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職場の保健プログラムで平均寿命と健康寿命を延長できる

 米国の民間シンクタンクであり、企業向け健診プログラムの研究をしているバイタリティ研究所が、職場の健康増進プログラムを成功させるための5つのポイントを発表した。
職場では疾患対策のエビデンスを容易に集められる
 心筋梗塞などの心血管疾患、脳卒中などの脳血管疾患、糖尿病、がん、肺疾患などの「非感染性疾患」(NCD)は、適切な疾患対策プログラムを実行することで予防が可能だが、現実にはこれらの疾患による医療費や経済的損失は年々増加している。

 心血管疾患と糖尿病だけで、2010年に世界で160兆円(1.4兆ドル)の医療コストが費やされている。英国で医療サービスの80%を提供している「NHS」(国民保健サービス)は、全予算の10%を糖尿病の医療費に費やしているという。国民だけでなく、政府や企業の雇用者、保険会社などが大きな負担を強いられている。

 医療費削減を目的として、各国でNCDへの対策に焦点をあてた健診プログラムや、疾病予防プログラムが提供されているが、研究チームによると、そうしたプログラムで得られるデータは断片的であり、活用するのが難しいという課題がある。

 これに対して職場は、疾病の予防・健康増進プログラムを容易に実行でき、プログラムの影響や、疾病予防のエビデンスを集積するのに有利な場所であるとしている。

 職場で行う健康増進プログラムによって、発症を遅らせたり罹病期間を短縮できれば、生産性が改善され財政的利益を得られる。米国では1億5,500万人の労働者の健康に影響をおよぼす可能性がある。

 研究チームは、企業や政府のリーダーに、職場におけるエビデンスに基づいた疾病予防プログラムや健康増進プログラムの実施を奨励するためのポイントを、次のように示している。

1. 疾病予防・健康増進プログラムを進行する指導者が、積極的にプログラムに関われるようにする政策が求められている。企業の内外にいる指導者の質を高めるトレーニングも必要。

2. 企業が職場での健康増進プログラムに積極的に投資できるよう、政府による奨励をさらに高める必要がある。

3. 職場での健康増進プログラムの利点についてのエビデンスを増やすために、研究を質と量の両面で高めることが望まれる。

4. 政府は企業に対する規制を緩めて、エビデンスに基づく疾患予防プログラムの利用を促進する役割を担っている。

5. 職場やコミュニティをベースとするプログラムで得られたデータを集積・解析し、より効果的なプログラムを構築し、相乗的に効果を高めていくことを狙う。

Workplace Health Programs Are Key to Improving American Life Expectancy and Health(バイタリティ研究所 2014年11月12日)

[Terahata]
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