に自動的に表示され、同時にサーバーに送信される。ブルーサークルの位置やサイズは自由に変えられるようになっている。
世界中でブルーサークルを共有できる仕組みになっており、10月31日の時点で世界各地で撮影された画像4,437枚が集められている。ソフトはアンドロイド版とアイフォン版があり、無料で配布されている。
ブルーサークル セルフィー
画面をクリックするとスライド表示が始まります。
画面をクリックするとスライド表示が始まります。
世界中の「健康的な朝食」を集めてブルーサークルを作ろう
IDFは、世界糖尿病デーに合わせて「朝食でブルーを実行しよう」(Go Blue For Breakfast)というキャンペーンを展開している。糖尿病患者にとって理想的な朝食を撮影し、画像を特設ページで登録するよう呼びかけている。
特設ページでは、世界各地の糖尿病患者、その家族、医療スタッフから寄せられた朝食の画像を見ることができる。画像の点数が増えると、画面にブルーサークルが形作られる仕組みになっている。
健康的な朝食は、良好な血糖コントロールに不可欠だ。朝食を規則正しくとることで、1日の摂取エネルギーを三食に均等に振り分けられることができ、午前中の基礎代謝も向上する。朝食をとらないと肥満になりやすくなることが、多くの研究で確かめられている。インスリンや血糖降下薬で治療をしている患者では、低血糖を予防するためにも、朝食がとりわけ必要だ。
世界糖尿病デーのシンボル ブルーサークルとブルーライトアップ
11月14日を中心に、世界の80を超える国の1,000ヵ所以上で、有名な建造物が世界糖尿病デーのシンボルカラーであるブルーにライトアップされる。その目的は、糖尿病のシンボルである「ブルーサークル」の認知を草の根で広めて、糖尿病対策の推進の必要性を訴えることだ。世界糖尿病デーを中心に、糖尿病に関わる患者と医療者へのサポートの必要性が、世界に向けて呼びかけられる。
日本でも、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会の「世界糖尿病デー実行委員会」が中心となり、全国各地で関連イベントやブルーライトアップが開催される。
世界中で一斉に運動して血糖値をはかろう ビックブルーテスト
現在、世界糖尿病デーに合わせて、糖尿病ネットワークの対策を啓発するためのキャンペーン「ビックブルーテスト(Big Blue Test)」が実施されている。世界中の糖尿病患者や医療スタッフに、インターネットを通じて参加が呼びかけられている。
ビックブルーテストは、世界中で糖尿病患者が一斉に血糖測定を行い、続いて14?20分間の運動を実施の、その後でもう一度血糖測定を行い、その結果をインターネットを通じて、世界中の人々と共有しようというもの。
運動をすることで、体のブドウ糖や脂肪が使われ血糖値が低下する。血糖測定を行うことで、運動の効果をあらためて確かめ、運動の習慣化がもたらす恩恵を世界に向けてアピールしようという狙いがある。
キャンペーンは2010年に、糖尿病ハンズ財団が中心となり始めて実施され、これまで4万人以上が参加している。運動によって血糖値が、インスリン治療を行っている患者では平均で35.2mg/dL、インスリン治療を行っていない患者では23.0mg/dL低下したことが確かめられた(Diabetes Care, 36(2), e21, 2013)。
参加者からは「近所をぐるりと散歩するだけの簡単な運動であっても、血糖値が下がることが実感できた」などと賞賛の声があがったという。
糖尿病のヒーローを探せ
糖尿病合併症を防いだり発症を遅らせるために、医療従事者には「科学的根拠に基づく医療(エビデンス ベースド メディスン)」を推進することが求められる。患者はより熱心に治療に取り組むことが求められる。
糖尿病に対策するために、患者や医療機関だけでは十分ではなく、糖尿病との関わりの深い人々が声を出し合い、社会の注意を喚起する必要がある。そこで、中心的な役割を担う人々を「世界糖尿病デー ヒーロー」としてインターネットに登録するプログラムも始められた。
「世界糖尿病デー ヒーロー」にはその中心となる役割が期待されている。患者団体のリーダー、糖尿病療養を推進する医師や医療スタッフ、糖尿病とともに生きスポーツ選手として活躍する患者、発症して間もない1型糖尿病の子供など、現在までに世界各地から35人が登録されている。
糖尿病ケアに対し実行力のある人々が、糖尿病についてより良く理解しコントロールしていく必要について、インターネットを通じ世界中に呼びかける試みが行われている。
世界糖尿病デー(World Diabetes Day)
国際糖尿病連合(IDF)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「運動」に関するニュース
- 2023年08月28日
- わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
- 2023年08月21日
- 「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
- 2023年08月15日
- 軽いウォーキングなどの低強度の運動でも脳を活性化できる 運動で高齢者の認知機能を維持・増進
- 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年08月07日
- 【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
- 2023年08月01日
- 肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
- 2023年07月31日
- 歩きやすい環境に住む人はメタボ・肥満が少ない 運動・身体活動を促す地域環境をデザイン