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健康的な食事が「COPD」のリスクを低下 野菜や魚を食べると効果的
2015年02月22日

玄米などの全粒穀物、野菜や果物、青魚に多く含まれている不飽和脂肪酸、ナッツ類などを十分に摂取している人は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の危険性を下げられることが、12万人を対象とした調査で明らかになった。
COPDリスクを低下させる食習慣
健康的な食事を心がけている人では、心臓病やがんの発症リスクが低下するだけでなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の危険性も低下することが、米国の約12万人を対象に行った調査で明らかになった。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、気管支や肺胞に炎症が起き、せき・痰などの症状が現れる病気。主な原因は喫煙で、一般にCOPD患者の8~9割が喫煙者とされている。高齢になるほど起こりやすいが、体質によっては若い人や喫煙しない人でも起こることがある。
COPDを発症し炎症が進むと肺胞が壊れ、酸素を十分に取り込めなくなる。「階段や坂道を上がったときに息切れが起こる」といった症状が典型的だ。
フランス国立衛生医学研究所と米ハーバード大学医学大学院の研究チームは、1984~2000年に行われた米国の看護師を対象とした調査と、1986~1998年に行われた医療従事者を対象とした調査から得られた12万254人のデータを解析した。
研究チームは「AHEI-2010」という食事指針によって、参加者の食生活を評価した。AHEI-2010は食習慣を11の項目で点数化したもので、下記を満たしていると「健康的な食事」とされる。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の危険性を下げる食事
・ 摂取量を増やすのが好ましい成分▽玄米などの全粒穀物、▽野菜や果物、▽魚などに含まれる多価不飽和脂肪酸、▽ナッツ類などに含まれるオメガ3系脂肪酸 ・ 摂取量を減らすのが好ましい成分
▽赤身肉(牛豚肉)、▽ハムやソーセージなどの加工肉、▽白米などの精製された穀物、▽糖分を加えた清涼飲料 ・ 適度に摂取するのが好ましい食品
▽アルコール 調査期間中に、COPDと診断されたのは男性が167人、女性が723人だった。解析した結果、AHEI-2010のスコアがもっとも高い食事をしていたグループは、もっとも低い食事のグループに比べて、COPDと診断されるリスクが33%低くなっていた。 COPDを予防するために、何より大切なのは禁煙だ。たばこを吸っていると、肺機能の低下速度が速くなる。 「禁煙に加えて、健康的な食事がCOPDを予防するために大切であることが示されました。これらの食事は、心臓病や脳卒中、がんを予防するうえでも効果的です」と、研究を主導したラファエル バラソ氏は述べている。 Healthy diet linked to lower risk of chronic lung disease(BMJ 2015年2月4日)
Alternate Healthy Eating Index 2010 and risk of chronic obstructive pulmonary disease among US women and men: prospective study(BMJ 2015年2月3日)
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