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特定健診の効果が測れない システムの設計ミスで8割が検証不能
2015年09月08日

厚生労働省が管理する医療ビッグデータのシステムに設計ミスがあり、運用が開始されて6年経った今も改修されていないことが会計検査院の調査で分かった。特定健診のデータのうち、同じ患者のレセプト(診療報酬明細書)のデータと照合できたのは20%程度にとどまり、このままでは特定健診の医療費抑制の効果の検証に活用できないことが明らかになった。
特定健診データの8割が検証不能
このシステムは厚生労働省がおよそ28億円をかけて整備し、2009年から運用している「ナショナルデータベース」(NDB)で、2014年度までに約28億円をかけ、特定健診で約1億2,000万件、レセプトで約87億8,900万件を暗号化したうえで収集している。
特定健診のデータを同じ患者のレセプトと照合することで、健診が医療費抑制につながるかを検証することが目的のひとつだ。
会計検査院は、厚労省が2011~12年度に集めた特定健診データ約4,820万件を調査した。その結果、実際に照合できたのは2011年度が19.0%、2012年度は24.9%で、システムがほとんど機能していないことが判明した。
国内最大の公的医療保険の運営者「全国健康保険協会」のケースでは、特定健診を受けた延べ1,000万人以上について1人も照合できないことが判明。さらに、データを提供した延べ2841の健康保険組合のうち、一件も合致しない組合が9割超を占めた。
全角と半角文字の混合でデータを照合できず

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