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がん検診の最新情報 費用の目安は2000円以内 自治体の広報活動に期待
2016年02月24日
がんを発症する日本人は2人に1人、3人に1人がんで死亡している。がんの治療で重要なのは、どれだけ早期発見ができるかということだ。厚生労働省はがん検診の受診について、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を作成し、がん検診の受診率を50%以上とすることを目標にしている。
がん検診「40歳以降は年に1回」が目安
がん検診の主流となっているのは、X線、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(核磁気共鳴画像法)といった画像診断だ。最終的にがん診断を確定させるのは、多くは内視鏡検査などで細胞を採取する病理検査だ。
5年後の見直しを経て2012年6月に策定された「がん対策推進基本計画」では、「5年以内に受診率50%(胃、肺、大腸は当面40%)」が掲げられ、40~69歳(子宮頸がんは20~69歳)を対象に受診率を算定している。

がん検診の費用は2,000円以内
各地方自治体(都道府県、市町村、特別区)が、がん検診や一般の健康診断、人間ドックの案内を出しており、委託を受けた医療機関などで検診を受けることができる。市区町村によって自己負担する金額は異なり、各自治体のホームページや広報誌に、自己負担をする費用について記載がある。
厚生労働省では2009年度以降、大腸がん・乳がん・子宮頸がんについては、一定年齢の人に検診無料クーポン券を送付し、検診率が上がるような施策を行っている。


がん検診の受診は3割にとどまる
東京都は都民のがん検診受診率50%の目標を掲げているが、都が2014年に都民へ実施した調査によると、主要ながん検診を「過去1~2年以内に受けた」という人の割合は男性で30.4%、女性で24.6%にとどまった。胃がん検診で27.3%、大腸がん検診で36.8%、肺がん検診で40.2%、乳がん検診で32.3%だった。
「受けたことがない」人の割合はそれぞれ、胃がん検診で42.1%、大腸がん検診で44.2%、肺がん検診で45.9%、乳がん検診で39.7%に上った。
どのような環境が整えば、がん検診を受診する人が増えると思うか聞いたところ、「費用の補助を受けることができる」の割合がもっとも高く64.6%、次いで「一般健診(特定健診、職場の定期健康診断など)と同時に受けることができる」が45.2%、「複数のがん検診を一度に受けることができる」が44.5%だった。
上記に述べた通り、がん検診の負担は高くない。自治体の広報活動や、受診しやすい環境づくりが求められている。東京都は、職場単位での検診など集団的な予防策を進める企業への支援に取り組んでおり、「各種の検診を手がける区市町村と連携し、早期発見・早期治療の重要性を広く周知する」と述べている。
調査は「都民の健康と医療に関する実態と意識」をテーマに、2014年10月~11月に実施した。無作為に抽出した20歳以上の都民6403人(3,597世帯)から回答を得た。
第16回がん検診のあり方に関する検討会(厚生労働省 2016年2月18日)かかりつけ医のためのがん検診ハンドブック~受診率向上をめざして~(厚生労働省)
「都民の健康と医療に関する実態と意識」の結果(東京都 2015年10月29日)
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