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「遅い夕食」が健康を害する 胃食道逆流症のリスクが上昇

 胃酸などが食道に逆流することによって起こる「胸やけ」。食道粘膜に炎症がみられる場合は、「胃食道逆流症」が疑われる。日本でもこの病気に悩まされる人が増えているが、その原因は「夕食の時間」が遅くなっていることだという。
40歳以上の5人に1人が症状を経験
 「胃食道逆流症」は、胃液や胃の内容物が食道に逆流して起こる病気だ。胃の粘膜には胃液に含まれる胃酸から胃を守る働きが備わっているが、食道の粘膜にはそのような働きがない。そのため、胃酸が食道に上がってくると、粘膜にただれができたり、何らかの症状があらわれる。

 胃食道逆流症の症状でもっともよく起こるのは胸やけで、一般に「胸の骨の後ろ側が熱くなり、焼けるような感覚がする」という症状が起こる。酸っぱいものが込み上げてくる呑酸(どんさん)も典型的な症状だ。ほかに、胃もたれ、吐き気、のどの違和感、おなかが張るなど、さまざまな症状があらわれる。

 欧米では40歳以上のおよそ5人に1人が胃食道逆流症の症状を経験したことがあり、10人に1人は症状が週に1回以上起こっている可能性があるという。

「遅い夕食時刻」が原因のひとつ
 胃食道逆流症の原因となっているのは、「脂肪分の多いものや肉類の食べ過ぎ」「アルコール飲料」「早食い」「食後すぐに横になる」などだが、これまであまり重要視されていなかった「遅い夕食時刻」も大きな原因のひとつになっていることが分かってきた。

 米ジョージア州のピードモント病院のクリフ クランフォード氏は20年ほど前に、胃食道逆流症の患者たちの夕食の時間が徐々に遅くなっていることに気付いた。

 クランフォード氏は遅い夕食が原因になっていると考え、胃食道逆流症を改善するために「夜8時までに夕食をとること」「朝食・昼食をしっかりとること」「アルコールを控えること」「就寝は食後から最低3時間を空けること」といった食事時間と食生活の変更を推奨している。

夜8時以降に食べないようにすると改善
 レストランを経営しているある患者は、慢性的な胸焼け・せき・副鼻腔炎などの症状を訴えていたが、有効な治療法や治療薬がみつけられなかった。毎日午後11時頃に職場を後にして、帰宅後に夕食をとってから眠る、という生活スタイルをもっていた。

 クランフォード氏は患者に対して「必ず夕食は午後7時に食べて、仕事の後は何も食べないようにする」「寝る前のアルコールを控える」とアドバイスしたところ、生活スタイルを変えただけで、6週間以内に症状は収まった。

 別の患者も同様に、昼食はサンドイッチなどの軽食で済ませ、夕食の時間は遅めという習慣をもっていたが、夕食以外の食事が少ないため、食べ過ぎてしまう傾向があった。たくさん夕食を食べた後にソファでテレビを見たり、寝転んでしまうため、満腹の胃から酸が逆流しやすくなってしまう。

 健康な人なら数時間ほどで胃内の食物が空になるが、高脂肪の食品を食べ過ぎると、消化がさらに遅くなる傾向があるという。就寝前の間食も逆流を促す原因となる。

治療薬が食道がんの原因になることも
 胃食道逆流症の薬物療法で多く用いられるのは、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーだが、2014年に発表されたデンマークの研究によると、プロトンポンプ阻害薬を長期にわたり服用すると、食道がんリスクが上昇する可能性があるという。

 生活スタイルの改善によって症状が改善されれば、余分な投薬を摂取しなくても済むようになり、食道がんリスクも抑えられる。

 胃食道逆流症の発症には、精神的ストレスや、過労などの身体的ストレスの影響も大きい。ストレスが原因と考えられる場合には、ストレスのコントロールも必要となる。

Proton Pump Inhibitor Use May Not Prevent High-grade Dysplasia and Oesophageal Adenocarcinoma in Barrett's Oesophagus(Alimentary Pharmacology & Therapeutics 2014年5月11日)
What is GERD?(ピードモント病院 2012年4月16日)

[Terahata]

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