ニュース

心臓病や脳卒中を防ぐための7つの生活スタイル 大規模調査で判明

 糖尿病の「診療連携プログラム」に参加した患者や、米国心臓病学会(AHA)が推奨する「7つの生活習慣」を実行している患者は、心臓病や脳卒中の発症リスクが低下するという調査結果が発表された。
糖尿病の治療効果を高める確かな方法
 心血管疾患のリスクの高い患者が積極的な治療を続けると、心血管疾患や脳卒中を予防できることが大規模調査で明らかになった。この研究は医学誌「アメリカン ジャーナル オブ メディスン」に発表された。

 ひとつは台湾で行われた研究。台湾の糖尿病有病数は170万人を超え、台湾政府は糖尿病対策に力を入れている。病院や診療所、患者支援団体などが協力して「診療連携プログラム」が運営されている。

 このプログラムでは、糖尿病の専門病院とかかりつけの医療機関が協力して、専門的な医療と総合的な診療をバランスよく提供する診療連携の体制づくりが目指されている。糖尿病療養指導士や管理栄養士が、糖尿病患者の生活改善を積極的に支援する仕組みになっている。

 研究は、「台湾健康保険研究データベース」に登録されており、糖尿病と診断された12万人の糖尿病患者のうち4万1,608人の患者を対象に行われた。

 「診療連携プログラム」に参加した4,458人の患者を追跡して調査した結果、心血管イベントが14%、脳卒中のリスクが16%、死亡率が22%、それぞれ減少したことが判明した。

 心血管疾患の発症リスクは、高齢、高血圧、慢性肺疾患といった条件が当てはまる患者や、インスリン分泌促進薬あるいはインスリンを処方された患者で高いことが示された。ビグアナイド薬、αグルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬を処方された患者ではリスクが低下する傾向があることも分かった。

 「糖尿病の治療では、患者さんが日常生活で自己管理することが求められ、継続していくことは簡単ではありません。看護師や栄養士、患者団体などが支援することで、治療の効果が高まります」と、研究者は述べている。
心臓病の発症が3分の1以下に減少
 もうひとつは米国で行われた研究。ボストンのブリガム アンド ウィメンズ病院などで実施されている大規模研究「地域における動脈硬化症リスク研究」(ARICS)に参加した1万3,462人を対象に行われた。

 研究は1987~1989年に始められ、参加者の年齢は開始当時に45~64歳だった。研究チームは、心血管疾患の既往のない4,855人の参加者を対象に心臓超音波検査を行い、心臓の左心室の心筋壁が厚くなる「左心室肥大」と、心臓の収縮能力に異常があらわれる「弛緩性機能障害」などを調べた。

 参加者の25%が85歳になるまでに心臓疾患を発症したが、「ライフシンプル7」を中年期から実行しておりスコアが高い人は心臓疾患を発症するリスクが低いことが明らかになった。心臓疾患の発症率は、スコアが10~14ポイントの人では14.4%に低下した。一方、5~9ポイントの人では26.8%に、0~4ポイントの人では48.6%に上昇した。
心臓病を防ぐ7つの簡単な方法(ライフ シンプル 7)
(1)運動をする
 運動を習慣として続ければ、血糖値・血圧値が下がり、善玉のHDLコレステロールが増え、骨が丈夫になり骨粗鬆症の予防になる。ストレス解消につながり、夜はよく眠れるようになる。
 1日30分のウォーキングなどの運動を週に5日以上続けて、週に合計2.5時間行うのが目標。1回10分の運動を3回に分けて行っても効果がある。

(2)コレステロールを管理する
 コレステロールの異常は、死因の上位を占める狭心症や心筋梗塞などの心臓病や、脳出血や脳梗塞などの脳卒中の原因になる。運動を習慣化し、加工肉などの動物性の食品を控え、低脂肪の乳製品や体に良い植物油を選び、食生活を改善すれば、コレステロール値を改善できる。
 コレステロール値が高い場合は薬物療法が必要になる。コレステロール値が気になるときは医師に相談しよう。

(3)健康的な食事
 健康的な食事を続ければ、体重や血圧値、血糖値、コレステロール値を改善できる。カロリーの摂り過ぎを防ぎながら、必要な栄養素をバランス良く摂ることが大切だ。
 そのために、1日3食をしっかりと食べ、野菜や果物、海藻、大豆食品、魚類などを増やすことが勧められる。
 野菜を1日に4皿以上、魚を週に2回以上食べるのが目標だ。ごはんやパンは玄米や雑穀、全粒粉を選べば、食物繊維の摂取量が増え体重コントロールにも役立つ。
 塩分は1日3gに抑えるのが理想的だが、それが無理な場合は6g以下を目指そう。清涼飲料や缶コーヒーを飲むときは、糖分の摂り過ぎに注意する。コップ1杯のコーラのカロリーは90kcalぐらいだ。

(4)血圧を管理する
 高血圧はもっとも多い病気で、30歳以上の男性の60%、女性の45%が高血圧という調査結果がある。高血圧は自覚症状が乏しく自分では分からないので、定期的に検査をすることが重要となる。家庭用血圧計を入手して、朝と夜寝る前に血圧を測ってみよう。
 健康な体重を維持すること、塩分の摂取量を減らすこと、医師に処方してもらった薬をきちんと飲むことが大切だ。

(5)標準体重を維持する
 肥満は体にとって異常な状態で、特に内臓脂肪が一定以上に多くなると心臓の負担が増える。肥満に脂質異常や、高血圧、高血糖などが重なると、心臓の負担はさらに増える。体重を減しただけでも、これらの検査値が改善することが多い。
 1日の食事で必要なカロリーを確かめて、それを超えて食べ過ぎないようにし、ウォーキングなどの運動を続ければ、体重を減らすことができる。

(6)血糖値を下げる
 糖尿病のある人が血糖値が高い状態を放置していると、心臓病や脳卒中の危険性が4倍以上に高まる。血糖値をコントロールすれば、これらの合併症を防ぐことができる。糖尿病は食事や運動の影響を受けやすい病気なので、生活習慣を少しずつでも改善していき、医師から処方された薬をしっかり飲むことが重要。

(7)たばこを吸わない
 喫煙は心臓病や脳卒中だけでなく、がんや、慢性肺疾患、呼吸器疾患などの発症率を高める。たばこをやめるだけでこれらの病気のリスクを減らせる。たばこを吸う人はいますぐ禁煙しよう。そうすれば、数年で心臓病や脳卒中の発症リスクを、非喫煙者と同程度に下げることができる。

AHA's "Life's Simple 7" and Diabetes Care Program Reduce Risk of Heart Failure(アメリカン ジャーナル オブ メディスン 2015年9月14日)
Life's Simple 7(米国心臓病学会 2015年8月10日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2021年12月21日
特定健診・保健指導の効果を10年間のNDBで検証 体重や血糖値が減少し一定の効果 ただし体重減少は5年後には減弱
2021年12月21日
【申込開始】今注目のナッジ理論、感染症に関する教材が新登場!遠隔指導ツールも新作追加! 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2022年版」
2021年12月13日
【新型コロナ】ファイザーのワクチンの3回目接種はオミクロン株にも効く? 抗体価は半分に減るものの2回接種より25倍に増加
2021年12月09日
保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳「2022年版保健指導ノート」
2021年11月16日
思春期に糖質を摂り過ぎると成長後にメンタルヘルスに悪影響が 単純糖質の摂り過ぎに注意が必要
2021年11月09日
【世界糖尿病デー】東京都「今日から始めよう!糖尿病予防」キャンペーン 都民の4人に1人は糖尿病かその予備群
2021年11月08日
肥満のある人・肥満のない人の両方に保健指導が必要 日本人4.7万人の特定健診データを解析
2021年11月02日
【新型コロナ】ワクチン接種はコロナ禍を終わらせるための重要なツール 50歳以上で健康やワクチンに対する意識が上昇
2021年11月02日
健診や医療機関で腎臓の検査を受けていない高齢男性は透析のリスクが高い 7万人弱を5年間調査
2021年10月26日
「特定健診受診率向上プロジェクト」を実施 大阪府と大阪府立大学看護学科が協働 特定健診の対象者に合わせた効果的な受診勧奨
DASHプログラム
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶