ニュース
休日は高脂肪の食事に注意 たった5日間で筋肉のエネルギー代謝が低下
2015年04月30日

高脂肪の食事をわずか5日間とり続けただけで、筋肉がブドウ糖を代謝してエネルギーに変えるメカニズムに異変が起こることが明らかになった。「休日が続くと食べ過ぎになりがちですが、普段以上に食事に注意することが必要です」と、研究者は注意を呼びかけている。
高脂肪の食事を5日間とり続けただけで体は変化する
休日に開放感にひたり、つい食べ過ぎてしまう人は少なくない。しかし、普段と違う食事が健康に深刻な打撃をもたらすおそれがあることを肝に銘じておいた方が良さそうだ。
高脂肪の食事をわずか5日間とり続けただけで、体のエネルギーの代謝に悪影響があらわれることが、米国のヴァージニア工科大学の研究で明らかになった。高脂肪の食事をとると、ブドウ糖を筋肉に取り組むインスリンの働きが悪くなるという。
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気だ。ブドウ糖は細胞や筋肉でエネルギー源として使われるが、糖尿病になるとブドウ糖は細胞の中に十分とりこまれず、血液中にあふれてしまう。
肥満になると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが細胞に十分に取り込まれなくなり、血糖値が高くなる「インスリン抵抗性」が起こりやすくなる。これは、糖尿病予備群でも起こる現象だ。
肥満によって脂肪細胞が増加すると、インスリンの働きを悪くする生理活性物質である「アディポサイトカイン」が放出され、筋肉や脂肪などの組織、肝臓へブドウ糖が取り込まれにくくなる。
わずか5日間、高脂肪の食事をとっただけで、筋肉がブドウ糖や脂肪酸を代謝してエネルギーに変えるメカニズムに異変が起こることが、ヴァージニア工科大学の研究で判明した。この変化が、体重増加、肥満などの健康問題の原因になるという。
「大部分の人は高脂肪の食事が体に悪いことを理解していますが、ほんの数日だけなら大丈夫だろうと思いがちです。しかし、高脂肪の食事を5日間とり続けただけで、筋肉では防御機能と呼べるような反応が働くようになります」と、ヴァージニア工科大学のマット ハルヴァー氏は説明する。
休日に食べ過ぎを防ぎ、運動をすることが必要
「これまで考えられていたよりもはるかに短い期間で、体は食事の変化に反応することが分かりました」とハルヴァー准教授は言う。
筋肉は人の体の体重のおよそ30%を占める最大の器官だ。筋肉は食事からとったブドウ糖をエネルギーに変換し調整する「クリアリングハウス」の役目を担っている。
食事をすると、血液中のブドウ糖の濃度が高くなり血糖値が上昇する。筋肉は、このブドウ糖をエネルギーとして消費し、余分なブドウ糖はグリコーゲンへ変換され筋肉や肝臓に蓄えられる。
研究チームは、12人の健康な大学生を対象に実験を行った。ソーセージをはさんだパン、マカロニ、チーズにバターといった、脂肪のエネルギー比率を55%に高めた高脂肪食を5日間食べさせて、前後に筋生検を行って筋中のブドウ糖の代謝を測定した。
高脂肪の食事を5日間とり続けた結果、筋肉でのブドウ糖の代謝が阻害され、インスリンに対する反応は悪くなることが判明した。
「通常の食事では、脂肪のエネルギー比率は30%程度です。これを超える量の脂肪をとり続けると、わずか5日間で筋肉でのエネルギー代謝は悪くなることが判明しました」
筋肉でのブドウ糖の取り込みが悪くなることは、エネルギー消費が低下することを意味する。運動や身体活動を行い、筋肉を動かすことが、エネルギー消費を高く維持させることにつながる。
「筋肉でのブドウ糖の代謝を高めるために、休日に食べ過ぎを防ぎ、運動を続けることが必要です。休日に食べ過ぎてしまったという人は、ウォーキングなどの運動に取り組み、筋肉を動かすよう対策した方が良いでしょう」と、ハルヴァー氏は指摘している。
この研究は、米国糖尿病学会(ADA)と米国立衛生研究所(NIH)による支援を受けて行われた。
Five days of eating fatty foods can alter how your body's muscle processes food, researchers find(ヴァージニア工科大学 2015年4月13日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.

「栄養」に関するニュース
- 2023年02月20日
- 【サンプル提供】間食指導に♪糖類ゼロでおいしい甘さ「パルスイート® カロリーゼロ」&ヘルシーレシピ集
- 2023年02月14日
- 新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
- 2023年02月10日
- 【オピニオン公開中】職域でのアルコール指導・減酒支援、多職種・チーム連携
- 2023年02月06日
- 「ガーデニング」で肥満・メタボを改善 野菜を食べられ運動にもなる メンタルヘルスも向上
- 2023年02月06日
- 肥満者向けの減量プログラムにお金を支給するインセンティブを付けると成功率は大幅に向上
- 2023年01月31日
- 【新型コロナ】休校中に生活リズムが乱れた子供は睡眠時間が減少 夜型の生活をしている子供は要注意
- 2023年01月30日
- 【職場の保健指導】生活改善プログラムでは職場の雰囲気を変えることも必要 健康支援も個別化を
- 2023年01月30日
- 肥満者へのオンライン生活指導は効果がある 個別化した情報提供と専門家の助言が重要
- 2023年01月24日
- 漬物やキムチなどの「発酵食品」が肥満やメタボを抑制 腸内菌の有益な働きを解明
- 2023年01月17日
- 【特定健診】40歳以上の半数は生活習慣病かその予備群 健診受診率の引き上げと、働く人のヘルスリテラシーを向上することが課題に