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「過労死ゼロ」に向けて 週60時間以上働く人を5%以下に 大綱案
2015年05月26日

厚生労働省は、過労死を防ぐための対策をまとめる「過労死防止大綱」の最終案を明らかにした。国の責任で勤務状況と過労死の関係について追跡調査し、「2020年までに週60時間以上働く人の割合を5%以下にする」などの数値目標を盛り込んだ。
大綱は「過労死等防止対策推進法」(過労死防止法)の基本方針となるもので、厚生労働省所管の「過労死等防止対策推進協議会」が検討してきた。協議会は過労死被害者遺族や労働組合、経営者、学識者などで構成。今後は国民から意見を募った上で今夏をめどに閣議決定される。
「将来的に過労死をゼロに」が目標
日本人の労働時間については、労働者1人当たりの年間総時間は減少傾向で推移しているものの、パートタイム労働者の割合が増加しており、一般労働者については2,000時間前後で高止まりしている。
日本は欧米に比べ、年平均労働時間が長い。さらに、時間外労働(週に40時間以上)を行っている人が多く、2014年の全産業の週60時間以上の就業者は566万人、うち雇用者は468万人に上る。
正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者ほど長時間労働が多い傾向がある。
仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、2013年は52.3%と以前より低下したものの、依然として半数を超えている。その内容は、「仕事の質・量」(65.3%)、「仕事の失敗、責任の発生等」(36.6%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」(33.7%)となっている。
そこで、大綱案では、将来的に過労死をゼロにすることを目指し、2020年までに(1)週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする、(2)年次有給休暇取得率を70%以上にする、(3)2017年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする――など数値目標を明記した。
過労死の実態解明のため調査研究を実施
また、今後3年を目途に、全ての都道府県でシンポジウムを開催するなど、全国で啓発活動が行われるようにするとともに、身体面、精神面の不調を生じた労働者誰もが必要に応じて相談することができる体制の整備を図ることを目指す。
また、2014年の警察庁の統計では疲労や仕事、職場環境の悩みによる自殺者が2,227人いたのに対し、未遂を含めた過労自殺の労災認定が2013年度で63人と大きな差があることなどを挙げ、国が個々の過労死の分析や職場環境、労働者の心理的負荷の影響など幅広い調査分析をして防止策に生かすよう盛り込んだ。
さらに、長時間労働が健康に及ぼす影響を調べたり、知識の普及にも努め、大学生や高校生らを対象とするセミナーで、過重労働による健康障害防止について説明。働き手が相談しやすいよう、電話やメールによる相談窓口の設置など体制整備にも取り組む。
遺族や弁護士は、勤務時間が週60時間以上の労働者をゼロにすることや、勤務日の間に必ず一定の休憩時間を設定する「インターバル規制」の導入を求めたが、「現行の法制度を前提にする」などの理由で盛り込まれなかった。
第5回過労死等防止対策推進協議会(厚生労働省 2015年5月25日)
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