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1型糖尿病患児がよりよい学校生活を送るために 今何が必要か?
2015年08月07日
日本メドトロニックは7月21日に東京で、記者説明会「生活習慣病ではない糖尿病があることを知っていますか? 1型糖尿病患児がよりよい学校生活を送るために」を開催した。
1型糖尿病に対する誤解はまだ多い
「1型糖尿病」は、膵臓のβ細胞が壊れてしまい、インスリンを分泌できない、あるいは分泌量がきわめて少ないために生じるタイプの糖尿病だ。自己免疫反応の異常やウイルス感染などが原因と考えられているが、まだ十分に解明されていない。1型糖尿病患者は、インスリンを体外から補給しないと生命を維持できないので、インスリン療法を一生涯続ける必要がある。
成人に多い「2型糖尿病」が遺伝因子と生活習慣が原因で発症するのと異なり、「1型糖尿病」の発症には生活習慣は関連しておらず、また10?15歳で発症する患者が多いのが特徴だ。
日本では、2型糖尿病に比べ1型糖尿病の発症率は非常に低く、年間に10万人中約1.5?2人ほどが1型糖尿病を発症するとみられている。国際糖尿病連合(IDF)の調査によると、世界では年間に7万9,000人以上の子供が発症している(2013年)。
患者数が少ないので、1型糖尿病に対し「食生活の乱れや運動不足などが原因」「生活環境に問題がある」といった誤った理解をする人がいまだに少なくなく、治療の妨げになっているだけでなく、患者や家族が不当に傷つくことが多いという。
1型糖尿病の子供たちは糖尿病とともに成長していく
患者・学校・医療機関 三者の連携が重要
1型糖尿病について学校に理解してもらうことが必要
糖尿病の治療は毎日の生活の中で行われる。多くの1型糖尿病患者は、毎日数回のインスリン注射と血糖自己測定を行い、血糖値を正常にあるいは正常近くにコントロールすることを目標としている。
これができていれば普通に生活することができ、慣れていくと次第に生活の一部になっていく。治療がスムーズにできるようになり、血糖コントロールが良好に維持できるようになると、生活上で特別に制限されることはなくなる。体育の授業(プールを含む)、運動会、マラソン大会、運動クラブ活動などへの参加も、他の児童と同じようにすべて行える。
「学校で1型糖尿病について適切に理解してもらうことが大切。特別扱いするのではなく、血糖値の管理ができれば、普通に生活することができることを知って欲しい」と、1型糖尿病患児の保護者である大池祥恵さんは言う。
日本では1型糖尿病の患者数が少ないので、家族や友人、学校の教師らにもなじみが少ない場合が多く、患者は周囲の無理解や孤立感、さらに生命予後や将来への不安などについて悩むことがある。そうした1型糖尿病の子供にとって「糖尿病キャンプの役割は大きい」と前述の堀川氏は言う。
糖尿病キャンプは、同じ治療を行っている子供が集まることにより、自己注射、低血糖の対処などの療養行動に必要な自立心および積極性を育成し、病気に関したストレスを解消する目的で行われている。糖尿病キャンプは日本では1967年に開始され、現在全国で毎年行われている。
低血糖への対処では周囲のサポートが必要なことも
「インスリンポンプ療法」(CSII)は、携帯型インスリン注入ポンプを用いて、インスリンを皮下に持続的に注入する治療法。従来のインスリン療法で血糖コントロールが難しかったり、血糖コントロールをより良くしたい場合、あるいは生活の自由度を高めたい場合などに有効と考えられている。インスリンポンプ療法を行う1型糖尿病患者は増えているが、多くの患者はインスリン注射により治療を行っている。
インスリン注射の副作用ともいえる低血糖は、インスリンの作用で血糖値が下がりすぎた状態。一般的には血糖値が70mg/dL以下になると空腹感や集中力の低下があらわれ、さらに血糖値が下がり50?/dL以下になると体のだるさ、眠気、ふるえ、冷や汗、動悸などあらわれる。さらに低下すると意識障害などの症状が出現する。
治療法が進歩しており以前に比べれば低血糖の頻度は減っているが、運動量が多いとき、食事量が少ないときや遅いときなどに起きることがある。1型糖尿病の子供にとって、学校生活での低血糖への対処は重要だ。
低血糖が起きた場合は、ブドウ糖を摂取する「補食」によって症状はおさまる。砂糖やジュースなどでもいいが、ブドウ糖の錠剤やゼリーを利用すると、少ない量で速やかに血糖を上げられる。小児の患者が低血糖の予防のために捕食をとるときは、おやつを食べているのでなく、体に必要だと理解してあげることが必要だ。
低血糖に対処するときは、学校の先生や周囲のサポートが必要になることがある。「糖尿病の子であっても特別扱いはせず、クラスメイトの一員として接することが必要ですが、担任の先生として、低血糖が起きそうな時間帯に子供に低血糖症状が出ていないか注意し、様子がおかしいときはすぐに対応できるようにしています」、と教諭の?木菜美さんは言う。
「糖尿病の子供達が楽しい学校生活が送れますように、引き続きよろしくお願いいたします」と井上氏が1型糖尿病患者への支援を呼びかけ、記者説明会は終了した。
インスリンポンプ療法.jp
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