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「メタボ人口を25%減」「糖尿病人口を1000万人に抑制」など数値目標
2015年12月08日

内閣府の経済財政諮問会議の専門委員会は、経済・財政改革の工程表の原案「経済・財政再生アクション・プログラム」(仮称)を示した。「糖尿病有病者を2022年度までに1000万人に抑制する」「メタボリックシンドローム該当者を2020年までに2008年度比で25%減らす」など、約180の数値目標を設定した。
生活習慣病の発症や重症化の予防に重点
内閣府は、医療を含む社会保障などの歳出改革の取組促進の仕組み構築や、改革を客観視するための目標値(KPI)を評価する「経済・財政一体改革推進委員会」を経済財政諮問会議の下に設置し、第4回会議を12月1日に開催した。
専門委員会では、政府が目指す医療などの社会保障を含む「公的サービスの産業化」「公共サービスのイノベーション」の取組促進に向けた仕組みを促す工程表を作成し、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けた2018年度の中間評価も実施する。
委員は、専門委員10人と有識者4人から成り、会長にはサントリーホールディングスの新浪剛史氏が就いている。経済財政諮問会議の民間議員のほか、医療界からは産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏が入っている。
原案では、改革の焦点となる社会保障分野で、経済再生と財政健全化および制度の持続可能性確保の実現を目指した改革を行うとした。
歳出の3割超を占める社会保障分野を重要視し、医療費を抑えるため2型糖尿病などの生活習慣病の発症や重症化の予防に重点を置いている。
社会保障の歳出や政策効果を"見える化"
新浪会長は記者会見で「経済再生と財政健全化を両立するために、歳出や政策効果を自治体や保険者といった単位で比較・分析し"見える化"を徹底し、政策効果が高い歳出に重点化する"ワイズ・スペンディング"(賢い支出)を推進する必要がある」と述べた。
そのために、医療・介護提供体制の適正化、生活習慣病の予防・介護予防、公的サービスの産業化の促進、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、薬価・調剤などの診療報酬にかかる改革および後発医薬品の使用促進を含む医薬品にかかる改革に取り組むとした。
12月下旬の諮問会議で正式に決め、各省庁で財政健全化に向けた取り組みを進める。主な具体的な数値目標は以下の通り――
▽地域医療構想の2025年における医療機能別(高度急性期、 急性期、回復期、慢性期)の必要病床数を都道府県ごとに定める。
▽大病院の受診者のうち紹介状なしで受診した者の割合を、500床以上の病院で60%以下にする。
▽2022年度までに糖尿病有病者を1000万人に抑制する。
▽2020年までにメタボリックシンドローム該当者を2008年度比で25%減らす。
▽2022年度までに高血圧患者の収縮期血圧の平均値を、男性で134mmHgに、女性で129mmHgにそれぞれ低下させる。
▽2017年度の特定健診の受診率を70%以上に、2020年までに40~74歳の特定健診を含む健診受診率を80%以上に引き上げる。
▽後発医薬品の使用割合を2017年に70%に、2018年度から2020年度末までのなるべく早い時期に80%以上に引上げる。
▽2016年度までにがん検診の受診率50%(胃がん、肺がん、大腸がんは当面40%)に引き上げる。
▽軽度介護者に対する生活援助などの介護保険給付率を引き下げる。軽度介護者に対する通所介護などを自治体が予算の範囲内で行う仕組みへ移行する。
▽薬価や調剤報酬を含めた単価の適正化、医療従事者の待遇の適正化、介護報酬単価の適正化などを推進する。
▽高齢者を優遇した高額療養費制度を見直し、後期高齢者の窓口負担の引き上げる。
▽マイナンバーを活用して、既存の医療情報の各種データベースを連結・相互利用できるようにし、経済・財政の効率化をはかる。
▽現役被用者の報酬水準に応じた公平な保険料負担を実現する。介護の自己負担上限見直しや2割負担の対象者拡大も視野に入れる。
内閣府経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進委員会
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