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都民の3割が「在宅医療」を希望 うち半数超は「実現が難しい」

 脳卒中の後遺症や末期がんなどで長期療養が必要になった場合、東京都民の約3割が理想として自宅での療養を続けたいと考えていることが、都の調査で明らかになった。一方で、このうち約6割は「実現が難しいと思う」と回答。その理由としては、「家族に負担をかけるから」が約8割でもっとも多かった。
在宅医療が難しい理由「家族に負担をかけるから」
 都は昨年10~11月にかけて、都内に住む6,000世帯と20歳以上の世帯員を対象に、調査員による面接聞き取り調査や、対象者自身が調査票に記入する留め置き調査を行い、3,597世帯と20歳以上の世帯員6,403人から回答を得た。

 調査の速報値によると、長期療養が必要になった場合に在宅医療を「希望する」と答えた人は32.6%、「希望しない」という人は30.9%、「分からない」と答えた人が32.9%だった。在宅医療を希望する人に、その実現可能性を聞いたところ、「実現は難しい」との回答が58.4%を占め、「実現可能」だと答えたのは23.0%にとどまった。

 さらに、在宅医療は実現困難と答えた人に、そう思う理由を複数回答で聞くと、「家族に負担をかけるから」(79.8%)が最多で、以下は「急に病状が変わった時の対応が不安だから」(54.3%)、「在宅医療や在宅介護でどのようなケアを受けられるか分からないから」(53.4%)、「お金がかかるから」(46.7%)、「療養できる部屋やトイレなど住宅環境が整っていないから」(42.0%)と続いた。
3割近くが健診や人間ドックを受診していない
 健診や人間ドックの過去1年間の受診状況を聞いたところ、受診した人が69.0%、受診しなかった人が27.4%に上った。受診していない人に理由を聞いたところ、「現在、健康に問題はなく、必要性を感じないから」(30.5%)がもっとも多く、次いで「医者にかかっているから」(29.8%)、「時間がとれないから」(25.0%)と続いた。

 健診や人間ドッグを受診した人に、健康異常について指摘を受けたか聞いたところ、「指摘あり」は51.6%、「指摘なし」は44.9%に上った。指摘の内容は、総コレステロール、LDLコレステロールや中性脂肪が高い、HDLコレステロールが低いなどの「脂質異常」(30.6%)がもっとも多く、「高血圧」(21.9%)、「肥満」(14.8%)、「糖尿病」(8.3%)と続いた。

 健診で指摘を受けた人のうち、特定保健指導を受けたのは27.7%。指導内容は「動機付け支援」が56.6%、次いで「積極的支援」が21.6%だった。特定保健指導を受けた人に、計画した内容をどの程度実行しているか聞いたところ、「おおむね実行している」が46.1%、「一部実行している」が31.8%となり、77.9%が実行していることが示された。
10人に1人以上が糖尿病か予備群 半数近くが治療を受けていない
 健診を受け「血糖値が高い」「糖尿病の気がある」「糖尿病になりかけている」などと指摘された人は8.1%、「糖尿病である」と指摘された人は5.1%に上った。糖尿病の指摘を受けた人のうち、「現在、治療を受けている」という人は46.4%、「以前に受けたことがあるが、現在受けていない」という人は11.8%。一方で「受けたことがない」と回答した人は36.2%に上った。

 糖尿病の発症予防についての知識を質問したところ、60.8%は「適切な量と質の食習慣や、階段利用などの日常生活の工夫による運動習慣、ストレスをためない生活習慣の実践が大切」と回答。

 「インスリン分泌能力が低い日本人は太っていなくても糖尿病になる危険性がある」と答えた人は43.3%、「ストレスもインスリンの働きを悪くする要因になる。夜更かしを控えて適切な睡眠をとり、趣味を楽しむなど、心にゆとりを持つことが大切である」と答えた人は29.8%に上った。

 このほか、病院や診療所などを選ぶ際に欲しい情報を複数回答で尋ねると、「診療日・診療時間」の割合がもっとも多く60.1%、以下は「所在地・連絡先等」(59.4%)、「実施している手術・治療の内容や件数等の診療実績」(34.6%)、「診療にかかる自己負担の額(差額ベッド代など)」(27.8%)、「医師・歯科医師の氏名、略歴、専門分野など」(26.8%)と続いた。

都民の健康と医療に関する実態と意識(東京都福祉保健基礎調査)(東京都2015年3月30日)
[Terahata]
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