ニュース
高カロリー飲料の飲み過ぎで年間18万人以上が死亡 働き盛り世代で深刻
2015年07月07日
高カロリーの清涼飲料や炭酸飲料の飲み過ぎが、糖尿病や心臓病、がんの原因となり、世界で年間に18万4,450人が死亡しているという調査結果が発表された。
高カロリー飲料が肥満の原因に
高カロリーの飲料が原因となり死亡した人は、2010年に世界で18万4,450人に上ったとの推計を、米国のタフツ大学栄養科学・政策学部のギタンジャリ シン氏らが発表した。
高カロリーの清涼飲料や炭酸飲料の飲み過ぎが、肥満、2型糖尿病、心血管疾患、がんなどの発症リスクを高めているという。この研究は、米国心臓学会(AHA)が発行する医学誌「サーキュレーション」に発表された。
食事に加えて高カロリー飲料でエネルギーを過剰に摂取すると、肥満になりやすくなる。糖質の摂り過ぎは、急激な血糖・インスリン濃度の上昇を引き起こし、耐糖能異常、インスリン抵抗性にもつながる。
また、高カロリー飲料の甘味に使用されているフルクトースの摂取は、インスリン抵抗性との関連が強い内臓脂肪量の増加との関連が報告されており、肥満や2型糖尿病を進展させる可能性がある。
高カロリー飲料の飲み過ぎで18万4,450人が死亡
研究チームは、52ヵ国で実施された62件の研究を解析し、61万1,971人を対象に、炭酸飲料、スポーツドリンク、エネルギードリンク、加糖コーヒーなど高カロリー飲料の消費と、2型糖尿病、心血管疾患、がんなどの死亡数との関連を調べた。100%果汁のジュースは除外した。
その試算によると、高カロリー飲料の飲み過ぎが引き起こす世界の死亡数は、全体で18万4,450人に上り、糖尿病では約13万3,000人、心血管疾患では約4万5,000人、がんでは6,450人に上る。
「高カロリー飲料の消費量を減らすための対策が、世界規模で優先的に行われるべきです。そうした食品の摂取量を減らすことで、年間に数百万人の命を救えます」と、シン氏は強調している。
働き盛りの若い世代で影響は深刻
高カロリー飲料の消費量はこの30年間で大幅に増加し、世界の半数の人が毎日飲んでいるという。
米国心臓学会(AHA)は、高カロリー飲料を週に450kcal以上摂取しないことを推奨している。これは、350mLの缶入りコーラ約3本分に相当する。
実際には、米国疾病予防管理センター(CDC)の2011年の調査によると、米国では高カロリー飲料を男性は平均178kcal、女性は103kcal、毎日摂取しているという。
高カロリー飲料が引き起こす障害は、高齢者よりも働き盛りの若い世代でより深刻だ。「若い頃に高カロリー飲料を飲むことが習慣化すると、その影響は年齢を重ねてから増大します。加齢に伴い増える2型糖尿病、心血管疾患、一部のがんなどの生活習慣病の発症が増え、死亡率も上昇します」と、シン氏は言う。
高カロリー飲料を飲み過ぎている傾向は、高所得の先進国よりも、低・中所得の途上国でより深刻だという。調査によると、高カロリー飲料に起因する死亡率の推定はメキシコがもっとも高く、死亡者の割合は成人100万人当たり450人に上る。死亡率の推定は、米国が成人100万人当たり125人で次いで多く、日本は成人100万人あたり11.2人で高所得国の中ではもっとも低い。
Sugary Drinks Linked to High Death Tolls Worldwide(タフツ大学 2015年6月29日)Estimated Global, Regional, and National Disease Burdens Related to Sugar-Sweetened Beverage Consumption in 2010(Circulation 2015年6月29日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「栄養」に関するニュース
- 2023年08月28日
- 極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
- 2023年08月28日
- カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
- 2023年08月21日
- ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
- 2023年08月15日
- スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
- 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年08月07日
- 【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
- 2023年08月01日
- 肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要