ニュース

特定保健指導の効果を検証 検査値の改善は3年間持続 医療費も減少

 厚生労働省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」の作業部会は、「特定保健指導」による検査値への影響と医療費の適正化効果について経年的な分析を実施し、第三次中間結果を公表した。
 特定保健指導を受けた人は、血糖や血圧、中性脂肪などの検査値の改善効果が3年間続いたことが判明した。「電子レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)を活用した全国的な調査で経年的な効果が検証されたのは今回がはじめて。
特定保健指導後の3年間に検査値の改善効果が継続
 特定健診・保健指導による検査値の改善状況や行動変容への影響、医療費適正化効果などを検証するためにワーキンググループを設置し、「レセプト情報・特定健康診査等情報データベース」(NDB)を活用し、特定保健指導の効果の検証を2013年3月から進めてきた。

 今回の調査では、特定健診・特定保健指導がスタートした2008年度に特定保健指導の対象となった40~64歳の参加者のうち、同年度に特定保健指導のメニューを6ヵ月後まで受けた人を「参加者」、2008年度から11年度まで一度も特定保健指導を受けていない人を「不参加者」として、特定健診の検査値の推移を比較。365保険者の約20万人分のデータを活用して分析した。

 その結果、「積極的支援」を受けた参加者は、不参加者と比較すると、おおむね全ての検査値において、特定保健指導後の3年間に検査値の改善効果が継続していることが確認された。特定保健指導は糖尿病、高血圧の予防の観点からも有効である可能性が示唆された。

 「積極的支援」を受けた参加者は、2008年度と比べて2011年度では、腹囲は男性で1.48cm、女性で2.66cm、それぞれ減少した。同じく体重は男性で1.25kg、女性では1.65kg、それぞれ減少した。

 血糖値の平均値を示すHbA1c値は、2008年度と比べて2011年度では、男性で0.07%、女性で0.02%それぞれ増加したが、大きな増加は抑えられたことが判明した。血圧値(収縮期血圧)は男性で2.12mmHg、女性で3.31mmHg、それぞれ減少した。中性脂肪値は男性で35.75mg/dL、女性では27.51mg/dLそれぞれ減少した。
 「積極的支援」よりリスクが低い人などが対象の「動機付け支援」の参加者についても、積極的支援より改善幅は小さかったが、同様の改善効果がみられた。作業部会は、「動機付け支援」は介入回数が少なく、少ないマンパワーで多くの人に実施できることから、費用対効果の面で優れている可能性もあると指摘している。
特定保健指導が保険診療費を減少
 また調査では、メタボリックシンドロームの人が併発しやすい高血圧症と脂質異常症、糖尿病に関連する入院外医療費などの推移も、参加者と不参加者とで比較した。参加者の方が医療費が低く抑えられることが明らかになった。
 2009年の1人当たり入院外保険診療費は、積極的支援の参加者では男性1万20円、女性が1万4660円。不参加者人より、男性が5,340円、女性が7,550円少なかった。2009~11年の結果についても同様の傾向がみられ、男性では全ての年齢階級で参加者の保険診療費が有意に低かった。女性でもほぼ全ての年齢階級において介入群の方が低かった。参加者の方が保険診療費が高いという階級はひとつもなかった。

 医療費については、動機付け支援でも同様に傾向がみられ、参加者では不参加者に比べ男性では34.1%低く、女性では20.0%低かった。

第14回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(厚生労働省 2015年6月26日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
2025年06月27日
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】
2025年06月17日
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断
2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶