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野菜中心の食生活を続けると心臓病や脳卒中のリスクが低下
2015年03月17日

将来に心臓病や脳卒中を発症する危険性を下げるために、簡単で効果的な食事スタイルがある。それは「1日にとる食事の中で、野菜などの植物性食品の比率を増やすこと」だ。
野菜などの植物性食品を食べると心臓病や脳卒中が減少
米国心臓学会(AHA)は、欧州10ヵ国の45万人以上を12年間追跡した調査で、野菜を豊富にとる食生活をもつ人は、心臓病や脳卒中で死亡するリスクが低下することが明らかなったと発表した。
研究では、英国のインペリアル カレッジ ロンドン(ICL)の研究チームが、欧州のがんと栄養に関する前向きコホート研究(EPIC)の参加者を対象に調査した。
EPIC研究には欧州10ヵ国に在住する35~70歳の男女45万1,256人が参加した。いずれも調査開始時に糖尿病や心臓病などの慢性疾患を発症していなかった。研究チームは参加者を12年間追跡して調査し、心臓病や脳卒中の発症や、食事に関するアンケート調査を行った。
研究チームが定めた7タイプの植物性食品は、野菜、果物、豆類、イモ類、ナッツ類、シリアル、オリーブオイル。5タイプの動物性食品は、肉類、乳製品、卵、魚、シーフード、動物性油脂。
それぞれの食品の摂取量のスコアにもとづき、参加者がどれだけ植物性食品を食べているかを調べた。
その結果、食事に占める植物性食品の割合が70%を超えるグループは、この割合が45%未満のグループに比べ、心臓病や脳卒中で死亡するリスクが20%低下したことが判明した。
年齢、性別、総エネルギー摂取量、肥満度数、喫煙習慣、運動量、飲酒量などのリスク要因の影響を調整した後でも、植物性食品をとることが死亡率の低下につながることが明らかになった。
動物性を植物性に代えるだけで効果的に予防できる
過去の研究でも、植物性食品を多く食べることが、心血管疾患(CVD)を予防するために効果的であることが示されている。
米国心臓学会(AHA)は、心血管疾患や脳卒中を防ぐために、健康的な食事をすることを勧めている。
・ 増やしたい食品▽野菜、果物、全粒粉、豆類、ナッツ類といった植物性食品、▽低脂肪の乳製品、▽脂肪を落とした肉類や魚 ・ 制限したい食品
▽赤身肉、▽飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、▽塩分、▽糖分 「動物性食品をとるのを控え、植物性食品を代用するのは、とても簡単ですが、効果的な食事療法になります。そうした食事が心血管疾患や脳卒中を予防するのに効果的であることが判明しました」と、研究を主導したICLのカミーユ ラサール氏は述べている。 Semi-veggie diet effectively lowers heart disease, stroke risk(米国心臓学会 2015年3月5日)
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