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食事の過度なカロリー制限がアルツハイマー病を加速する可能性
2015年07月27日
アルツハイマー病患者が過度のカロリー制限を行うと、病態に悪影響を与える可能性があることを、東京医科歯科大学の研究チームが突き止めた。「食習慣を通じた認知症予防・治療を進める上で重要なポイントになる」と研究者は述べている。
アルツハイマー病のオートファジーの役割を解明
アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の特徴は、細胞の内外に異常タンパク質が蓄積することだ。この異常タンパク質を除去する細胞機構のひとつとして「オートファジー」がある。オートファジーは細胞が自らを分解する現象で、最近の研究では、オートファジーによる細胞内の新陳代謝によって、神経細胞内を常に新鮮な状態に保ち、その機能を維持していると考えられている。
オートファジーには、常に働いている「基礎的オートファジー」と、カロリー制限などで活性化する「誘導性オートファジー」の2種類があることが知られている。
誘導性オートファジーついては、脳以外の組織においては大きな役割を果たしているが、脳内では存在していないという研究報告がある。一方で、カロリー制限などによる誘導性オートファジーが異常タンパク質の凝集を除き、症状を改善するとの報告もあり、神経細胞における誘導性オートファジーついてよく分かっていない。
誘導性オートファジーには、インスリン受容体から細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼを介する経路が重要なので、糖尿病や高カロリーの食事が危険因子となるアルツハイマー病の解明が必要とされている。
そこで、研究チームは、神経細胞における誘導性オートファジーを解明するために、生きた脳の中の神経細胞におけるオートファジーを観察する技術を開発。マウスの脳内を観察した結果、飢餓誘導性オートファジーが神経細胞に存在することを確認した。
カロリー制限がオートファジーを活性化、アルツハイマー病態を悪化
研究チームは次に、オートファジーが病態を抑制するのか、進行させるのかという問題を検討した。オートファジーは細胞内の異常タンパク質を除去する仕組みであり、病態を抑制すると考えられている。
一方で、アルツハイマー病では、オートファジー系の膜はベータアミロイド産生の場であり、オートファジーを活性化すると細胞外アミロイドが増加することなどが報告されている。
これについては、研究チームは、アルツハイマー病態では飢餓による誘導性オートファジーが亢進しているものの、細胞外から取り込んだベータアミロイドというタンパク質を分解処理できず、アルツハイマー病で侵されやすい脳内の重要部位でベータアミロイドを溜め込むことを解明した。
これにより、カロリー制限によってオートファジーが過度に活性化し、細胞内のベータアミロイドの増加が細胞死につながり、アルツハイマー病態を悪化させるリスクとなることが明らかになった。
「過度なカロリー摂取などの生活習慣がアルツハイマー病進行を早める要素であることが広く知られているが、脳内で細胞外のベータアミロイド濃度がある程度高まった後では、むしろ、カロリー制限によってオートファジーを過度に活性化することがアルツハイマー病態を悪化させるリスクとなる可能性がある」と、研究グループは述べている。

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