ニュース

認知症患者の徘徊をネットで見守るシステム 自治体やNPOの活動を支援

 高齢の認知症患者の徘徊を小型の無線を利用して地域で見守るシステムを開発したと、大阪市立大学が発表した。
徘徊者を数キロメートル四方で見守るシステム コストも削減
 大学院工学研究科の辻岡哲夫准教授は、ヴァイタル・インフォメーションと共同で「地域自律型ワイヤレス見守りシステム」を開発した。

 高齢化が進むにつれ、認知症の問題は深刻化している。介護施設や介護者数は限られており、ICT(情報通信技術)を活用した見守り支援システムの開発が求められている。

 過去の調査によると、徘徊者は自宅から半径1キロメートル圏内で発見されることが多く、行方不明の届出が遅れると死亡率が高まり、独居高齢者も増加傾向にある。

 そのため、徘徊の早期検知と早期発見に加えて地域内での見守り体制が必要とされている。そこで辻岡氏らは、小型の無線受信機(基地局)を利用者の自宅などに設置してネットワークを構築、発信機を持った高齢者の居場所をインターネット経由で把握するシステムを開発した。

 従来の見守りシステムはスマートフォンの全地球測位システム(GPS)機能などを使うケースが一般的だったが、▽高齢者はスマホを持ち歩かない、▽家族による見守りだけでは負担が大きい、▽通信費などのコストが高い、▽GPSは屋内では使えない−−などの問題があった。

 新たに開発したシステムでは、200~300メートルの範囲の電波を受信する無線基地局(123×87.5×25.7ミリ)を複数配置して数キロ四方の地域をカバーする。小型無線基地局の設置は容易で、一般家庭や病院、自治体などに設置でき、地域の自治会やNPOが主体となる見守り活動を支援する。
 位置情報は30~50メートルの誤差内で検出でき、衣服やカバンに縫い付けられる小型の発信機(重さ22グラム)からサーバーに集められる。見守り者はインターネットでアクセスすることで情報を閲覧でき、高齢者が検知圏外に出たり、転倒したときなどの緊急情報はメールで一斉配信される。

 開発したシステムは、数キロメートル四方で地域を見守ることに特化し、特定小電力無線を活用することでランニングコストの削減も図った。価格は送信機と基地局1台ずつで5万円程度を想定している。今月末から大阪府内の地域で実証実験を始める予定。
大阪市立大学工学研究科電子情報系専攻
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
2025年06月27日
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】
2025年06月17日
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断
2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶