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ウォーキングの歩数を増やすと死亡リスクが半減 あと1,000歩多く歩こう
2015年11月18日
1日の歩数の多い人ほど糖尿病の発症リスクが低下し、脳卒中や心臓病などによる死亡リスクが減少するという研究が発表された。1日の歩数を1万歩に増やすと、死亡リスクは46%減少するという。
ウォーキングの歩数が多い人ほど死亡リスクは低下
1日の歩数の多い人ほど脳卒中や心臓病などによる死亡リスクが減少することが、英国のオックスフォード大学とオーストラリアのジョージ国際健康研究所の研究チームによる研究で明らかになった。
「運動不足は平均寿命を短くするだけでなく、病気による障害がなく健康でいられる期間を示す健康寿命も短くします」と、オックスフォード大学のテリー ドワイアー教授は言う。
研究にはオーストラリアの平均年齢58.8歳の2,576人の男女が参加した。研究チームは、参加者に歩数計を装着してもらい1日の歩数を計測してもらった。歩数の計測を研究の開始時と3.7年後の計2回行った。
研究開始から10年後の脳卒中や心臓病などの発症を調べたところ、1日の歩数を増やした人ほど死亡率が低下することが判明した。
研究開始時の参加者の1日の平均歩数は、男性8,781歩、女性8,925歩だった。1日あたりの歩数が1,000歩増えるごとに死亡リスクが6~10%減少することが明らかになった。
年齢、性別、肥満度、食事のカロリー摂取量、喫煙習慣、飲酒量などの条件を考慮し解析しても、やはり1日の歩数の多い人ほど死亡リスクが低下することが分かった。
「参加者にはなるべく1日の歩数を増やすようアドバイスしました。その結果、1日の歩数を増やさなかったグループに比べ、1万歩に増やしたグループでは、死亡リスクは46%減少することが明らかになりました」と、ドワイアー教授は言う。
「健康増進に必要なことは、ウォーキングなどの運動を毎日続けることです。運動を続けることで死亡リスクが低下することが、さまざまな研究で確かめられています。1日に歩数を増やすことが寿命の延長につながります」と、ドワイアー教授は強調している。
ウォーキングを楽しく続けるための工夫
ウォーキングの時間を、1日に3~5分でも良いので、少しずつ増やしていこう。1回30分のウォーキングを週に5日行うのが目標だ。 ・ 歩数計を持ち歩く
歩数計を持ち歩くとウォーキングへの意欲が増す。まずは1、2週間、ためしに歩数計を持ってみよう。歩数のカウントが増えるのを見ると嬉しくなるはずだ。1日の歩数を500歩、1000歩と増やしていこう。 ・ ウォーキングは続けることが大切
体重60kgの人が30分のウォーキングで消費できるカロリーは130kcalぐらい。少ないと思うかもしれないが、1年続ければ3万3,000kalを消費できる。ウォーキングは続けることが大切だ。 ・ 車やバスに乗らない
通勤に鉄道やバスを使う人は、いくつか手前の停留所で降りて、目的地まで歩いてみよう。20~30分のウォーキングでかなりの歩数をかせげる。 ・ 外出はバスや電車で、なるべく階段を使うようにする
外出するときは、車やタクシーはなるべく使わないようにして、バスや電車を使おう。また、駅にあるエスカレーターやエレベーターを使わずに、可能な限り階段を使うようにしよう。 ・ 昼食時間に歩く
ランチは職場の近くではなく、歩いて10分以上離れた場所でとろう。ランチタイムに余った時間にウォーキングなどをして体を動かそう。歩いていると街の様子が分かり、思わぬ発見もある。 ・ 移動中に座らない
疲れているときは電車やバスの座席に座りたくなるが、体力に余裕があるときは座らないようにしよう。立っているだけでも体の消費カロリーを増やすことができる。 ・ 事前に医師に相談
高血圧や糖尿病の治療を受けている人は、事前に医師に効果的な運動のやり方について聞いておこう。糖尿病の薬物療法を行っている人は、低血糖の対策として捕食が必要となる場合がある。 More steps a day keep the doctor away(オックスフォード大学 2015年11月10日)
Objectively Measured Daily Steps and Subsequent Long Term All-Cause Mortality(PLOS ONE 2015年11月4日)
22 Ways to Add Healthy Movement to Your Everyday Routine(オーストラリア糖尿病協会 2014年11月7日)
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