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女性のライフステージごとの健康課題を解決 医療研機構が研究費助成
2015年08月12日
国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」は今年度、骨粗鬆症や子宮内膜症、月経周期や妊娠時の身体状況をモニターするウエアラブル端末の開発など、女性に多い病気の治療法や予防法の開発支援に乗り出す。
女性の一生のステージごとの健康課題の解明を目指す
女性は、ホルモンの影響や妊娠・出産など、人生の各段階に応じてその心身の状況が大きく変化する。同事業では、女性の一生のステージごとの健康課題について、ホルモンの性差および女性特有の心理・行動・認知などにおける性差に視点をおいた健康課題の病態解明と予防・治療開発を目指す。
さらに、近年の女性の就業等の増加、晩産化・少産化、平均寿命の伸長等に伴う女性の健康に関わる問題の変化に応じた取り組みを推進する。
国内では病気の研究が個別に進んでいるが、国として重要テーマを集中的にサポートすることで、現役世代の活躍を後押しし、高齢世代の健康寿命を延ばすのが狙い。
同機構は、下記の主要7テーマを設定。10程度の研究チームを公募、選抜して、それぞれに年間500万~2100万円の研究費を助成することにした。
課題1「女性ホルモンに着目した疫学研究および介入研究を用いた予防法の開発」女性の一生のステージごとの健康課題について、ホルモンの性差および女性特有の心理・行動・認知などにおける性差に視点をおいた各健康課題の病態解明と予防および治療開発を行うため、疫学的研究・介入研究を行う。
目標成果:ライフステージごとの健康課題の明確化
研究費:年間1,500万円程度 課題2「性差に基づく至適薬物療法の検討」
女性では糸球体濾過量が少ないことや薬物代謝酵素の遺伝子多型、酵素活性などの男女間での違い、BMIの違いなどが薬物動態に影響する。薬物投与後の吸収、分布、代謝、排泄の過程の中で、薬物動態における性差、および薬物の感受性の性差について明らかにする。
目標成果:男性・女性別の適正用量設定、性差医療に関するガイドラインの作成
研究費:年間2,100万円程度 課題3「女性の健康向上に資するウエアラブル医療機器等の開発、および機器利用による診療の質向上に関する研究」
利用者に負担をかけず生体情報を収集することが可能な「ウエアラブル」端末に関する技術は発達している。月経周期や睡眠リズムなどとそれにもとづく精神・身体状態の管理、妊娠時の身体状況モニターなどを開発し、利用者と医療機関との情報交換による診療の質、利用者の生活の質の向上を目指す。
目標成果:月経周期や睡眠リズム等のモニターと治療介入
研究費:年間2,000万円程度 課題4「子宮内膜症の病態解明、および予防・治療法の開発」
子宮内膜症は性成熟女性の代表的婦人科疾患であり月経困難症、慢性骨盤痛、性交痛などを引き起こし不妊の原因にも成り得る。エストロゲン依存性であり、生殖年齢女性の約10%、200万~400万人が罹患していると想定されている。手術療法を含めた集学的治療および新たな薬剤を含めた身体に負担の少ない治療法の開発を目指す。
目標成果:子宮内膜症の病態解明、予防・治療プロトコール作成
研究費:年間500~1,000万円程度 課題5「エストロゲン低下にともなう骨粗鬆症の病態解明と予防、治療に関する研究」
エストロゲン低下、糖尿病や慢性腎疾患、副甲状腺機能亢進症などさまざまな要因による骨量・骨質の減少により生じる女性の骨粗鬆症は、産後や更年期に顕在化し、DALY(障害調整生命年)の性差拡大にも大きく影響する。薬物動態を踏まえた投与法および投与量などのプロトコール作成を目指す。
目標成果:若年女性の骨量獲得に与える栄養評価・対策、骨粗鬆症の実態調査、疾患予測マーカーの開発
研究費:年間500~1,400万円程度 課題6「若年女性のスポーツ障害の解析とその予防と治療」
スポーツに励む若年女性の健康管理はいまだ確立されておらず、激しい練習や厳しい食事管理・体重制限により女性スポーツ選手のホルモン調節障害による月経周期異常およびそれに付随した疲労骨折などのスポーツ障害は高率に認められる。女性スポーツ選手等のホルモン調節障害による月経周期異常を事前に予防し、無月経および月経不順による身体機能障害や精神的不安を回避する。
研究費:年間1,000万円程度 課題7「女性の出産後メタボリックシンドローム発症のリスク因子同定と予防研究」
妊娠は女性にとって生理的な生涯の健康の負荷試験と言われ、耐糖能異常や高血圧・脂質異常などメタボリックシンドロームの発症と深く関与する。妊娠中に初めて発見される妊娠糖尿病は母体および胎児にさまざまな合併症を引き起こすばかりか、正常化しても後に高頻度にメタボリックシンドロームを発症するなど産後女性の健康に大きな影響を残すことがある。
目標成果:出産後メタボリックシンドロームのリスク因子同定、今後予防介入や治療指針を作成する際に必要となる介入試験のプロトコール作成
研究費:年間1,000万円程度 平成27年度「女性の健康の包括的支援実用化研究事業」の公募について(日本医療研究開発機構)
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