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朝食をとらないと脳卒中・脳出血のリスクが増加 空腹が朝の血圧を上昇
2016年02月10日

朝食摂取回数が少ないと脳出血のリスクが高くなることが、国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究「JPHC研究」で明らかになった。
朝食をとらないと肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクが上昇
「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。
今回の研究は、国立がん研究センター がん予防・検診研究センターと大阪大学の研究チームによるもので、米科学誌「Stroke」に発表された。
これまでに、朝食を欠食すると肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されてきたが、脳卒中および虚血性心疾患のリスクを上げるかについてはほとんど研究されていなかった。
そこで研究チームは、朝食欠食と脳卒中および虚血性心疾患との関係を検討するため、1995年に岩手、秋田、長野、沖縄、1998年に茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の9保健所管内に在住していた45~74歳の男女のうち、循環器疾患およびがんの既往がなく、アンケートの朝食に関する項目に回答した8万2772人(男性 3万8676人、女性 4万4096人)を対象に調査を行った。
朝食欠食で脳出血は36%、脳卒中は18%、発症リスクが上昇
調査では、朝食をとる頻度によって「週に0~2回」「週に3~4回」「週に5~6回」「毎日」という4つの群に分けて、その後の脳卒中および虚血性心疾患発症との関連を分析した。
2010年まで追跡した結果、3,772人が脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を発症し、870人が虚血性心疾患(心筋梗塞、急性心臓死)を発症したことが確認された。
朝食を週に0~2回摂取する群の発症リスクは、朝食を毎日摂取する群と比較して、脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患で14%、脳卒中全体で18%、脳出血で36%、それぞれ上昇していることが確認された。

Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease(Stroke 2016年1月5日)
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