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睡眠を改善するためのハンドブック 対象者に合わせた保健指導
2016年03月09日
公益財団法人健康・体力づくり事業団は、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針」にもとづいた保健指導ハンドブックを制作し、インターネットで公開を始めた。表やグラフを多用し解説しており、指導者自身が睡眠について理解し、健康相談・教育に役立てられる内容になっている。
睡眠の重要性を視覚的に解説 指導に活用できる教材に
保健指導ハンドブックは、厚労科学研究の一環として東北大学老年・在宅看護学分野の尾崎章子教授と浜松医科大学地域看護学の巽あさみ教授が作成したもの。ハンドブックを利用することで、(1)睡眠の基礎知識を身につけられ、対象者の特性に合わせた睡眠保健指導ができるようになり、(2)図表を多く用い視覚的に示すことで、より理解しやすい指導が可能になるという。
睡眠障害とは、睡眠と覚醒に関連する多様な疾患をさす。もっとも多いものは不眠症だが、このほか過眠症、概日リズム睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群をはじめとした睡眠呼吸障害、周期性四肢運動障害・むずむず脚症候群などがある。
厚労省が公表している睡眠指針では、適切な量の睡眠の確保や質の改善、睡眠障害への早期対応の重要性などを取り上げているが、それぞれの項目を網羅的に解説しているため、現場で保健指導を行う際、あらかじめ指針のポイントや伝える内容をまとめておく必要がある。
睡眠障害の症状としては、なかなか寝つけないという「入眠障害」、あるいは夜中に何度も目覚めてしまう「中途覚醒」、眠りが浅くて熟睡できない「熟睡障害」、朝早く目覚めてまだ睡眠が足りないにもかかわらず眠れないというような「早朝覚醒」などがあげられる。
ハンドブックでは健診などの機会を利用して、自分の睡眠状態を理解し、睡眠による休養感が得られているかどうかを確認することを勧めている。
睡眠の悩みは解決できることを伝える工夫が必要

さらに、こころの健康や生活習慣病などに対する保健指導のポイントを掲載。睡眠障害の内容により対応が異なり、適切な対処をすれば良好な睡眠を得られやすくなることを解説している。
例えば、慢性化した不眠はうつ病発症リスクを高め、うつ病の8割以上に不眠がある。寝付けない、熟睡感がない、早朝に目が覚めてしまう、充分眠っても日中の眠気が強いことが続くような、睡眠障害は、体や心の病気の症状として現れている可能性があるので、保健医療専門職に相談することを勧めるようアドバイスしている。
睡眠時無呼吸症候群については、激しいいびきや日中の強い眠気といった症状があることを挙げ、鼻マスクを通じて持続的に陽圧をかけて閉じている上気道を押し広げる「経鼻的持続陽圧呼吸療法」などの治療方法があることを説明している。
また、睡眠不足や睡眠障害などの睡眠の問題は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にし、適切な判断力を鈍らせるなど、生活の質に大きく影響する。睡眠の問題の背景に高血圧、心臓病、脳卒中の悪化がある場合もあることを説明し、改善しない場合は速やかに医師に相談する必要性を説いている。
健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~に基づいた保健指導ハンドブック(健康日本21)
健康づくりのための睡眠指針2014に基づいた保健指導ハンドブックの活用効果を高める教材(健康日本21)
健康づくりのための睡眠指針2014(厚生労働省 2014年3月31日)
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